こなれた出張を目指したい
コロナ禍での移動制限が緩和されてきた現在、学会や講演会なども対面形式に戻ってきました。そのため、所属先に留まらずに移動して仕事することも増えてきました。
私は、各地の大学に出向いて自殺予防教育を実施し、その効果を検証するという研究を長らく続けています。学会発表にも積極的な方なので、研究において出張機会は(フィールドワークを行う研究者ほどではないと思いますが)比較的多いです。
その他、居住地とは異なる地域での非常勤をいくつか掛け持ちしていることもあり、出張先に滞在する期間は短いものの頻度が多い「短期・高頻度」のフッ軽出張タイプを自称しています。
「高頻度」出張タイプが北海道に住んでいるのは大変不利です。
交通手段はほぼ飛行機で時間がかかりますし、冬は雪難を見越して余裕をもった日程にしないといけませんし、結果的に日帰り出張とはいかず研究費が旅費に割かれます。
できる限り「時間」「料金」「手間」といったコストを低下させることが「こなれた出張ライフ」につながる近道といえるでしょう!
そこで、2021年度には飛行機で15往復し、1週間の出張を終えたばかりの私の出張ライフハックをまとめました。私自身が自分の出張をもっとこなれたものにしたいという目的が第一ですが、飛行機に乗り慣れていない方や、女子大学院生の参考にもなりますように。
1.予約
航空券の予約
基本的に航空会社の公式サイトを使って1~2か月前に予約しています。
私は北海道の翼AIRDOが好きです。便数もそれなりにあってサービスも良く(機内サービスのオニオンスープは美味)、価格は安めです。
一気に複数の便を予約する必要があるときは、さくらトラベルを使っています。
航空券の予約で「これはうまくいったぞー!」と思うようなことは特に発生していません。代わりに後悔したことが多いです。
日程の誤りや時間変更のために、変更不可のチケットのキャンセル料ともう一度予約する手間がかかった(これはやや仕方ない)
誤って逆区間の航空券を買ってしまい、キャンセル料ともう一度予約する手間がかかった(これはうっかりミス)
ちょうどよい便の時間帯がわからず、空港で時間を持て余したり、空港に着いてから急いで走ったりする(これはしょうもない)
わざわざ書くほどでもないですが、下記のような教訓が得られました。
航空券予約の教訓1:変更可能なものにせよ
日程や時間帯に変更の可能性があり、出張費を出してもらえる場合は、変更可能なチケットを買うことをためらわないこと。
航空券予約の教訓2:支払いは冷静なときに
チケットの購入は、冷静なときに集中しておこなう。さらに予約から支払いまでに1日猶予を持つこと。
航空券予約の教訓3:便の時間は空港で過ごす時間をふまえよ
往路の空港:使い慣れているため時間を持て余しがち。ただし広くて移動に時間がかかるので、空港で過ごす時間が約1時間になるように設定する。
帰路の空港(大):移動や保安検査に時間がかかったり、使い慣れていなくて迷ったりする可能性がある。さらにお土産を買う必要もあるため、空港で過ごす時間が約2時間になるように設定する。時間が余ったらラウンジを使えばよい。
帰路の空港(小):お土産をじっくり買うとしても、約1時間で十分。
ホテルの予約
だいたいAgodaを使っています。一度に複数予約すると、少し安くなることがあります。
ホテルも会員制でお得になるところが多いです。私は現在のところ東横イン、リブマックスホテルズ、ABホテルの会員になっています。
▲今のところ一番お気に入りのホテル
ホテル予約時に悩むのは、宿泊場所の最適解です。
用務先の最寄り駅近くのホテルが一番楽だと思いますが、私の移動は夜が多く、終電までに目的地にたどり着けないことがあります。また、目的地が都会だと宿代が高すぎる場合もあり、そのようなときは少し離れた所のホテルを探すようにしています。
