【IRの裏側】IR優良企業賞(2024年度)の受賞に寄せて
みなさま、こんにちは!スパイダープラスIRチームの石田です。
この度、スパイダープラスはアナリスト協会による「ディスクロージャー優良企業表彰2024」において、新興市場部門第一位に選定いただきました。
昨年の受賞に引き続き今年も評価をいただけたことは喜ばしい限りです。
昨年の受賞時には、「受賞に寄せて」と題して「スパイダープラスがIRで大切にしていること」というnoteを公開しました。
そこで今年も「受賞に寄せて」と題して以下の内容について紹介いたします。
1. IR戦略上のディスクロージャー優良企業賞の位置付け
2. ディスクロージャー優良企業賞に向けた取り組み
3. 2024年の受賞結果について
4. 優良企業賞を受賞して、プラスに働いたこと
最後までお付き合いいただけますと幸いです。
なお、当社の評価内容については、以下からご覧いただけます。https://www.saa.or.jp/standards/disclosure/selectiont/pdf/shinko2024.pdf
IR戦略上の、ディスクロージャー優良企業賞の位置付け
当社IRは、「企業価値の最大化」に向けて「資本市場でのプレゼンス(≒存在価値)を高める」ことも重視しています。
「資本市場でのプレゼンスを高める」には、ただ単に「業績」を示していくだけでは足りず、「我々が捉えている市場機会、描いている成長戦略、作ろうとしている未来」を"ストーリーとして語る"ことも重要です。
この役割を果たしているのがIRであり、当社は上場以来、IR活動に積極的に取り組んでまいりました。
IR活動の評価軸には、「株価・時価総額」「投資家面談件数」「株主数」などありますが、これらは株式市場の動向にも左右されるため「IRの評価」として必ずしも合致しないことがあります。
そんな中で「ディスクロージャー優良企業賞」は、プロフェッショナルである証券業協会のアナリストがIRの質・量・タイミングなど、IR活動にフォーカスした審査がなされるため、「IR活動の第三者評価」として貴重な制度だと捉えています。
(スパイダープラスIRがベースとしている「IR活動の考え方」については、昨年の受賞時に公開したnoteに記載しておりますので、併せてご覧いただけますと幸いです。)
ディスクロージャー優良企業賞に向けた取り組み
ディスクロージャー優良企業賞を、「IR活動の第三者評価として活用する」ということから、「優良企業賞を受賞すること」はIRチームの重要な目標となりました。
ここでは、2023年の初ノミネートされた際に優良企業賞獲得に向けて実施した取り組みをご紹介します。
【ディスクロージャー優良企業賞に向けた取り組み】
(1)過去の事例研究
まずは、同賞の過去5年間を対象に、「受賞企業」「質問内容」「受賞企業の得点分布」を一覧化しました。
また、過去受賞企業についてはIRサイトなどからIR活動のポイントを探りました。
この取組みから、同賞において何が重要視されるのか、受賞企業は何が違ったのかなど、仮説を持って次のステップに進みました。
(2)受賞企業にインタビュー
続いて、同賞受賞経験のある2社に対して、インタビューを行いました。
当社は、CFO、IR担当が四半期に数件は他社との情報交換(ネットワーキング)をしており、その一環で行いました。(私が他社IRの情報交換を以来する窓口は、IR問い合わせか、IRのXアカウントから直接行うことが多いです。)
情報交換の中で、「ディスクロージャー優良企業賞をとる上でやったこと、意識したことはあるか?」「受賞して変わったことはあるか?」など、仮説との検証と併せてヒアリングしました。
(3)IR施策の検討
過去の事例研究と、受賞企業へのインタビューを踏まえて、いよいよ対策としてのIR施策の検討、実行に入ります。
とはいえ、やったことはシンプルで、「過去の受賞企業と比較して足りていない部分の強化(IRサイトの改修)」と「独自のIR施策立案」を行いました。
