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バルセロナ散歩(ハードモード)
1.至高の娯楽
人類は基本的にお金のかからない娯楽を欲しています。
主語が大きすぎました。
「私」は基本的にお金のかからない娯楽を欲しています。
そして、その究極とも言える形が「知らない場所を散歩すること」であると個人的には考えています。
訪れたことのない地域へ赴き、知らなかった世界に触れる。
飽くなき知的欲求を満たす最適解の一つと言えるでしょう。
遠い異国の地であれば理想的なことこの上なし。
しかしこの娯楽、「どの地に足をつけるか」、その見当をつけることが難しいのです。
異国の地であれば尚のこと。
しっかりと下調べを行うことが大事であると言えます。
私は現在、スペインのバルセロナ周辺に滞在しているため、バルセロナに向かうという目途自体は容易に立ちます。
しかし、バルセロナのどこに向かうべきか。
それを決めるにはやはり入念な下調べが…
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これでいいや。
2.そんな計画で大丈夫か?
というわけで、家の最寄り駅であるBellaterra駅から、バルセロナ中心部であるカタルーニャ広場まで歩きます。
Google Mapによると、距離にしておよそ19km、4時間半程度かかる想定です。
京王線聖蹟桜ヶ丘駅から桜上水駅まで歩くくらいの距離といったところ。
尚、「バルセロナ中心部はサンツ駅じゃないのか」「そもそもこれはバルセロナを散歩しているといえるのか」「チュロスに添えるホットチョコレートは甘くてもいいんじゃないか」などといったご意見はお受けしておりません。
ご了承por favor。
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30分スヌーズしたアラームを止め、いざ駅へ。
時刻は8:11。
19kmの旅、スタートです。
経路はGoogle Mapの案内に従います。
結局のところ、Google Mapが最強ですからね。
とにかく従っておけば問題無いんですよ。
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ん?
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「歩行を前提としない道でも余裕で提示してくる」
おい、歩けるような道がないぞ。
こーれだからこのアプリは。
やはり無闇に従ってはいけません。
スマホという現代テクノロジーに依存しきっている我々へのアンチテーゼです。
今後とも気が抜けることなどなく、寝不足の日々が続くことでしょう。
ちなみに後ろ二文は嘘です。
しかし、すぐそばに迂回できるような道が見当たりませんねこれ。
うーん…
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やむを得ない、端を歩こう。
というのも、少し観察してみたところ、こちらに入ってくる車側の赤信号が長いことを確認できました。
なので、その合間を縫って慎重に進むことにします。
普通に危ないので決して真似しないでください。
私も二度とやりません。
無事渡り終えたところで、しばらく道なりに進みます。
のどかな風景が広がっていました。
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この時期、スペインは日の出が遅めなので8時過ぎでも少し暗かったりします。
パノラマとの相性が抜群です。
ただ、それ故に歩いている間は肌寒さを感じました。
この時期にスペインを訪れる方は、羽織れるものを持ってくるといいと思います。
あ、長袖ね。
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まあ、依然として危険なところを歩いているので気は抜けないわけですが。
3.序の口もいいところ
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わあ、お花だ!!
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少し進むと広い歩道にでました。
さっきの道に幅を半分くらい分けてほしい。
この時点で、目的地までの六分の一程度の距離を進んだことになります。
まだまだ序盤、これからです。
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親切なことに、看板もバルセロナの方向を指し示してくれています。
バルセロナお散歩界隈にやさしい世界。
心なしか、あっという間に到着する気がしてきました。
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しばらく歩いたところで坂道に出ました。
相も変わらず危ないところを歩くので、気を抜かずに歩みを進めます。
車通りも割とありますし。
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※補足
尚、今回通った道ですが、路肩の幅が場所によって大きく変動し、人ひとりすら通れないような箇所もありました。
しかし、「迂回できそうなルートが確認できない」「歩行禁止のような表記が認められなかった」という理由から私はそのまま進みました。
その際、「どちらの方向からも車が来ていないことを確認した上で、安全が確保できる地点まで全力で走る」という手法をとっています。
ですが、これは非常に危険な行為であるため、皆様はくれぐれも真似をしないでください。
私も二度と行うつもりはありません。
4.この辺りから後悔の念に駆られ始める
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次第に傾斜が増してきました。
上り始めたときは緩い坂だとなめてかかっていたのですが、普通に山を登っている感覚です。
というか実際登ってます、たぶん。
この時点でもう疲れを感じ始めています。
普段から運動をしていないとこうなります、哀れ。
己の生活習慣を呪いながら3kmほど進んだところで、何やら霧が立ち込めてきました。
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気温の逓減も相まってか、不安な気持ちになってきます。
危険な場所を歩いているという実感が、いかに怖さを増幅させることか。
ましてや、携帯の電波が伝播しなくなりました。
マップで現在地を確認できませんし、仮に転落でもしようものならガメオベラです。
それでも坂は終わりません。
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しかし、「光あれば影もあり」、対偶をとって「影がなければ光なし」。
考えていた通りの文が得られませんでした。
なかったことにしておきます。
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次第に明るくなってきました。
ん、光見える。
心安らかなり。
(実際だいぶ安心しました)
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バルセロナお散歩界隈に希望の光。
地図も見れない中ひたすら進み続けたが、私は間違っていなかった。
「手がかりなくとも道は開ける」
この行脚で得た教訓です。
しかと胸に抱き、これからも歩み続けようと決意しました。
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道を間違えていました。
戻ります。
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上の下りをやりたかったがために時系列を入れ替えてしまったのですが、道中にバルセロナを一望できる箇所がありました。
正直、ここが一番綺麗に都市を見渡せる場所なんじゃないかと思います。
他に観光客がいたりするわけでもないので、文字通り、独り占めです。
バルセロナにお立ち寄りの際はぜひともいらしてください。
歩きか自転車前提ですが。
5.気持ち的には終盤戦
さて話を戻す(時系列的には進める)のですが、道を戻って正しいほうへと進みます。
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地図によるとこの辺に道があるらしいが…
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まさかね?
