見える!視覚障がいのぼくが網膜レンズで数年ぶりに見た妻の笑顔
数年ぶりに妻の顔を見た」
数年ぶりに妻の顔をはっきりと見ることができた。やましいことがあって、妻の顔を直視できなかった!というわけではない(汗)
視覚障害である私は、数年前からリアルに目が見えない。角膜内皮障害は角膜の細胞がどんどん減少してゆく病で、角膜が白濁してゆく。現在の私は常に晴れることのない濃霧の中に生きている、人の顔を判別することはできない(涙)
網膜投影レンズが起こした奇跡
先日視覚障害者を対象にした展示会があった。そこで出展されていたのが、網膜投影技術なる機能を持ったカメラであった。
網膜投影技術は、「目の中に映画を映す装置」のような仕組みである。
普通のスクリーンやスマホでは、画面を見て情報を得るが、この技術では光を使って網膜に直接映像を映しだす。だから、どんなに小さい字や絵でも、はっきりと見ることができるのだ。
強度の近視や乱視で視力矯正が困難な人や、私のように角膜自体が機能を失っていても、網膜や視神経に問題がなければ映像を網膜に映し出してくれる。
どこまで理解できたかは怪しいが、技術的な説明では、「光で目の奥に絵を直接映す仕組み、なのだそうだ。小さなレーザー光線で目の前の映像を作り出し、それを直接網膜に届けて再現する。目の中に、モニターを持つような感じだと教わった。
リアルな世界で見るバーチャル
この技術は、視覚障害の補助機能だけではなく、次世代スマートグラスへの応用にも期待できる。
例えば、日常生活の中で、ARによる地図や翻訳情報をリアルタイムで表示させたり、スポーツ観戦中に選手の名前やデータの表示、観光地で歴史や説明を目の前の風景に被せるなどが可能になる。リアルとバーチャルが目の前に映し出すことがで切るのだ。。
憧れの人と一緒に街を歩いたり、遠く旅立った父や母を自宅に招くなんてこともできる時代がやってくる。
この数年間、はっきりと見ることのできなかった妻の顔がくっきりと、曇りなく見える。
デジタル化した映像なので、目で見ているというよりは脳に映し出されているというか、確かに脳内のモニターを眺めているような感覚であった。
しかし、映像がバーチャルなのか、リアルなのかはどうでも良い。目の前で手を振る彼女は確かにそこに居た。驚きと嬉しさと、束の間の幸せを感じたのは間違いなくリアルな感情だ。
技術が進み、普通にメガネをかけるだけでこれを日常的に体現できる時代はそう遠くはないのだろう。早くそんな時が来ないかな!心から願いたい。この感情もリアルである。