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身体障害者手帳は前向きに生きるパスポート
自分が身体障害者であることを認めたくはない!
本来なら、身体障害者認定を受け、障害者手帳の発行が認められるようなケースであっても申請をためらう人は多い。
障害が重度で、サポートの必要性が高い場合、いわゆる障害等級が1級や2級に値する人なら気持ちに整理がつき、胎(はら)も括(くく)れる。
しかし、不安や不便を感じてもなんとかなっている場合には、多くの人が抱える葛藤だと思う。
障害と付き合いながら生きていかねばならなくなった時にどうすべきか?
60歳を超えると年々そのリスクは高まっていくと考えて良い、万が一の時、身体障害者手帳の交付の決断とその心構えについて考察してみたい。
身体障害者であるかどうかは自分の気持ち次第
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手帳を申請するか、どうか。結論から言えばどちらでも良い、それは自分次第である。
障害があるから必ず申請しなければならないものでもなく、手帳の交付を受けることを後ろめたく考えることもない。
手帳申請前の胸中は複雑だと思う。
交付を受けることで、晴れて身体障害者であり、大手を振って道を歩ける。おかしな話だが、これに近い感情を持つ人もいる。
逆に、手帳の交付を受けることによって何か自分が劣った者のようにレッテルをはられた。卑屈な感情になる人も少なからずおられるようだ。
わからなくはないが、あなたが思うほど世間はあなたに関心はない、それは障害手帳を手にすれば良くも悪くも気づくはずである。
身体障害者手帳は、必要と思うなら交付を受けるべきだし、そうでないのであれば無理に交付を受けなくても良い、その程度のものなのだ。
僕が身体障害者手帳の交付を受けた理由
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私事で恐縮だが、強度の弱視となり、道を歩けば電柱にぶつかり、段差につまずき、人混みでは人に当たる。
仕方がないので白杖を持って歩くようになったら問題は解決した。
白杖を持つことに最初はとても抵抗があったし、はすかしかった。でも一度使えばもう手放すことはできない。
白杖は手帳がなくても使うこと自体は問題ない、
しかし今度は手帳なしに白杖を持つことに抵抗を覚えるようになったのだ。
他人からしたら、どうでも良い話だと思う。白杖をつきながら歩く私に、手帳をみせろという者はまずいない。
全く見えないわけではないが、今では白杖は体の一部である。
今もこの文章は、黒いバックモニターに浮かび上がった白文字を見ながらパソコンを使って、近所の喫茶店で打ち込んでいる。
白杖を持ってやってきたオッサンは、どのテーブルが空いているか判別できず、店のウエイトレスの女の子に案内してもらった。
ところが、席に着くなりカバンからパソコンを出して作業をしているのだからいぶかしいことこの上ない。
しかし、これが私なのだ。
見えづらい目で喫茶店にたどり着く困難さより、ウエイトレスの女の子が好みの顔立ちか、果たして女の子と言える年齢なのかどうか?
それが良くわからないことの方が嘆かわしいのである。
身障者手帳は前向きに生きるためのパスポート
身体障害者手帳とは、心理的側面でいえば自分の個性を受け入れて前向きに生きるためのパスポートのようなものだ。
パスポートを得て、入国した世界では前向きに生きると決意してほしい。
そのための証明書であって、ネガティブを許容するものではない。
身障者であることに劣等感を感じる必要はないが、その代わり身障者であることや、あるいはその等級の重さで優劣やマウントを取るための証明書でもないのである。
ここをはき違えてはならない。
障害者手帳はどうすれば入手できるのか
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身体障害者手帳の入手は自ら行う必要がある。
例え深刻な状況でも、必ずしも担当医が取得を勧めてくるとは限らないからだ。
”あなたは既に障害者手帳の要件を見たしてますよ!”と親切に言ってはこない。
等級が低ければ低いほどそれは顕著になるのだろう。
そもそも、全ての医師が申請のための診断書を書ける訳ではなく、都道府県が指定した指定医でなければ発行できないのだ。
身障者申請の手続きの流れ!5ステップ
① 市区町村の窓口(福祉課)で交付申請書及び、医師に記入してもらう診断書を貰う
② 都道府県の指定して指定医を受診し、診断書と意見書を書いてもらう
③ 市区町村に申請書と、診断書、意見書を提出する
④ 都道府県で判定を行う
⑤ 身体障害者手帳の交付を受ける
身障者手帳の等級
障害の程度は、身体障害者福祉法の施行規則によって等級が定められています。
身体障害程度程度等級表(厚生労働省資料)
等級表をもとに、ご自身の症状と比較をしてみてください。
手帳の等級は等級法を基として医師の診断書、意見書から各都道府県が判断します。
障害者手帳取得のメリット
享受できるメリットは多岐にわたりますが、等級や市区町村によってその内容は変わります。また所得制限などで必ずしも享受できない事もあります。
下記は東京都杉並区の内容です
大枠はどの市区町村も似たものだと思いますが、詳しくはお住まいの市区町村のH Pを確認してください。
障害年金制度について
「国民年金法施行令別表」の障害等級表基準に従い障害年金、障害手当金の受給ができる場合があります。65歳以下でも年金受給の対象となります。
注意すべきは『身体障害者福祉法』を準拠とする身障者手帳の等級とは別ものである点です。届出は、市区町村の福祉課ではなく年金事務所になります。
合わせた確認しておきましょう。
まとめ
もし、身障者手帳の交付対象ではないのかな?そう思ったなら、まずは該当するかどうかを調べてみよう。
掛かりつけ医に訊いてみるのが最も手っ取り早いだろうが、必ずしも積極的ではないかもしれないので自身でも当たりをつけておくと良い。
等級の違いによって受けられるメリットは随分違うが、なんらかの役には立つはずだ。
本文にも記したが、身障者手帳は前向きに生きる@あためのパスポートだと思う。迷うのなら、取得することをお勧めする!