創業2年で実店舗8店を運営し、TC Tokyo 2019に出場したアプリを閉鎖、webサービス「orosy」にピボットするまで。
出店者をD2C・オンラインブランドに限定した卸仕入れサービス「orosy」を運営する株式会社スペースエンジン 代表の野口と申します。
9/7に「orosy」ベータ版をリリースしましたが、2018年5月創業以降、そこに至るまでの経緯やしくじりを記録し、これからスタートアップする方、今まさに事業を立ち上げている方へ1事例の参考になればと思いnoteを公開しました。
※本記事は、0->0.5段階のどシードスタートアップの記録です。設立〜orosyリリースまでの2年3ヶ月を時系列で記載しています。
0. 設立(エンジェル投資)
この会社は私にとって2社目の起業です。1社目は学生時代に大阪市の支援を得て、シリコンバレーを拠点とするVC、サンブリッジさんと出会い、年齢が倍以上離れた50代の方と共同創業をしました。
1社目の会社を退任し、誰でもオフライン、実世界で自由に商いができるようにしたいと思いから、「すべてのひとに自由なリテールを」をミッションにする株式会社スペースエンジンを、エンジェル投資家の支援を受け、2018年5月に設立しました。
SNSや、BASEさん、CAMPFIREさんなどの登場で、オンラインでの「商い」は限りなく自由になりましたが、オフラインに出て商いを行おうとすると、店舗、内装等のハードの問題、資金、人材など数多くの壁があります。
そこでそれらのコストを限りなく抑え、ブランド独自の魅力やストーリーを持つ方々が、オンラインでも自由に商いができることを目指します。
初期のアイデアver1.0(2018年5月〜8月)
初めは【shop-in-shop形式】、既存店舗の一部区画を間借りして、ブランドが物販できるようにしようと考えました。が、下記2点から現状の私では実現が難しいと判断し他の方法を検討しました。
・平均的な坪売上とユーザーが区画を借りる料金のバランス
・商業施設等のテナントは"又貸し禁止"
→パワポの計画や市場を調べることも大切だが、まず「手をあげる、やる宣言」をすることも大切だった。
初期のアイデアver2.0(2018年8月)
商品を店頭に置ける・販売できる他の方法を検討し、次に【商品を店舗に預けて販売してもらう(委託販売)】方法を試しました。
知人の会社に協力して頂き、「社内物販募集」の告知をSNS等に投稿すると、いくつかブランドから申し込みを実施し、販売まで実際にうまく機能したのです。
1. 常設舗3店舗、ポップアップショップを5回運営
ちょうど「社内委託販売」を終えた頃、初期のアイデア【shop-in-shop形式】から相談に乗って頂いていた阪急阪神不動産様から、「商業施設の催事エリアが5日間だけ空いている」とご連絡を頂き、
委託販売方式を拡大する前に、自分たちでも店舗運営を運営してみることに、初めてのポップアップショップを開催しました。
SNSでの集客(無料)により、2週間の申込み期間に400件以上申し込みを頂き、これは一人では間に合わない...と、転職中の知人や知り合いに声をかけ、初めてのポップアップショップを実現しました。(2018年10月)
私たちの店舗だけでなく、他の店舗でも簡単に委託販売ができるようにアプリ化する計画を始め、知り合いのエンジニアの方々に副業でアプリの開発をサポートして頂きました。(2018年11月)
アプリ開発中、より多くのユーザーを獲得するため、ビジネスモデルを固めるために、他の商業施設でもいくつかポップアップショップ、実店舗を展開しました。
本来はアプリ化して自分たちの店舗ではなく、他社の店舗で自由に販売できることを目指していたが、「実績」を出して次の資金調達に進むことに囚われ、本来の目標ではない、店舗を運営することに力を注いでしまった。(2018年11月〜2019年5月)
→ここでの「実績」とは、ユーザーの増加や売上など正しい実績ではなく、「店舗を構えた実績」「大企業との協業実績」「メディア掲載」などパフォーマンス寄りの間違った実績を意味します。
→PoCやユーザー集めはとにかくコストを抑えてやるべきだった。
→プロダクトをリリースしPFMが達成できるまで、大企業との連携よりもプロダクトを作ること、ユーザーに集中すべきだった。
2. アプリ化SpaceEngineをリリース(資金調達)
店舗運営を行いながらも、アプリ開発は続け、SpaceEngineをリリース(2019年5月)
リリース後、BASEさまやスマレジさまに連携頂き大きくユーザー数を伸ばすことができました。(可能性にかけて頂きありがとうございます)
また、B Dash Camp 2019 Fall in Fukuokaで「スペシャルアワード(特別賞)」(2020年10月)、TC Tokyo 2019スタートアップバトル(2020年11月)に出場でき、大阪の無名企業が、東京の方々に知って頂けるきっかけになりました。
→コンテスト系は、それ自体が目標になってはいけないが、出場し受賞することは価値があると思う。(広報、信頼、他社からの興味を一気に獲得できる)
事実、Coral CapitalやKVP、Plug and PlayなどのVCから出資を頂ける(2020年1月)きっかけになったと思う。
→地方のスタートアップ(私たちも当時の拠点は大阪)は、東京に移転する必要はないが、東京の情報を得て、質問できるようなネットワークを作った方が良いと実感。情報の差がとてつもなく大きい。
3. SpaceEngineの閉鎖とorosyリリース
SpaceEngineのアプリは、ユーザーからの評価は頂けたが、
・アプローチが、サプライヤーから店舗への一方通行(airbnb形式)
・販売形式が委託販売のみ
が、ユーザー間の自由な商いを大きく制限してしまったため、
SpaceEngineの機能を含むより本格的な卸仕入れに対応しようと決断
(2020年1月)
名前もポップアップショップ、shop-in-shop時代の空間をイメージさせる「SpaceEngine」から「orosy」に変え、新しくサービスの開発スタート(2020年2月)
→開発中はこれまでの反省を踏まえ、顧客だけに向き合い、コストをかけずshopify等を用い本質のPoCのみを実行していました。
▶イマココ!!
→結果、ベータ版リリース時に「CCCさま」「ナノ・ユニバースさま」「unicoさま」などから活用事例とコメントを頂けるまでに成長。
2020年9月7日、【出店者をD2C・オンラインブランドに限定した、卸仕入れサービス「orosy」】をリリースしました。
リリースも数多くのメディアに記載頂き、誠にありがとうございます。
orosyとは
D2C・オンラインブランドに特化したB2Bの卸仕入れマーケットプレイスです。
<D2C・オンラインブランド>
卸先店舗を選別から、価格のコントロールなど、ブランド価値を守りながら
新規の卸先開拓、取引の管理ができます。ブランド独自の魅力やストーリーを持つ商品を、相性が良い店舗を通じてより多くのお客様に届けることができます。
<バイヤー・店舗>
仕入れの店舗側では、新型コロナウイルスの影響により展示会や商談がキャンセルとなり、商品探しに苦労しているケースも多く、orosyを通じて実店舗と相性の良いD2Cブランドの仕入れを行いたいというニーズが高まっています。
運営会社のこと
私たちは、決して、誰でもオフライン、実世界で自由に商いができることを諦めず、「すべてのひとに自由なリテールを」をミッションに企業活動を続けます。
『D2C、オンラインブランドの出店希望者』『それらブランドの仕入れを希望する小売店舗の方』『連携可能性のある企業』『一緒にorosyを開発、拡めるまだ見ぬ未来のメンバー』
ご興味頂けましたらお気軽にご連絡下さい。
株式会社スペースエンジン 野口
https://orosy.com