【勉強会レポート】もしものために知っておきたい!ホストが災害時にすべきこと・できること
スペースマーケットはビジョン・ミッション達成に向け、さまざまなステークホルダーとの連携を強化していきたいと思っています。その一環として、ホストのみなさまと災害についての認識を深め、もしもの際に対処する準備をするための勉強会を、9月1日の「防災の日」に開催しました。
本記事では、勉強会の内容を要約してご紹介いたします。勉強会の様子を録画したフルバージョンの動画につきましてはこちらをご覧ください。
今回、災害支援の専門家である全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)の古越様をゲストにお招きし、もしもに備えて把握しておきたいことをお話いただきました。
被災した際にホストがやるべきこと、気をつけること
被災した際の自治体などへの申請、頼れる支援や制度について
自分の地域が被災地になった際に、スペースの所有者として貢献できること etc.
スペースマーケット端山(以下、端山):弊社では持続可能な社会に向けてサステナビリティビジョン「アクションを生み出し、世の中を美しくする」を掲げています。サステナビリティの3つの重点テーマのうち「社会:多様性の受け皿」について本日は話していきます。平時だけではなく災害時にも、場所を通じて地域社会を支えていきたいという思いです。
古越さん本日はよろしくお願いします。
JVOAD古越(以下、古越):よろしくお願いします。JVOADは、災害時の被災者支援活動が効果的に行われるよう、地域、分野、セクターを超えた関係者同士の「連携の促進」および「支援環境の整備」を図ることを目的に設立された団体です。支援の「もれ・むら」をなくすため、行政、民間、支援者間の調整などを行っています。
被災時に気をつけたいことは?
古越:災害にはいろんな種類があります。今回は水害にあった場合のケースを紹介します。
災害があったら、最初に自宅の被害状況を証拠として撮影しておく→被害認定調査を受ける→罹災証明書を申請する(住家の被害程度を証明する書類)→保険に入っていたら保険会社に連絡する。その間、片付け方法を確認したり、認定内容に納得できない場合は再調査を依頼する、という流れになります。
家の片付けをする際には、片付け前に以下のポイントを点検したり、片付け作業時には安全確保のために肌の露出を避けた服装にしましょう。
また、浸水した家の片付けをする際には、家財道具の仕分けのほか、天井や壁、床下など見えないところもしっかり確認する必要があります。とくに浸水した場合には、いかに早く床下を乾燥させるかというのが重要になってきます。
被災し、生活を再建するための支援として様々な制度があります。自治体によって違いますし、制度が更新されることも頻繁にあります。支援制度を知って上手に使いましょう。※その他受けられる支援制度については勉強会の動画(16:55頃から)をご参照ください。
スペースマーケットの災害支援パッケージとは?
端山:大規模災害が起きた場合、スペースマーケットに掲載されているスペースの提供を通じて災害支援をする仕組みです。シェアリングエコノミー協会とJVOADが2020年に締結した連携協定のもとで支援を行います。
災害支援活動にシェアリングサービスを通じた支援を取り入れていくことで、これまで解決できなかった課題を解決するとともに災害支援に関わる人々の視野を広げ、迅速かつ実効性のある災害支援を実現することを目指しています。
詳細はこちらのプレスリリースをご参照ください。
支援の内容については以下の通りです。
災害のフェーズについては、4つのフェーズに分けられます。もちろんどのフェーズにおいても必要な場合には支援していきますが、スペースマーケットとしては、生活再建期以降をメインに貢献していければと考えています。
主なフローは以下です。災害の規模や内容によって適宜調整させていただきます。
自分の地域が被災地になったとき、どんな貢献ができるのか?
端山:スペースシェアが貢献できそうな部分を具体的に教えていただけますか?
古越:みなさまが所有するスペースは「地域リソース(資源)」の一つになり得ます。物資の提供場所や、生活再建の際の家財を保管しておく場所など、「場所」というのは被災地では非常に重要になります。主に、①避難所運営支援、②災害ボランディア・NPOの活動調整、③物資の確保、④物資流通の部分でみなさまの場所が活用できるかと思います。
様々なスペースがある中で、求められているスペースのニーズをうまくマッチングできればと思ってます。例えば、被災したときに家を壊して再建させる際、助かった家財をどこに置くかが問題になります。保管場所の提供は被災地の外でもご支援いただけるかと思います。
ほかにも、物資を置く保管場所や、子どもが声を出して遊べるような遊び場、支援者同士が相談に乗れる場所、残った写真の洗浄作業・展示場所など、どこの分野においても場所が関係します。小さなスペースでも支援に繋がるので、何に活用できるかを地域の方と一緒に考えていただくのが良いかと思います。
こころの復興を支える
古越:災害後には「明日から頑張っていこう」と希望を持ってもらう『こころの復興』が重要になってきます。
例えば、宮城県名取市の閖上(ゆりあげ)は、東日本大震災の津波により壊滅的な被害を受けた地域です。発災翌年の7月に訪れた際、道に小さな看板が置いてありました。
なんだろうとよく見たら、プレハブがぽつんと建てられていたんです。
壊滅的な被害があった場所に、住民の皆さんが、当時どのような生活が営まれていたかがわかるような展示室になっていました。こういった場所の提供も、被災された方にとっては、その後のこころの復興に繋がるということを知っていただけると嬉しいです。
端山:2021年に起きた熱海市の土石流の災害時にも、被災者同士が集まれる場所が心の支えになったという話も伺いました。
古越:災害が起きると、住む場所が突然奪われてしまいます。離れ離れになっても一つの空間に集まって話をしたり、無事を確認したり、ひとりぼっちじゃないということがわかるだけでも非常に励みになると思います。
心の支援につながるような、場所を通じたアクションも、是非広がっていくと嬉しいです。
ホストのみなさまにご留意いただきたい点
古越:罹災証明など生活再建の制度は住んでいる家(住家)が中心に考えられています。住んでいる場所がどれくらい壊れているかどうかで支援の方法が変わってきます。そのため、住んでいないスペース(非住家)が被災した場合は、他の支援制度を探さないといけなくなります。例えば、企業を支援する仕組みのところで貸付いただくなど、住んでいる場所とは別に考える必要があります。
最後に
古越:被害の出方も災害によって変わってきます。ホストのみなさまには、いざというときに自分の身を守るためにも、日頃から市町村のハザードマップをご確認いただいたり、自治体が出している情報を収集いただき、少しでも災害時の「もしも」に興味を持っていただけるとありがたいです。
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この記事は勉強会の様子を抜粋しております。フルバージョンの動画につきましては、下記のリンクよりご覧ください。
スペースマーケットでは、登録スペースの遍在性と多様性を生かした支援を行うことで、被災された皆さまに少しでも寄り添うことができればと考えています。
これを期にみなさま一人一人が防災に対しての意識を高め、もしもに備えていただくきっかけになれば幸いです。