いろいろ出張を繰り返した結果、夜型の私は”夜のうちにできるだけ目的地に近づき、翌朝は目的地まで電車1本で行ける所に泊まる”という解法に落ち着きました。
その他、探すときは下記の条件を優先しています。
深夜までチェックイン可能
飛行機移動は離着陸時間を左右する要因が多く、到着時間がずれてホテルへのチェックインも間に合わない場合があります。そのため、ホテルのチェックイン可能時間が深夜までの所を選びます。駅まで徒歩5分圏内
最寄り駅まで徒歩10分だと、荷物を持って歩くには遠いと感じることが多いです。朝食が無料
ビジネスホテルは朝食無料の所が多いです。私は朝ごはんがホテルに付いていないと朝ご飯を食べ逃すことが多いので、できれば付けたいです。大浴場がある
入浴可能時間にホテルに滞在できないときは入れないと損に感じますが、やはり大浴場があると嬉しいです。わざわざ部屋の浴槽にお湯をためて入ろうとは思いませんが、大浴場があると入っちゃいますね。
予約の管理
航空券やホテルの予約状況を確認するには①予約した公式サイトの予約情報、②予約の確認メールのどちらかを見ることになります。
しかし、①はいちいちログインするのが面倒、②同時に複数の出張計画を立てる場合にどのメールがどの予約なのかの検索・判断が面倒です。メールはフォルダを分けてみましたが、検索はやはり面倒。
試しに旅のしおりアプリを使ってみました。
こちら、複数人の旅行では行きたい場所を共有できたりプランを細かく立てられて使い勝手が良かったですが、一人の出張では多機能すぎました。
現在は「予約した瞬間にGoogleカレンダーに予定として入れる」という管理方法に落ち着いています。
2.書類申請の手間
私の大学では、出張伺を出張日の3週間前には提出する必要があります。何のために、いつからいつまでどこで何するかを申告します。出張伺と同時に、出張を証明する依頼状やアポイントメールのコピー、航空券の領収書なども一緒に提出します。
私は事務手続きが苦手なためか、同時に複数の出張計画を考えねばならないことが多いためか、この単純作業を苦手としています。何度も作り直したり、書くべき内容を誤ったりして、よく締切をおしてしまいます。
ここでは、少しでも己の苦手意識を解消するために、かなり細分化した(自分以外の誰にも役立たないであろう)リストにしてみました。
出張後も出張報告などの手続きが必要ですが、これは行く前の手続きよりは気楽です。報告のために、出張中に発行した領収書や搭乗券などは一つのファイルに入れて保管します。
3.移動にかかる時間の削減
空路の移動時間はどうしようもありませんが、空港に行くまでの時間や用務先に行くまでの陸路の時間を工夫することで、移動の時間・労力削減を目指しています。
飛行機に係る時間の削減
Skipサービス(予約時点で発行される電子チケットで搭乗までできるサービス)を使って搭乗する
機内の座席を前方かつ通路側にする(ただし、航空事故での死亡率を下げるには座席は後方が望ましい)
荷物を預けない
(究極)空港の近くや沿線に住む
陸路の移動時間の削減
エスカレーターに並ばない
バックパックに全てを詰め込んで、移動のときに手が空くようにする
スニーカーとパンツなど機動性の高い恰好にする
出張ルートを一定にする
荷物が多い、天候が悪い、夜遅いときにタクシーを使うことをいとわない
4.機内での過ごし方
ファーストクラスが使えれば優雅に過ごせそうですが、若手研究者は差額分のお金を払う貯金はまだありません…。快適に過ごせるよう模索中です。
個人的には、機内でいかにいつも通りのプライベートを物理的・心理的に確保するかが重要だと思っています(一方、飛行機がまれな人は非日常を味わった方がよいと思います)。
座席
お腹がヨワヨワのため、出入りしやすいように基本的に通路側にしています。飛行機を予約した段階で座席が指定できます。通路側は身体の片側は必ずオープンなので窮屈さが減るのと、移動が早いです。