簡単に紹介すると、IRサイトの改修は、①投資家がよく探すコンテンツをトップページに新設する、②コンテンツの配信箇所を修正する、③IRライブラリの検索性を高める、④ガバナンスページの掲載コンテンツを増やす、という改修を行いました。
独自のIR施策については、海外上場企業のIRを参考に、「カバレッジ・アナリストとの面談議事録書き起こし」を企画・実行しました。
以上が、当社が「優良企業賞受賞」に向けて取り組んだことの紹介の紹介でした。
2024年の受賞結果について
上記の取り組みを続けた結果、2023年、2024年と2年連続で優良企業賞を受賞することができました。
評価基準と当社の評価項目ごとの得点、選定企業の中での順位は以下のとおりです。
2023年は5項目中3項目で第一位、2024年は5項目中2項目で第一位の評価をいただけたことは大変喜ばしいです。今回の結果に奢らず、「全ての項目で第1位!」となれるよう引続きIR品質の向上に勤しんでいきたいと思います。
優良企業賞を受賞して、プラスに働いたこと
それでは最後に、「優良企業賞取って、良いことあるのか?」という点についてご紹介します。
効果1:企業価値対するIR効果が定量化された
IRの課題として、「定量的な効果が見えない」というのはよく耳にします。
実際に、「IRやって企業価値は上がるのか?」という問いに対して、明確に「〇〇億円くらいです」と答えることは難しいです。
しかし、ある学術研究によれば、「ディスクロージャーが優良な企業とそうでない企業の資本コストでは、優良企業に優位な差が生まれる」とのことで、
これを「CFO思考(徳成旨亮「CFO思考_日本企業最大の「欠落」とその処方箋」(ダイヤモンド社)」では、「10%の株価プレミアムに相当する」と解説しています。
そのため、ディスクロージャー優良企業賞の獲得により、「企業価値の10%はIRによって創出されている」と言えます。
(参考:IR活動には100億円単位の価値がある_ダイヤモンド・オンライン2023年6月11日)
効果2:「スパイダープラス流IR」が整理・強化された
昨年のディスクロージャー優良企業賞に対する取り組みから、当社がIRにおいて大切にしている考え方(価値基準)の整理が進みました。
また、「独自のIR施策」を検討する仮定から、様々なアイデアが生まれ、着眼点も養われました。
その結果、2023年後半から2024年前半にかけて実施した、「セーフィー社との合同IRセミナー」や「決算説明資料におけるIR的注目ポイントの記事化」、「証券会社企画の機関投資家向けIRセミナーの書き起こし」、「新規投資家向け資料 "5分で分る!スパイダープラス"の公開」などのIR施策につながりました。
このように、IR活動の振り返りと改善、第三者評価を集中的に行ったことによって、短期的にIRのクオリティが数段高まったと感じます。
効果3:メディア等の露出機会、ネットワーキング機会が増加した
昨年、「新興市場部門第1位」という賞をいただいたことで、記載の通り「スパイダープラスIRの取り組み」について外部発信する機会が増えました。
例えば先日は、東京証券取引所様より「IR活動に関するインタビュー」として、弊社の取り組みを記事化いただきました。
優良企業の受賞により、「スパイダープラスの取り組みを知りたい」というIRネットワーキングの機会が増加しました。これは当社としては、他社のIR活動から新たな気づきを得る機会が増えており、また当社のIR活動についてもよりたくさんの方からフィードバックをいているということです。
また、メディア等への露出機会が増えることでさらにネットワークが拡大し、この好循環が生まれています。
おわりに_スパイダープラスIRの今後の取り組み
以上、本年のディスクロージャー優良企業賞に寄せてのnoteでした。スパイダープラスIRはこれからも進化してまいります!
たとえば、財務分析・調査をしやすくする開示やマテリアルの公開、主力サービス「SPIDERPLUS」の投資家向けデモセミナーなど、温めている企画がいくつかあります。
昨年・今年の優良企業受賞に甘んじず、IRの量・質を改善してまいりますので、投資家を始め資本市場関係者の皆様、スパイダープラスIRをよろしくお願いいたします。