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タイ進出における基礎情報2022

法人設立の3つのメリット

まずタイ法人設立のメリットとデメリットについてまとめました。
ここで取り扱う内容はあくまでも一般的な内容で、特定の企業や業種向けの情報は個別に調査が必要になります。

メリット1:豊富な人材

まず、タイにおける法人設立時の最大のメリットのひとつに豊富な人材を活用できる点が上げられます。

タイは東南アジアの中でも数少ない植民地時代を経験しない歴史を保有してます。
ひとつの国家として、他国との独自の関係を構築してきた側面に加え、地理的にも東南アジアの中心にあるため、良いモノや人材が集まりやすい特性を持っています。

このような経緯からも長きにわたり、幅広い産業が発展してきた歴史があります。
加えて日本の高度経済成長期時代から、製造業を中心に日系企業を受け入れてきた時代が続いているので、今では様々な業界において日本のビジネスカルチャーにマッチした人材を確保しやすい環境にあります。

加えて賃金の面でも、世界的に高騰する傾向が長く続いているとはいえ、タイにおいては金額に見合う優秀な人材が確保しやすい環境があると言われています。

メリット2:日系企業・日本人が多い

前述の通り、製造業を中心にタイに日系企業が進出してからの歴史も長く、タイ国内には多くの日本人、日系企業が進出しています。

日本貿易振興機構(JETORO)の調査によれば、タイにおいて活動が確認された日系企業は5,856社に登ります。

※出典元:タイ日系企業進出動向調査2020年調査結果(2021年3月)

また外務省発表する国(地域)別在留邦人数の調査においては、1位:米国(429,889人)、 2位:中国(107,715人)、3位::オーストラリア(93,451人) に次いで4位:タイ(82,574人)。都市別の邦人数に至ってはロサンゼルス都市圏 (67,107人)に次いでバンコク(59,744人)と 多くの日本人がタイ、特にバンコクを中心に在留しています。

※出典元:海外在留邦人数調査統計(令和3年)

このことは単純に日系企業としてビジネスをしやすい条件であるばかりではなく、現地での日本企業、日本人同士の繋がりが作りやすい環境であることを意味します。

メリット3:恩典精度が充実

一般的に海外で邦人を設立する場合、その国や地域における自社の出資比率に規制がかけられる場合があります。
タイも例外ではなく、法人を設立しようと考えた時に、タイ国内の法律(外国人事業法)でタイ人の持ち株比率51%以上の、現地株主とのいわゆる「合弁会社」の設立になってしまいます。

ただ、例えば製造業をはじめとする特定の業種に関しては、恩赦制度を活用することで、そうした規制がなく、資本金に関わらず、日本人持ち株比率100%の法人が設立できます。

この恩典制度「BOI( Board of Investment(タイ国投資委員会))」によりタイには古くから日系企業の進出が盛んで、東南アジアへのハブ機能を持った、世界への「製造・物流拠点」として進出している日系企業が存在します。

実際に、タイ工業団地公社の調べによると、公社と関係のある50の工業団地の40%もの入居者を日本企業が占めているようで、日本企業の多い工業団地としてバンコク近郊でいうと、ロジャナ工業団地(アユタヤ)アマタナコーン工業団地(ラヨーン)をはじめ数多くの工業団地があります。

※参考資料:Thailand Board Of Investment


法人設立をするためのプロセス・必要書類

タイにおいて法人設立を進めるプロセスは以下の通りとなります。

1. 商号の予約
2. 基本定款の登記
3. 設立総会の開催
4. 株式会社の登記(最終登記)

1. 商号の予約

商号の予約については基本的には発起人によって実施する必要があります。
商号(会社名)に類似名がないか、或いは法令で禁止されている表現がないかなど審査するステップになります。

商号使用の許可が降りるまでの期間は2~3日程度、許可が下りてから30日間の間に基本定款の登記を実施する必要があります。

2. 基本定款の登記

次のステップとして基本定款の登記を実施します。
審査が通過した商号に基づいて、会社名や資本金、発行株式数、設立の目的、発起人の諸情報(氏名・住所・国籍等)等を当局に申請します。

