
知的資産の発見
知的資産の発見
本書で、知的資産経営の発見とは、従来、経営者(リーダー)自身が、知的資産だと考えていなかったようなもので、外部の目あるいは、従業員や他のメンバーが価値あると考えているものを見つけることをいいます。
そのためには、ブレーンストーミングやディスカッションなど、自由な雰囲気の中で意見が出し合える手法や、お互いが自由に記載したものを持ち寄るということが必要です。
また、過去のお客さま対応や会議などで提出・検討されたアイデアについても、その中に、これからの経営に役立つヒントが見つかるかもしれません。
奇跡のリンゴでよく知られた、リンゴ農家の木村秋則さんは、6年間も理想のリンゴを作ろうとして、失敗し続けました。工夫して、工夫して、すべて失敗し、大切なリンゴの木も枯れ始めました。
「もう終わりだ。家族にも迷惑をかけた。」彼は、死に場所を探して森に入ります。「首をくくって死のう。」そう思って、森の中を歩いて、ある適当な木の枝を見つけました。これなら良さそうだ。
そう思った彼の目に飛び込んできたのは、手入れをしていない森の、自然の土のすばらしさでした。そこで、彼は新しいヒントを得て、これが奇跡のリンゴを生み出しました。
各担当者やリーダーが、知的資産経営に生かすというつもりで、資料を見てみるのも有益でしょう。この木村さんには及ばないものの、大切な価値あるものが、実は一番身近にあったというのは、よく耳にする話です。
(追記)
過去の発見にまつわる多くの物語は、印象に残りやすくするため、脚色されたものかもしれません。
けれど、ある問題の解決策や、考えていた何かが”分かった”と思う瞬間は誰にでもあることだと思いますし、分かった後で振り返ると、「どうして今までこれに気づかなかったのだろう」と、不思議な感じもすると同時に、自分で情けなく感じることもあります。
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この記事は、「知的資産経営の実践」大学教育出版 2014年初版から抜粋・追記して記載しています。データ等は当時のものです。