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第3部 オフバランスシート

戦略とは「資源を集め、それを模倣が難しく持続可能な形で組み合わせること」
J.B.バーニー

第3部 まえがき

 第1部で見ていただいた、山田方谷の改革のすばらしさは、一言で言えば総合力・組み合わせのすばらしさだと言えます。
 (このnoteでは山田方谷の改革については後日取り上げます。)
 
 
 では私たちが、こうした総合力・組み合わせる力を高めるためにはどうしたらよいのでしょうか。私たちは子供の頃から、科目を決めて学習し試験を受けています。
 
 そのためいつの間にか、いろいろなものを、分野に分けて理解しようとします。分野を分けることで、学習はしやすくなるのですが、一度一つの分類と思いこむと、その分類の中でしか物事を考えなくなるのではないでしょうか。
 
 例えば、一見経済活動には思えない事柄は、考慮の対象から外してしまうのではないかということです。

 知的資産経営とその支援も、知的資産と思うとマイナスの要素は考えなくなります。また簿記や会計を学ぶと、そのルールに則り正確に帳簿をつけ、財務諸表(決算書)を作成するということに集中しますから、財務諸表に掲載されないものは、資産でも負債でもないと、いつの間にか思いこんでしまうのです。
 
 これは、そもそも当たり前のことでしょう。
 会計公準では、貨幣評価の公準というのがあるのですから、あくまで貨幣に換算して掲載します。
 
 ここでいつの間にか見落としていると思うのは、貨幣に換算してというのは、一定のルールで貨幣評価が比較的簡単なものに限定しているということであり、価値があると認められるが、どのように貨幣評価すればよいのか明らかでないもの、あるいは意見が食い違うものは掲載されていないということです。
 
 さらに、財務諸表を見てばかりいると、そうした価値はあるが評価が困難なものに、貨幣的価値があるということを忘れてしまうのではないでしょうか。

 そこで、本書で提唱したいのが、最初からオフバランスなもの(財務諸表に載らないもの)を、“オフバランスシート”として表し、経営を進める際、オンバランスなもの(財務諸表に掲載されるもの)と同時に常に意識していこうということです。
 
 これは、とりもなおさず、本書の目的である知的資産(将来の収益発生につながる可能性のある経営要素)を見つける意識を高めるものでもあります。

*ここでのオフバランスシートとは、取引のオフバランス化というのとは異なります。

(このnoteでは、本章を抜粋して掲載します。)

 
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この記事は、「知的資産経営の実践」大学教育出版 2014年初版から抜粋・追記して記載しています。データ等は当時のものです。
 

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