NPO法人OVAで制作した数々のまとめ
NPO法人OVAは、ICT(情報通信技術)を活用してアウトリーチやインターネット相談、ソーシャルアクション等に取り組む団体です。
私はこちらで相談員として約1年、研究員として約5年勤務する中で、さまざまな研究やプロジェクトに参加しました。ここで一度、自分が開発・実施・分析・執筆等に携わった調査報告書(中間報告を除く)、手引き・ガイドライン、研究論文をまとめることにしました。
すべて公表されているもので、自殺予防やICTを活用したアウトリーチ等の活動に有益なものとなっています。テーマ別に分けましたので、ぜひご覧ください。
✑研究成果については、こちらのまとめもご覧ください。
各テーマ内で、調査研究の報告書には○、手引きやガイドラインは◇、論文や学会報告は▢を文頭につけて区別しています。なるべく新しい情報を参照していただきたいこともあり、新⇒旧で並べています。
ゲートキーパーに関する調査
○子どもの自殺の危険との遭遇に関する実態調査報告書―誰にどのようなゲートキーパー養成研修を実施すべきか?―
2023年3月に公開しました。小学生以上の子どもの自殺の危険に関する遭遇体験について明らかにし、ゲートキーパー養成研修を実施すべき対象者と、その内容を提言しています。
ICTを活用した自殺対策(全般)
自殺総合対策推進センター(当時)による委託研究で、ICTを活用した検索連動広告やメール相談のあり方などを検討しています。3年分の報告書がありますが、単年度研究です。ここで検討したものは、その後論文でも発表しています。
○革新的自殺研究推進プログラム令和元年度委託研究報告書
ICTを活用した地域自殺対策の強化に関する研究
○革新的自殺研究推進プログラム平成30年度委託研究報告書
ICTを用いた自殺対策の新たな方向性の検討
○革新的自殺研究推進プログラム平成29年度委託研究報告書
ICTを用いた自殺対策の新たな方向性の検討
ICTを活用した自殺対策(検索連動型広告/アウトリーチ中心)
研究成果に基づいて、実際の広告運用の仕方や注意点をまとめたガイドラインを2種類制作しています。
◇自殺対策のためのICTアウトリーチ インターネット広告のガイドライン
2020年4月に公開しています。
◇自殺関連用語の検索連動広告ガイドライン
2018年7月に公開しています。
▢Takahashi A, Sueki H, Ito, J: Reflection of suicidal ideation in terms searched for by Japanese Internet users. Crisis, 2022.
自殺に関する検索用語と自殺念慮の関係を調べた論文です。下記のnote記事にも簡単にまとめました。
▢髙橋 あすみ, 土田 毅, 末木 新, 他:「死にたい」と検索する者の相談を促進するインターネット広告の要素は何か? 自殺予防と危機介入 40(2):67-74, 2020.
実際に電話相談に促す広告を運用して、どのような広告の要素が相談行動につながるのかを検討した論文です。
ICTを活用した自殺対策(メール相談中心)
◇インターネット・ゲートキーパーの手引き(A4版全111ページ)
NPO法人OVAで実践している相談ノウハウを、先行研究に基づいて体系化した手引きです。メール相談の導入を検討している自治体の関係者や支援者に読んでいただくことを想定しています。2020年4月に公開しました。
こちらはなんと英語版もあります。協力して翻訳しました。
◇Support Methods for Online Consultantion (English version)
▢Sueki, H., Takahashi, A., & Ito, J. (2022). Changes in suicide ideation among users of online gatekeeping using search-based advertising. Archives of suicide research, 1-12.
NPO法人OVAで実施してきたインターネット相談の取組に、自殺予防効果があることを示唆している論文です。
こちらの論文は、先に学会でも報告しています。
▢末木新・髙橋あすみ・伊藤次郎『インターネット・ゲートキーパー活動が相談者の自殺念慮に与える影響』日本心理学会第85回大会(2021年9月)
優秀発表賞も受賞しました。
▢Takahashi A, Sueki H, Ito J: Rapid e-mail response to first-contact e-mails increases consultation continuation rates for suicide prevention. Asian Journal of Human Services 20:19-33, 2021.
初回メールに対する返信速度とその後の相談の継続の関係を調べた論文です。note記事でも紹介しました。
▢「死にたい」を受け止めるメール相談の現場から
日本心理臨床学会第41回大会で相談員の皆さんと自主シンポジウムを開催しました(2022年9月3日)。70名ほどの方にご参加いただきました。
▢インターネット臨床への挑戦-「死にたい」若者とのメール・チャット相談-
日本心理臨床学会第40回大会でも自主シンポジウムを開催しています(2021年9月4日)。110名ほどの方にご参加いただきました。
DV被害に関する調査
○性を問わないDV被害に関する実態調査と新しい相談体制の検討
2021年12月に公開しています。対象者の性を問わずにDV被害の実態を調べ、DV被害に関する啓発事項や相談体制について考察しています。
この調査に基づいて、翌年には下記の学会発も行いました。
▢髙橋あすみ・伊藤次郎『IPV被害者の相談行動に関連する要因の検討―異性愛と同性愛に着目して―』 日本心理臨床学会第41回大会(2022年9月2日)
○検索連動型広告を利用した男性DV被害者と支援先の実態調査
男性に焦点を当てて、検索連動型広告を活用したアウトリーチの可能性を調べた調査です。2020年6月に公開しました。その後、2021年にこちらの調査結果が『教育アンケート調査年鑑2021年版』にも掲載されました。
これからもNPO法人OVAと一緒に研究プロジェクトとソーシャルアクションに取り組んでいきたいと思っています。
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