3. 設立総会の開催

株式引き受け完了後に発起人は設立総会を実施し、定款をはじめとする株式会社設立に関する承認をえる必要があります。
この際、タイ人の公認会計士を「監査人」として提出し、氏名や免許番号を報告する必要があります。

4. 株式会社の登記(最終登記)

上記設立総会開催後、取締役は総会の内容に基づいて登記申請を行う必要があります。
登記申請における主な事項は、
株主の諸情報(氏名・住所・国籍等)、取締役の氏名、住所、職業、代表権(サイン権)の形態と署名、会社の住所、定款、資本金等になります。

※参考資料:外国企業の会社設立手続き・必要書類(タイ)


法人設立に向けてのステップ

続いて実際にタイに法人を設立する場合のステップは以下の通りとなります。

1)現地調査

まず実際に現地に出向いて(法人設立前提で)現地調査をするのが大切です。
現地調査のポイントは大きくは以下の観点になります。

・人材:
前述の通りタイでは様々な業種において、専門性を持った人材が獲得できる可能性があります。一方で他の東南アジア諸国と比較しても人件費は平均してみると高い水準にあることも事実です。日本と比較しても人材の定着率は低い傾向にあるので、生産性や労務コストの観点から詳細にリサーチする必要があります。

・不動産:
一概に言い切れませんが、前述したタイに法人設立するメリットを考慮した場合、経済特区に該当する工業団地を候補にするか、バンコクに該当する都市部を中心に検討するかの2択と言えるかと思います。

前者の場合、工場や倉庫のような大型施設を用意する場合が該当します。特にバンコク周辺を中心に工業団地はいくつかありますが、それぞれの工業団地で進出している産業や業種の傾向が異なる点をよく見極める必要があります。
また後者においては、主にサービス業や、小規模オフィス、営業範囲が都市部に集中している等事業の条件が想起されます。都市部に関しては賃料も高額になるため、立地や間取り(広さ)、条件面など詳細に調査が必要になります。また小規模なオフィスからのスタートであれば、土地勘をつかむまでの期間限定でシェアオフィスの活用を選択肢に入れることなども必要です。

・経理・会計:
タイで法人設立する場合、タイ人の会計士(監査人)の選出は必要条件になります。経理や会計のリソース確保にはこの監査人の確保を前提に周辺領域をサポートしてもらう前提で調査していくのが賢明です。そのうえで、法人の大きさや、上場・非上場などのステージに応じて必要なガバナンスを用意していくのが良いでしょう。

・同業者・既存日系企業:
同業者はじめ、進出後の営業先・パートナーになり得そうな企業には積極的に接点を持つことをお勧めします。進出後の法規制の変化、業界内における(流行の)トラブル等の情報共有体制を早期に対策しておくことで、情報に疎い外資企業になり下がらないためのリスク回避になります。

2)オフィスをきめる、契約する

続いて現地調査に基づいて、オフィスを決めて不動産契約を進めます。
タイでオフィスの賃貸契約は3年間の賃貸借契約が一般的です。中途解約の場合、敷金(デポジット)は返還されません。また中途解約する場合は、契約残期間の賃料・サービス料全額を支払う必要があることが多いので、必要あれば賃貸契約時に交渉をしておきましょう。
また、シェアオフィス等の活用も法人のステージや規模によっては大きなメリットがあります。

3)書類を用意する、登記する

続いて前述した必要書類を用意して、会社の登記を実施します。
期間としては2ヶ月~4か月程度必要とみておきましょう。申請の形態によって期間は大きく変動します。特にタイの特長として覚えておく必要があるのは、BOIの存在です。BOIとは、タイ国投資委員会のことで、BOIが投資条件の審査やインセンティブの内容を決めます。製造業の場合は、多くの企業がBOI企業と認定されますので、法人設立までの期間も長くなりがちです。

4)営業許可、恩典制度の申請

タイで会社設立をするためには自分で窓口で申請してもかまいませんし、代行を依頼することもできます。会社設立の際に必要な資料は以下の内容になりますので事前に準備しておきましょう。日本の会社の謄本などが必要となることもありますので、日本側で必要事項を確認しておきましょう。

