節分は一大イベント
夫にとって節分は一大イベントらしい。
解せぬ。と思いつつも毎年このイベントに繰り出させられている。
恵方巻きを決まった方角を向き無言で食べ、家中に豆をまく。
恵方巻きについては、さほど好きではないが、まぁいい。
最近はスーパーも凝ったものを作ってくれるので(海鮮尽くしとかプルコギとか)楽しみながら食べることができる。無言を貫かなくてはならないので楽しんで食べているかは何とも言えないが。
問題は豆だ。豆まきの意味がよく分からない。
たしかに幼い頃は楽しく「鬼は〜外、福は内〜」と豆をまいていた。普段なら絶対に怒られるような行為も「節分」とかこつければ許されるこの風習。小さい玉を家中に撒かれたら、たまったもんじゃないぞ普通。ブチギレ案件だ。
そう、私は大人になってしまった。
都会の喧騒に揉まれ、心が汚れた。家の隅々まで豆を探して片付けをしないといけない状況を、なぜか自ら作り出すこのシステム。なんともまぁ、やってくれたな、節分の風習考えた昔の人よ!
だが今年はいつもと少し違う気持ちでもある。Instagramでいろんなお子たちの節分の様子が見れるからだ。
なにあれ、可愛すぎる。友人の皆様、もっともっとストーリーにあげてくださいまし。まさか節分でこんな多幸感を味わえるとは。
やはりこの風習、一大イベントなのかも。大人になるってこういうことでもあるんだな。と、節分を作り出した人たちに感謝し始めたりする。急な手のひら返し。
でも結局、「よそはよそ、うちはうち」なのである。厄介なことに変わりはない。
私は今日、この家に引っ越してきて初めての節分を迎える。恐ろしい夜の始まりだ。
もう少しで夫が帰ってくる。恵方巻きと豆を携えて。きっと鬼のお面ももらってくるのだろう。
そんな夫のルンルン姿を想像し、ため息をつく。
追い払った方がいいのは、外からやってくる災いではなく、私の心にいる鬼なのかもしれない。