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シンガポール進出における基礎情報2022

法人設立の3つのメリット

シンガポールにおける法人設立のメリットとデメリットについてまとめました。
※ここで取り扱う内容はあくまでも一般的な内容で、特定の企業や業種向けの情報は個別に調査が必要になります。

メリット1:税制度が優れている

まずシンガポール進出における特徴的なものとして、法人税が低いことが上げられます。
日本は実効税率が約30%であるのに対して、シンガポールは17%と(2021年現在)で、他の先進国と比較しても低めの設定であると言えます。
加えて、国の政策としてシンガポールを発展させることに寄与する業種や企業に対しては投資を積極的に奨励していて、様々な減税制度や恩典制度が存在します。
総合的に外資系企業が進出しやすい国であることがうかがえます。シンガポールにおける法人設立時の最大のメリットのひとつに豊富な人材を活用できる点が上げられます。

メリット2:立地が良い

続いて立地が良い点が上げられます。
シンガポールはマレー半島の先端に位置する島国ですが、このことから海上物流のハブ拠点として発展してきています。
このことによりシンガポール内には世界中から多くの物資が調達できる環境にあります。
また政府としては空港整備にも力を入れていて、唯一の民間空港であるチャンギ国際空港の利用者数は6,800万(2019年)と世界でも有数の利用者数を誇る規模にあり、どの国、地域からもアクセスしやすい条件を備えています。
特に人材の流入や、出張などビジネスに必要な要素として重要な点であることは言うまでもありません。

メリット3:インフラが良い

また、シンガポールは都市国家で国全体のインフラが非常に発達しています。
一言で「インフラ」と言っても道路、鉄道、上下水道、電気、通信、国内物流等といった生活やビジネスを支える一般的にインフラと呼ばれる領域だけではなく、病院、警察、学校、湾港等といった社会全体の安全整備に至る広義のインフラまで非常に高い水準にあると言えます。
加えて、治安や民度といった「ビジネスや生活のしやすさ」といった観点も安定しているため、合理的・効率的に事業運営する基盤が整っていると言えます。
般的に海外で邦人を設立する場合、その国や地域における自社の出資比率に規制がかけられる場合があります。

法人設立をするためのプロセス・必要書類

シンガポールの法人の登記手続きには、会社名(商号)の申請と設立手続きの2つのステップがあります。
いずれの申請も会計企業規制庁(ACRA:Accounting and Corporate Regulatory Authority) の「BizFile(オンライン登録)」を利用して行うことができます。

1. 会社名(商号)の申請

シンガポールで法人を設立するには、まず始めに会社名の許可をACRAから取得する必要があります。
既存の会社と同一の法人名がないか、或いは私用不適切な商号にないかなどチェックを受けます。審査結果は申請料の納付後即日通知されます。

2. 会社設立の申請

次の段階として会社設立の申請をします。
会社設立には以下の書類が必要です。

・定款
・取締役会議事録
・取締役就任宣誓書(Form 45)
・株主代理人の選定書(Certificate of Appointment of Representative)
・取締役および株主代理人の氏名、ID ナンバーならびに住所に関する情報
・実質的支配者(Registrable Controller)のパスポートコピー

これらの書類がシンガポール会計企業規制庁に正常に受理されますと、「設立証明書」が発行され、この証明書内に記載された日付が会社の設立日となります。

最低授権資本に関する要件はなく、通常設立登記は書類が整ってか ら 即日~2 日というスピードで完了します。

3. 銀行口座開設

次のプロセスとして、銀行法人口座を開設します。法人の登記は取締役が現地に出向くことなく手続きが可能ですが、銀行口座の開設は必要書類に署名が必要な為、シンガポールへの渡航が絶対条件となります。必要な書類については銀行によって異なる為、取引銀行決定段階で確認が必要です。

※参考サイト:外国企業の会社設立手続き・必要書類

法人設立に向けてのステップ

続いて実際にシンガポールに法人を設立する場合のステップは以下の通りとなります。

1)現地調査

シンガポールはアジアパシフィックのハブ拠点として多くの外資系企業が進出しています。
進出している業界や企業の状況をよくリサーチし、自社の商品・サービスの見通しを検討しましょう。
政府の方針として他のアジア諸国と比較すると外資系企業の進出だけではなく、優秀な人材が進出しやすい体制を整えています。そういった政府側の思惑との相性も重要な検討材料になり得ます。

2)オフィスをきめる、契約する

シンガポールは多くの外資系企業が進出しており、オフィスの賃料も世界有数の高さです。
ラッフルズプレイス周辺、マリーナベイエリア、タジョン・バガーエリアなど高層ビルが立ち並ぶエリアは特に高めのエリアになります。
ただこれらのエリア以外でも近隣にアクセスの良いエリアは沢山あるので、広さと坪単価を考慮してバランスの良いオフィスを選定するのが良いでしょう。
小規模スタートの場合は他の海外拠点進出同様に、法人登記可能なシェアオフィスからスタートして、エリアや物件を入念にリサーチする選択肢もおすすめです。

3)登記

続いて法人登記のプロセスとなります。
資本金は1シンガポールドルからでも登記することは可能ですが、設立時の運転資金を資本金として含めておくのが良いでしょう。社名が決まったら、ACRA (会計企業規制庁)へ予約をします。

4)営業許可、恩典制度の申請

続いて営業許可、恩典制度の確認と申請を行います。
シンガポールは起業して間もない会社を中心に税制上の優遇措置があります。その制度を利用することで最高17%の法人税率を実際の税率として10%程度にまでおさえることも可能になります。
主な対象としては以下の様な例があります(一例)。

