見出し画像

惑星探査におけるミッションタイプについて

現在、NASAやJAXAなどの世界各国の宇宙機関が太陽系天体への探査を次々に行っています。しかし、これらの惑星探査にも様々なミッションタイプが存在します。大きく分けると以下のようなタイプがあります。

・フライバイ
・オービター
・ランダー
・ローバー
・ペネトレータ/プローブ

それぞれどのような特徴があるのかみていきましょう。

フライバイ

宇宙機が,目標の惑星に接近してその近傍を通過した際に天体の地表面や大気を観測する手法。観測時間が短いため、得られるデータは断片的
遠い天体(天王星、海王星など)を観測したい場合、現状周回衛星を飛ばすにはハードルが高いため、フライバイで限定的な情報を集めた上でその後のミッション検討を行う。下にフライバイの概観を示す。

スクリーンショット 2020-11-02 8.30.28

フライバイの代表的な例は、ボイジャー。1977年に打ち上げられ、太陽系の全ての惑星の表面や大気の鮮明な画像を私たちに届けている。

画像4

(credit: NASA JPL)

オービター

天体を周回する探査機のことを指す。定義だけを見れば、地球周回衛星も含まれるが、一般的には宇宙探査機に使われます。
オービターを使うことで、比較的長時間継続的に目的天体を観測できるため、季節変動に関する情報が得られる。また、天体のあらゆる地域のデータを観測できるため、地域特性に関する情報も取得可能。
現在の太陽系天体探査ではよく用いられる探査機のタイプである。

オービターの代表的な例は、JAXAの打ち上げた月探査機「かぐや」や火星の詳細な地表面画像を取得したマーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)などが挙げられる。

ランダー

天体の表面に着陸し、静止することが出来る宇宙機のことを指す。着陸した周辺の環境を搭載機器を用いて調査する。
実際に、その天体の物質を"その場"で実験装置を用いて調べることができるため、フライバイやオービターと比べ、地質や物質成分、大気についてのより詳細なデータが得られる。一方で、着陸地点周辺でしか観測できないため、データサンプルがするなく、そもそも目的とした場所に降りられないリスクもある。

代表的なものとしては、火星探査ランダー「バイキング」が挙げられる。
このランダーは火星に着陸し、火星表面の土壌調査、微生物の存在探査などを行った。

画像4

(credit: NASA)

ローバー

ローバーとは、天体の表面を移動することが可能で、かつランダーのように天体の物質の"その場"観測を可能にした探査機のこと。
ランダーが着陸地点周辺しか調査できないのに対して、ローバーの一番の特徴は移動して、観測に適した場所を探すことができることだ。これにより、一回のミッションで複数地域の観測ができるというメリットがある。

下にローバーの代表格である火星探査ローバー「スピリット」のイメージ図を示す。ただ現状、ローバーの移動速度は大変遅く、スピリットの場合3kmを移動するのに約5ヶ月もかかっている。
現在のところは、無人探査ローバーが主流だが、将来的には有人探査の際の移動用の乗り物としても使えそう。「有人探査+ローバー」が可能になれば、探査のスピードももっと早くなるだろう。

画像4

(credit: NASA)

ペネトレータ/プローブ

ペネトレータは英語のpenetrate(突き刺さる)からきており、その名の通り、天体に衝突させることで、天体の内部構造や物質分布を調査することができる。
上記4つの探査では地表面の様子や物質については詳細に観測できるが、地下の情報を取得するのはなかなか難しい。ローバー探査で地面に穴を開ける探査も検討されているが、せいぜい50cm程度。これだと、月のようにレゴリスに覆われていたり、火星のようにチリで覆われている天体においては、内部の組成を理解することはできない。ペネトレータでは2mくらいまで装置が貫入するので、その天体の真の内部物質を調べることができる。
以下にペネトレータの概観を示す。(普通にわかりづらいかも笑)

スクリーンショット 2020-11-02 9.05.22


同じような装置で、プローブというものもありますが、私の認識ではペネトレータとプローブは同じものだと思っています。(もし違ったらすいません)

もちろん、今後の宇宙探査をする中で上記で紹介したタイプではない探査機も出てくるでしょう。ただ、基本的には上記のタイプに当てはまるものが多いと思います。なのでこれらのミッションタイプを理解することにより、どのような探査をしたいのか、何を目的にする探査なのかを理解できると思います。

よろしければサポートとお願いします。研究用の参考書代に使わせていただきます。