隣の列の席は複数空いているのに自分の列だけ密であるときは、座席を移動させてくれることがあるので、客室乗務員さんに聞いてみています。
乗り物酔い対策
普段の日常生活では経験しない動きにたまに気持ち悪くなるので、なるべく頭を背もたれに付けて動かないようにして座っています。また、離着陸時は本を読んだりするのを止めて、何も見ないようにしています。
服装
道民の出張族にとって服装の選択は難しいです。
最近はコロナ対策で機内のブランケット貸し出しサービスもなくなっていて、特に暑い内地から涼しい北海道に帰るときに、機内で寒く感じることがあります。北海道がまだ寒い・涼しいと感じる気候のときは、着脱しやすい上着か持ち歩けるブランケットを機内に持ち込むことをお勧めします。
作業
機内で過ごす時間は約1時間半~2時間半が多いです。寝てもよいですが、私は座位ではほぼ眠れません。機内誌に目を通した後は、持参した本を読み進めるか、PCを広げて作らなければならない資料を作成しています。
機内にwi-fiサービスがある飛行機もありますが、せっかくなのでインターネットと距離を置いて、文章を書く作業に集中します。クラウド上に保存していたファイルをオフラインでも作業できるように設定するか、ダウンロードしておくのを忘れずに。
ところで、移動中に研究に関わる重要なひらめきがあるのが研究者の性…!
そのため、座席のポケットにメモ帳とペンを入れておくのがおすすめです。
私がこの前聞いたセミナーの先生は、飛行機で移動中に思いついたモデルを、手元のナプキンにメモしたと話していました。
飲み物
機内には飲み物サービスがあります。いつも楽しみです。
ただ、私は飲み物がそばにないと落ち着かないので、サービスとは別に飲み物を持ちこみます。保安検査場で飲みかけのペットボトルの検査があるのが面倒なので、搭乗直前に買うようにしています。
カフェ系の飲み物をテイクアウトするときもあるのですが、飛行機の座席に離着陸時も置いておけるドリンクフォルダーはないので、苦し紛れに足に挟んで過ごします。シートポケットに飲み物を入れておくには、水筒を持参するのが良いでしょうね…。
5.持ち運ぶ荷物のコツ
一番コストを割いている部分です。出張に使うものをその都度パッキングするのは時間がかかるので、出張用の物は大体入れっぱなしで保管します。
バックパック
2泊3日程度の出張にはこちらのCHROMEのリュックを使っています。たくさん入るので、全荷物が他に手持ちのトートバックくらいで済みます。ただし、力自慢の私が背負っても結構重たいです。
キャリーケース
3~5泊のときに使います。HaNTは可愛くて気持ちが盛り上がります。
ポーチ
BRUNOで安くなっているときに、ランジェリーを入れるためのポーチと、バスルームにぶら下げておけるポーチを買いました。無印とかにもありますよね。
ランジェリーポーチは2泊3日ならこの大きさで良いのですが、それ以上の出張の場合は入りきりません。
このバスルーム用ポーチは、化粧品やコスメをほぼ持ち歩かない私にはちょっと大きいですが、満足してます。
書類用のバッグ
アンケートや学会資料などを運ぶために買いました。
PCケース
バックパックにもPCをそのまま入れられるのですが、保安検査を通るときにわざわざ出すのが面倒なので、キャリーケースの持ち手に掛けられるケースが便利です。
本
本は何冊か持っていくのがデフォルトです。仕事に必要な本を持っていくこともありますが、2泊3日の場合、大体読みかけの本1冊と読みたい本1冊を持ち歩いています。
長めの出張の場合は3~4冊持っていきたくなりますが、自分で読めると思っているほどはたくさん読めません。しかも空き時間があるとすぐ本屋に行って新しい本を買ってしまうので、帰路は本が多すぎたと反省しがちです(だが懲りない)。
したがって、冊数は2冊というのは変えずに、内容量の多さや厚さで調整すると良いと思われます。電子書籍を買えよというツッコミは甘んじて受け入れます。
