少しだけ悲しくて、不思議な出来事
何度も生まれ変わり、会いに行く。
大きさなんて、距離なんて関係ない。
人生をかけて守ると誓い全うする姿勢にフィクションながら「言葉を話せたらどんなふうに話すのだろう」と妄想する。
ふと、幼い頃飼っていた犬を思い出しました。
脱走することもなかったので鎖をつけていなかったのですが年を重ねた頃出て行くことが多くなり、今思うと死に場所を探していたのかもしれません。
最後の日、妹が突然「もう帰ってこないから首輪を外してあげよう」と言いました。
私はまた帰ってくると思っていただけに驚きましたが、半信半疑で首輪を外すといつものように外へ歩き出し、一度だけこちらを振り返りました。
まるで別れを告げるように。
一瞬でしたが、その瞬間は今でも鮮明に覚えています。
どこか悲しそうな、申し訳なさそうな顔。だらんと垂れた耳。
「さようなら、今までお世話になりました」
そう言われたような気がしました。
すぐに何事もなかったように踵を返し、そして出て行ったきり2度と帰りませんでした。
人間のように言葉が話せたら何と言ったのだろう、と動物の作品を観るたびに思い出します。
家の中で飼っていたわけではなく、お金をかけて定期的に病院にも連れて行ってもいませんでしたが「何かできることはなかったのだろうか」と、たまに後悔します。
それから犬は飼っていません。もうあんな寂しそうな顔を見たくないから。
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