・アジア・オセアニアの統括会社としてシンガポールに会社設立した場合
・パイオニア企業と認定された場合
・開発・拡張会社として認定された場合
・海運関連支援企業として認定された場合

5)会計代行・監査代行委託

シンガポールでの会計処理は専門の外注先に頼むのが一般的です。
特に日本のルールと異なる点も多く、自社で対応するのであれば専属スタッフや会計ソフトなどの導入が必要となりコストもかかります。
シンガポールにも会計外注先は多く、日本語対応可能な会社もあります。会計外注内容としては、

・月次の財務諸表(損益計算書・賃借対照表)
・月次の税務申告(源泉税・VAT申告)代行
・年次の法人税申告代行又は申告書レビューサービス
・税務調査立会、質問回答代行サービス

などがあります。

6)銀行口座の開設

(法人名義の)銀行口座の開設の段階では、法人登記が完了している必要があります。
また口座開設には面談による銀行員への説明も必須事項です。

7)採用

シンガポールで採用をする際には人材派遣会社を通して募集をかけるのが一般的です。多くの日系大手人材会社も進出しているので、比較的簡単に人材は集まります。
シンガポールにはAWSという基本給の1ヶ月分の固定賞与の制度があり、毎年12月末に支払われます。そのほかにもボーナスもあるので、採用の際には、年間支払金額で考える方が良いでしょう。
外国人が多く滞在するシンガポールですので、採用の条件にも国籍不問として多くの可能性を検討するのがおすすめです。シンガポールで貿易を中心に考えているのであれば、英語は必須となりますし、日本本社とのやり取りがあるのであれば、日本語人材も募集が可能です。
注意して欲しいのは、シンガポール人、永住権保持者以外の採用となる場合は、就労ビザが必要となることです。

シンガポールのWEBプロモーション事情

続いてシンガポールにおけるWEBプロモーションについて触れておきたいと思います。
ユーザー数、ユーザー属性、言語等デモグラフィックなデータについては様々な情報があるので割愛しますが、デジタルマーケティングを検討する上で必ずおさえるべき点についてまとめておきます。

言語特性について

シンガポールは人口約600万人の都市国家になります。
非常に小さい国なのですが、民族的には中華系、マレー系、インド系で構成されていて多民族化しています。言語も国語はマレー語、公用語として中国語、英語、タミル語とされているものの、実態としてはビジネスシーンにおいては英語がメインとなり、言語リテラシーが高い人ほど英語中心の生活をしています。また、宗教も仏教をはじめイスラム教、キリスト教など様々な上、移民や優秀な海外人材の受入に寛大な為、日本だけではなくアジア、豪州、欧米と世界中から人が集まっています。

このような環境の中でグローバル企業がシンガポールでWEBサイトを立ち上げる場合、英語がメインとなる場合が多いことは想像つくとは思いますが、他方で、例えばターゲットが「シンガポールに住む中華系」となった場合、中国語ページ(簡体字)や広告素材も有効に作用することが理解できると思います。同様にマレー語を前面にだす広告やWEB表現にも意味が出る場合があります。このような環境の中でグローバル企業がシンガポールでWEBサイトを立ち上げる場合、英語がメインとなる場合が多いことは想像つくとは思いますが、他方で、例えばターゲットが「シンガポールに住む中華系」となった場合、中国語ページ(簡体字)や広告素材も有効に作用することが理解できると思います。同様にマレー語を前面にだす広告やWEB表現にも意味が出る場合があります。

要はターゲットユーザーの言語環境をよく理解し、それに配慮した言語設定が必要になる。という点が重要になります。のデジタル広告費の市場規模感は日本のおおよそ30分の1程度と言われています。

検索エンジンはGoogle

上記の通り言語攻略の課題はあるものの、利用される検索エンジン・攻略するべき検索エンジンとなるとGoogle一択になります。Googleの利用者数は全ネットユーザーの95%を超えています。

自然検索へのWEBサイトの最適化(SEO)、検索連動型広告(PPC)はじめEC向けの広告等もGoogleを攻略することで検索における利用シーンはほぼおさえることができます。
また、その前提で広告媒体もGoogle広告のプラットフォームを活用していれば同社が運営するYouTubeへの広告配信や、ディスプレイネットワークを活用してシンガポール内のドメスティックな媒体への広告配信も可能になります。

デジタルマーケティングを考える上では「まずGoogle対策」から入るのが定石と言えます。

SNSはFacebook、インスタグラム

シンガポールに限らず東南アジア全体の傾向としてSNSの利用率、利用時間が他の国よりも高い傾向があります。例えばお店や飲食店を調べる場合、通常は検索エンジンを利用するのが一般的ですが、シンガポールではSNSで検索をするユーザーも多いと言われています。

またローカルの店舗や飲食店の中にはWEBサイトは持ってないが、SNSのビジネスページは持っているというお店も少なくありません。こういったユーザーへの商品訴求に関しては、Facebook、Instagramを活用するのが良いでしょう。

Facebook、InstagramはSNSの中でもシンガポールユーザーがもっとも利用するSNSであると同時に、広告配信のプラットフォームが共通で利用できるため、二つの媒体に広告を出し分ける事が容易に実現できます。また、他のSNSと比較してもターゲティングが精緻に設定できるため、ピンポイントの配信やデータの蓄積等、様々な利点を享受することができます。

まとめ

今回はシンガポールにおける設立に関する諸情報とWEBプロモーションについてまとめてみました。今後さらに経済発展が期待されるだけに、情報収集が欠かせない国の一つになりますので、参考になれば幸いです。

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