手づくりグリーティングカード12:キレる道具
ひとむかし前のこと。
降って湧いたように「キレる」という言葉をあちこちで耳にするようになりました。
わたしがその文字を最初に目にしたのは、電車内の中づり広告。週刊誌の見出しのひとつに、「キレる若者」とあったのです。
「確かに最近の若者は頭が良くてキレる」と頷いたものの、それだと文脈にどうもそぐわない。ややあって言わんとするところにたどり着き、そこで重い気持ちになったものでした。
なるべくならだれも短気を起こさず、いつも穏やかでいられたらいいですが、世の中にはよくキレてうれしいものもあります。
ペーパークラフターにとってのそれは、はさみやカッターなどグリーティングカードづくりには必須の、紙を「切る」ための道具です。
はさみ
まずは、はさみ。グリーティングカードづくりに特別なはさみは必要なく、ごく「ふつう」のはさみで大丈夫です。
こうさらっと書いてはみたものの、こんなことが言えるのも日本のはさみだからこそ。
刃物はいわば日本の伝統的芸術品・工芸品であり、その恩恵にあずかり、はさみといった一般的な文具から包丁といった生活用品まで、ありがたいことにおしなべて刃物は高品質です。
ソーイング、パッチワーク、編み物、刺繍など各クラフト専用のはさみも何丁か持っていますが、そのどれもすばらしい、職人技の光るものばかりです。
工作ばさみがザック、ザックと紙を切る音。布ばさみがサクッ、サクッと布を割いて進む音。握りばさみがためらいもなく糸を裁つ音。その研ぎ澄まされた音は、いつまでも聴いていたくなるほど好きです。
カッターナイフ・定規・マット
紙を真っ直ぐ切る際に便利なカッターナイフ。はさみより裁断口もきれいです。
カッターナイフにプラスチック定規をあてがうと、定規も紙と一緒に切れた!なんていうことも起こりますので、メタルルーラーやメタルガードつきの定規を使いましょう。
わたしはパッチワーク用の定規を使っています。パッチワークもロータリーカッターで布を切りますので、定規にはメタルガードがついているのです。
そして、大事な机やテーブルに傷がついてしまわないように、紙の下にはカッティングマットを敷くこともお忘れなく。
ペーパーカッター、裁断機
グリーティングカードづくりでは、紙を真っ直ぐ切ることがたくさんあります。そんなときにはペーパーカッター(裁断機)もお勧めです。一気にさっと切れますので、作業はぐんとはかどります。
わたしは フィンランドのFiskars (https://www.fiskars.com/) という会社のペーパーカッターを使っています。
Fiskars は海外で、とくにヨーロッパでは有名な道具・工具メーカーです。切れ味も悪くはないのですが、胸がすかっとするほど切れるかといえば、ときに刃によって当たり外れがあります。刃が本体から外れるなど仕様も少し甘い感じがします。
ペーパーカッターはグリーティングカードづくりだけでなく、家庭にひとつあると絶対に便利な道具だと思います。なぜだかあまり手ごろな日本製のものがありません。わたしが探せていないだけかもしれませんが、ぜひいつか日本の会社でもつくってもらえたらうれしいです。
円切りカッター
カッターやクラフトナイフは直線を切るのは得意ですが、円には不向きです。はさみでもゆがみのない、きれいな円に切るのはとても難しい。そこでわたしはサークルカッターを買いました。
最初に買ったのはコンパス式のもので、使いやすかったのですが、困ったのは円の中心に針穴が開いてしまうこと。メッセージやスタンプを押す真ん中に穴が開いていると目立ちます。
ふたつ目に求めたのは、以前にもご紹介した NTカッターさん(https://www.ntcutter.co.jp/) の「円切りカッター」です。こちらはカッターの中心の軸で紙を押さえて刃を回転させるので穴が開きません。
円の形がずれたり、サイズの調節が難しかったりで最初は苦心しましたが、直径2㎝くらいの小さな円でもきれいに切れます。
今回は「キレる」道具をご紹介しました。
「切りたい」とわたしが頭の中で考えたら、どこからか影もなくさっと現れ、ずばっと仕事をこなして、音もなく立ち去っていく。まさしく孤高の侍のような、格好いい道具たちです。
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