ところで、以前キャリーケースに入れていた本(別の大学の図書館から借りたもの)を雨で汚損してしまい、弁償したことがありました。それ以降、本の運び方に苦心していたので、最近このポーチを買いました。
お分かりいただけるように、私は入れ物が好きです。
ポスター
最近学会でポスター発表はほとんどしていませんでしたが、今年の学会で久しぶりにポスター発表を申し込みました。修士のときはポスターは大判印刷をして、俗にいう「バズーカ」(100均に売ってた)を使っていました。
博士に入ってからは、持ち運びに楽だと教えてもらって、もっぱら布ポスターでした。紙よりかなり高いのですが、出費いただいていた研究室には本当に感謝です。
バックパックに入れっぱなしのもの
充電ケーブル
イヤホン(出先でのオンラインミーティング用に急遽必要になり購入)
出張先でしか使わないカードのカードケース(ホテルの会員カードや北海道にはないお店のカード等)
ニベアのクリーム(顔にも体にも使える)
折り畳み傘
ペン
バスルームポーチと化粧品
生理用品(タンポン便利でした)
持ち歩かなくてよいと思ったもの
下記のものは、特に持ち歩かなくても宿泊に不便を感じていません。
歯ブラシ・ドライヤー・ボディソープ(ホテルにあるもので十分)
モバイルwi-fi(だいたいホテルのもので問題ない)
圧縮ケース(服はたくさん持ち歩くより着まわす)
最近購入を検討しているもの
折り畳みケトル
Twitterで、宿泊者によってはケトルの用途が本来のものからかけ離れていることがあると知り、部屋備え付けの物を使うのに抵抗を感じるようになりました…
モバイルヘアアイロン
ホテル備え付けのリンスとドライヤーだけだと、どうしても髪がパサパサになるため、ドライヤーより持ち歩きやすいヘアアイロンを検討しています。骨盤をサポートするクッション
長時間窮屈な状態で移動するので身体が固まりがちです。持ち歩けるクッションがあるみたいなので、身体の負担軽減のためにそろそろ必要か…と思っています。
6.出張を楽しむ
飛行機のラウンジをたしなむ
au PAYゴールドカードに年会費を払って、有料ラウンジを無料で使えるようにしました。空港をよく使う人にはお勧めです。
ラウンジは、コーヒーなどフリードリンクを飲みながら、コンセントのある優雅な席で仕事したり本を読んだりできます。「これで私も立派な大人//」と思いながら使っています。
現地や近くの友人と会う
コロナ時代になってから、「いつ死ぬか分からない」という気持ちが前にも増し強まっているのもあり、なるべく空き時間を見つけて誰かと会うようにしています。
現地の居酒屋やカフェに行く
時間とお金に余裕があれば、ひとりでカフェか居酒屋に行きます。現地のものを食べて、お店の人と少しでも話したりするのは楽しいです。
仕事や学会で行かない限り、二度と行かない可能性がある場所もあるので、なるべく色々な経験をしておきたいです。
出先でコワーキングスペースを活用する
出張中、心配なのはその他の仕事が停滞することです。また、出先でオンラインmtgに参加せざるを得ないときもあります。
そこで現地でコワーキングスペースのドロップインを積極的に使います。
ここはコワーキングスペースではないですが、高校生のときあったら通っただろうな~という羨まスペースでした。
お土産を買って帰る
職場にもなるべく買って帰るのですが、頻度が多く職場の方にも負担を感じさせてしまうので、珍しいところに行ったときのみにしています。
あとは自分用にお土産を買って帰ります。
”旅するルルルン”シリーズは見つけたら絶対買います。
今回、激務からの出張1週間だったので、途中で扁桃炎になってしまいました。ということで皆さんは無理のない出張計画を立てましょう。
皆さんの出張ライフハックもぜひ教えてください。
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