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免税事業者が税抜経理をした場合の税務調整

サマリ

  • 大企業のグループ会社などでは会計処理の統一などの観点から、免税事業者であっても税抜経理が行われる実務があり得る

  • 会計上は税抜経理をしても、税務上は免税事業者であれば税込経理が強制されることになるため、消費税相当額に係る税務調整が必要となる

事例

  • 上場企業A社の社内ベンチャー事業がスピンオフされることとなり、100%子会社(a社)が設立された。

  • a社は資本金が1,000万円未満であるが、設立事業年度(1期目)では特定新規設立法人に該当し、課税事業者であった。しかし、1期目の中途においてa社の役員に対して株式を発行したこと等により、2期目には特定新規設立法人に該当せず、意図せず免税事業者となった。

  • 免税事業者は法人税法上、税込経理が強制される。しかしA社グループにおける会計処理方針統一の観点から、会計上は税抜経理を行う必要が生じた。

税務処理

  • 消費税精算仕訳:税務上は精算仕訳が生じない。会計上は、仮払消費税と仮受消費税をネットし、差額を租税公課または雑収入に計上するのみで処理が完結する。別表調整は不要である。この処理を下敷きとして、以下、仮払消費税相当額は会計上租税公課として処理されていることを前提に税務調整が行われる。

  • 棚卸資産:会計上は租税公課として処理した消費税相当額について、税務上は取得価額に含める。在庫の管理表は税抜で作成されているのが通常であるが、この場合、在庫残高に税率を乗じて消費税相当額理論値を計算し、該当金額を加算(留保)する。

  • 固定資産:会計上は租税公課として処理した消費税相当額について、取得価額に含めたうえで償却限度額の計算を行う。また、消費税相当額は当期償却額にも含めることとなる。結果として、消費税相当額の一部が償却超過額として加算(留保)される。

別表記載例

<前提>

  • 棚卸資産に係る消費税額100,000円:商品(食品)残高1,000,000円に対する消費税額80,000円+貯蔵品(少額備品)残高200,000円に対する消費税額20,000円

  • 固定資産に係る償却限度超過額280,000円:期首に本体3,000,000円+消費税300,000円の建物付属設備を取得。法定耐用年数は15年なので、税務上の償却限度額は3,300,000円÷15年=220,000円。会計上は3,000,000円÷15=200,000円を償却しているが、このほか租税公課として300,000円を計上しているため、損金経理額は500,000円となる。


別表4
別表5(1)
別表16(1)
別表16(1)


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