ウィスキングをご存知ですか?テントサウナで新感覚の癒し体験!
ウイスキングをご存じでしょうか?最近のサウナブームの中で、多くの人が耳にしたことがあるかもしれませんが、その実態を知っている人はまだ少数です。
ウイスキングとは、サウナで行うロシアやバルト三国の伝統的なリラクゼーション。
白樺の枝(ウイスク)を使って、サウナ室内で行う特別な施術。だからウイスキング、ウイスキーは漢検ありません。
温かい水蒸気の中で、白樺で身体をこすったり、叩いたり、さらに白樺の葉で身体も部位を包み込んだりすることで、心身ともにリフレッシュできるこの体験は独特な癒しを提供してくれます。
ウイスキング体験 心と体を癒す新感覚
初めてのウイスキング体験は予想を遥かに上回るものでした。兵庫県にあるテントサウナ「SAUNA SUTATION」での体験をレポートします。
「SAUNA SUTATION」は施設というより、小川の流れる田舎の林間部にいくつかのテントを並べて運営を行っているスペースです。
まず大型のテントサウナで体をじっくりと温めます。このサウナは薪を使っており、その香ばしい香りがサウナ内に広がっているのです。セルフロウリュで水蒸気を発生させ、10分ほどでしっかりと汗をかいた後、すぐそばを流れる清流でクールダウン。自然の中でのこのサウナ体験は、まさに至福のひととき。
そして、森の中で椅子に腰掛け、10分ほどの休憩を取った後、いよいよウイスキング専用の小さなテントサウナへ案内されました。
こちらのサウナ内も、薪ボイラーによってテント内は温められています。
ウイスキングの始まりは白樺に包まれる瞬間
ウイスキングが始まる前に、マイスターから施術の流れについて簡単な説明を受けました。体調についての確認もあり、安心して施術を受けることができます。
施術はまず、温めた白樺の葉で顔から頭まですっぽりと覆われるところから始まります。白樺の香りに包まれ、まるで森の中に迷い込んだかのような感覚。
施術の最初は、足の裏からふくらはぎ、太もも、腰、背中、肩、首筋にかけて、温かいお湯がひしゃくで少しずつ掛けられます。
お湯が流れるたびに、体全体にじわじわと温かさが広がり、リラックスしていくのを感じました。この心地よい温かさは全身がゆっくりとほどけていくような感じです。
白樺の葉と水蒸気のハーモニー
次に、薪ストーブに水をかけ、ジョワッ!と水蒸気を発生させる音が。その蒸気を白樺の葉で優しく拡散させりサワサワとした音とともにテント内の温度が徐々に上昇してゆくのがわかります。
白樺の葉が揺れる音と共に、湿度を持った熱気が背中に降り注ぎ、今度は森の中で体が温まっていくかのような錯覚を覚えます。この温度の上昇が、さらに深いリラクゼーション効果をもたらすのです。
その後、水を含ませた白樺の葉を体の上から揺らし、こぼれ落ちる水滴が足元から徐々に体全体に掛けられます。
森の中で小雨にあたるような感覚で、パラパラと体に降り注ぐ水滴が既に熱を持った体に心地よさを与えます。この施術によって、体はさらにリラックスし、精神的にも落ち着いていくのを感じました。
白樺による独特な施術の体験
このあと、ウイスキングのメインイベントともいえるのが、白樺の葉で体を叩く、擦る、押さえる施術です。
うつ伏せの状態から始まり、次に仰向けになって施術が続きます。まずは足の裏、次にふくらはぎ、腰、脇の下、お腹へと進むにつれ、白樺の温かい感触がとにかく心地よい。
白樺の葉で体を叩かれる感触は、初めての体験でありながら、なぜか懐かしい暖かさが体の芯まで伝わるようでした。よくわからないですが、DNAが記憶しているのかもしれませんね。
この施術は10分程度続きましたが、その間、時間がゆっくりと流れる感覚で実際の時間以上に長く感じられました。
水中浮遊体験:未体験の心地よさ
ウイスキングの施術が終わった後、テントの外に出て水風呂へと誘導されます。ここでは、氷を入れた一人用の水風呂に15秒ほど浸かりますが、その後、川の水を汲んだ大きな水風呂に移るように言われました。
すると誘導してくれたマイスターが一緒にその水風呂に入ってきて、仰向けになるように言われました。背中と脚を支えてくれて、水中で体を浮かせてくれます。耳まで水に浸かり、体全体が水中で浮かぶ感覚は、まさに「未体験ゾーン」への突入です。
この水中浮遊の感覚は、言葉では表現し難いほどの心地よさがあり、まるで空中に浮かんでいるような錯覚を覚えました。
多分この施設ならではの特別なサービスだと思うのですが、リラックスの極致を味わうことができました。
風と薪の香りに包まれて
水風呂での体験が終わると、リクライニングチェアーでの休憩が待っています。マイスターがタオルを使って風を送ってくれるという贅沢な演出により、再びリラックス状態へと導かれます。
薪サウナの香りが漂う中、心地よい微風を感じながら、体と心が整う瞬間を味わいました。
ウイスキングがもたらすもの
ウイスキングは単なるサウナ体験を超えた、心と体を同時に癒す特別な時間でした。白樺の葉が織りなす施術、水蒸気と自然の恵みが融合することで、深いリラクゼーションと再生をもたらします。
日常の喧騒から解放され、心身ともにリフレッシュすることができました。
ウイスキングの価値と日本での定着
ウイスキング体験は、期待を大きく上回るものでした。今回は、体験お試し価格で提供してもらったのですが、体験するまでのハードルをどう下げるかが問題になるでしょう。
まず、ウイスキングは非常に技術的で体力を要する施術であり、マイスターの労働環境は過酷です。また、この施術には熟練した技術が必要であり、量産が難しいという問題もあります。
この高い技術に見合うだけの価格を設定し、それを理解し、支払う意欲のある顧客層にサービスを提供することが重要です。
ウイスキングが定着するためには、価値を理解してくれる顧客に適正な価格で提供することが求められます。
マッサージのように、単に既存のサウナ施設でのオプションや、有料アトラクションの一つとして捉えるのであればその良さはなかなか伝わりにくいと思います。
自然の中で、マイスターが織りなす世界観を表現できる場として設計されているので満足感があったのです。
ですから、サウナの新しい価値観を創造し、ウイスキングを提供するための場作りが重要となるでしょう。
最終的に、ウイスキングの未来は、どのような環境で、誰から体験するかにかかっています。
例え、森の中や、テンドサウナでなかったとしても、独自の哲学と技術を持ったマイスターが、その価値を最大限に引き出す場所で提供することが、日本でウイスキングを定着させる鍵となるでしょう。
既存のサウナ施設でメニュー化するにはその覚悟が求められます。