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まさかこんな獣道みたいなのがね?
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まさかでした。
というわけで道に出ることができました。
そんなバハマ。
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少し離れの住宅街っぽいところに出たみたいです。
山道じゃないというだけでありがたい。
まだ6kmくらいあるけど。
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ナビの指示に従って進み続けること20分程度、徐々に街並みが移り変わってきました。
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・バルセロナ豆知識
歩行者信号が赤になるタイミングと車両用信号が青になるタイミングは
ほぼ同タイミング(場所によっては完全に同時)。
なので、日本と同じノリで呑気に渡っていると危ないです。
せっせと渡りましょう。
・バルセロナ豆知識その2
歩行者はみんな信号を守りません。
6.Finalmente
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ここから最後の直線に入ります。
この道をまっすぐ辿っていけばカタルーニャ広場に到着です。
あと少し、頑張っていきましょう。
この時点で3kmほど残っているのですが、実は脚に結構きてます。
絶望のラストスパート。
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さすがにこの辺りまで来ると、観光客らしき人が沢山歩いています。
バルセロナは毎日激混みです。
おジャ魔女どれみの具体例、オーバーツーリズムとは何たるかを知ることになるわけです。
(「日曜日だったらお店やってないじゃん」というご意見もお受けしておりません)
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しかしですよ。
俺みたいな16km歩いてきた野郎、他に、いますかっていねーか、はは
it'a true wolrd. 狂ってる?
正論。
![](https://assets.st-note.com/img/1728689380-4njzkCEvx6ofdy1awIm83tBO.jpg?width=1200)
とか
![](https://assets.st-note.com/img/1728689397-5PM1OE72bjKBXiCdqcgSht4f.jpg?width=1200)
のたまっております間に
![](https://assets.st-note.com/img/1728689418-zjcDL12axK5bQovYGBwRtkUS.jpg?width=1200)
到着!!
なぜかカタルーニャ広場の写真を撮り忘れていたので、たまたま撮ってた動画(縦撮り)からスクショで拝借。
お陰で画質と画角が終わっています。
なんかのイベント準備っぽいことやってましたね。
時刻は12:18、タイムは4時間06分18秒でした。
道戻ったり、写真撮ったりしてたので正確とは言えませんがね。
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speedrun.comを確認してみたところ、「Bellaterra-Pl. Catalunya徒歩RTA Any%カテゴリ」の先駆者はなぜか存在しなかったので、事実上の世界1位タイムです。
対戦ありがとうございました。
完走した感想ですが、こんなの2度とやりません。
7.足るを知る
![](https://assets.st-note.com/img/1728690371-fsb0xnhe7u6zG32Ey5gcAtMN.jpg?width=1200)
なんとなくで始まったこのチャレンジ、生産性は特になかったわけですが、歩いている最中に一つ考えたことがあります。
それは「いかに現代に生まれた自身の環境が恵まれているか」というものです。
今回4時間かけて歩いた2地点間、電車を使えばたったの40分で移動することができるんです。
ましてや、脚に次の日まで続くような疲れなど残るはずもありません。
「長距離を手軽に移動できる」、これは技術の発展がもたらしてくれた大きな恩恵の1つ、人類の叡智の結晶です。
そして、交通機関の運営に携わっている人の存在も忘れてはなりません。
誰一人として欠けては成り立ちえないのです。
この認識は、現代社会をせわしなく生きている我々にとって見落としがちなことかもしれません。
意図してにしろ、してないにしろ、何かを仮想的に失ってみることでその価値を心から理解するに至るような気がします。
この場合、価値の再認識というより、本認識という表現のほうが適しているのかもしれません。
今回は電車という交通手段だけを例に挙げましたが、同様のことが全ての事象において言えると考えます。
かつてのCMで「世界は誰かの仕事でできている」というフレーズが流れていました。
まさしくその通り、想像なんて途方もつかないような、そんなレベルの複雑な構造、ネットワークによってこの現代社会、そして我々の生活は成り立っているのです。
先人の方々、そして今尚支えてくださっている皆様、本当にありがとうございます。
…書きたいことを書いていたら長くなってしまいましたね。
文章のまとめとして不適当、そろそろ〆に入ります。
今回の歩行時間が約4時間、そしてBellaterra-Pl. Catalunya間の運賃が2,55€。
【電車の場合】
たったこれだけの出費で3時間強の時間が確保でき、なおかつ疲れない
【徒歩の場合】
1€=¥163.27(2024年10月12日時点)
2,55÷4×163.27=104,08(円/小数第三位を四捨五入)
つまり、時給換算で約104円の節約にしかなっておらず、4時間もかかる
しかも数日にわたる筋肉痛のおまけつき
まとめ『電車に乗ってバルセロナ市街地を散歩するのがベター』
~完~