・代表予定者のパスポートの写真ページとタイ最終入国スタンプページのコピー7部
・各発起人のパスポート写真ページのコピーまたはIDカードのコピー 各1部
・会社所在地の住所、物件オーナーの連絡先
・会社名の案(3つ以上)
・日本の法人が20%以上の株主になる場合は日本の法人の会社事項全部証明書謄本
・登記場所の地図および物件の写真

5)会計代行・監査代行

タイで会社を設立したら月々の会計は信頼のおける会計処理を代行してくれる会社へお願いしましょう。特に外国人が所属している会社は罰則が厳しいので注意が必要です。例えば、日本人のビザ延長が受けられなかったり、罰金、税務署からの監査などが入ったりすることもあります。

日本人がタイでビザを延長する条件として、給料が5万バーツ以上に設定されていて相当の給与所得税を毎月納めていることや、日本人従業員1名あたり4名のタイ人従業員が所属し社会保険に加入していること、日本人の年収分以上の売上(利益でない)が上がっていることなどが必要となってきます。会計サービス代行会社に依頼してこの辺りの問題をクリアしておく必要があります。

6)銀行口座の開設

法人口座の開設は、会社設立後に可能になります。手順としては先に取締役の労働許可を取得し、その後銀行で口座開設をする。と言う流れになります。
労働許可を取得する際に注意して欲しいのが、タイ人の雇用人数です。労働許可の取得条件として、外国人1名につき、タイ人を4名雇用する必要がありますので、従業員の仕事の分配内容をよく考えてください。

7)採用

従業員が10名以上いる場合は就業規則を労働局に提出する必要があります。
日本の就業規則を使ってもいいのですが、タイ現地の法律と合っていない部分もあるので、確認が必要です。外注の顧問弁護士などを雇って規則の確認をしてもらうのも良い方法です。

タイのWEBプロモーション事情

タイのWEBプロモーション事情についてその特徴をまとめました。
本記事ではタイにおけるWEBプロモーションにおける特徴的な部分について大きく3点にまとめました。

市場規模は日本より小さいが成長率は非常に高い
タイのデジタル広告費の市場規模感は日本のおおよそ30分の1程度と言われています。
日本ではインターネット広告市場は2兆円規模にまで成長していますが、その成長率も年々鈍化傾向にあると言われています。
一方でタイのデジタル広告費は引き続き成長傾向にあり、今後新たなビジネスモデルやプラットフォームの出現によって急激に拡大する可能性もはらんでいます。

クリエイティブに特徴あり
タイのWEBプロモーションにおいて、特徴的な傾向のひとつとして「動画広告」が非常に重要視されている点が挙げられます。
これは視聴率やエンゲージメント率、クリック率など定量的な情報からインターネットユーザーの特徴として認識されている事実になります。
また、リスティング広告をはじめとするテキストベースの広告が効果がないというわけではありませんが、他の国や地域と比較すると動画やバナーの広告でのユーザーが良い反応を見せる傾向があることも分かっています。
プロモーションする商品や、業種により程度は異なってきますが、WEB広告を実践するうえで外せないポイントであることは間違いありません。

SNSはFacebook、インスタグラム
SNSに関しては、他の東南アジア諸国に動向に似た傾向があります。特にFacebookについては利用者数が多いこと、若者世代、ファッション指数の高いユーザーにInstagramが利用されている事、Youtube、Tiktok等、動画、ショート動画の成長が著しいことなどが顕著です。また特徴的な点として、LINEの利用率も日本より多いことも挙げられます。

加えて、これも東南アジア全体の傾向でもありますが、数多くのインフルエンサーが存在し、SNS上で活躍している現状があります。

※参考情報:タイ向けデジタルマーケティング(弊社コラムより)


まとめ

今回はタイ法人設立に関する諸情報とWEBプロモーションについてまとめてみました。業種やサービス・商品によって詳細は異なる為、全体の傾向と進出時に注意すべき事柄として参考になれば幸いです。

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