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手づくりグリーティングカード26:クリスマスカード、おくりましょか、やめましょか

クリスマスカードや年賀状の準備を始める11月。

アドレス帳を開け、そこに書かれた人の名を「あ」から順になぞるうち・・・、あるところで指が止まってしまいました。

「今年はどうしよう」


クリスマスカードじまい

そこにあったのは、ヨーロッパに暮らす友人の名です。今年その人にクリスマスカードをおくろうかどうか、わたしは少し迷っているのです。

去年のクリスマスに彼女から届いたのはデジタルカード。プロのイラストレーターの手による、それは美しいクリスマスカードだったのですが、「なぜ?」 

それまでは毎年エアメールのカードでしたから、突然のデジタルカードを驚きとともに受け取ったのでした。

その訳は数か月後にわかりました。
「郵便料金の値上がりにうんざりしてしまって」と話す友人。

ここ2、3年、封筒に貼られた切手の額面が跳ね上がっていることに気づいていましたから、もしかするとそれかな・・・という予感はありましたが、やはりそうでした。

聞くと、友人の国では郵便料金が数か月おきに値上りしているらしく、今年日本へ航空便で一通おくるのに約500円もかかるそうです。

切手代は、クリスマスカードを購入した上でのさらなるコストです。たいてい何十枚とおくるクリスマスカードにかかる費用はかなりの額にのぼることでしょう。

日本でも、年賀状をおくるか否か、いわゆる「年賀状じまい」が話題になっていますね。SNSやメールなどのデジタル通信が発達したことや、年賀状の作成が面倒だという理由が大半のようですが、海の向こうでは切手代の高騰により「クリスマスカードじまい」が始まっているのかもしれません。

デジタルカードへ

クリスチャンやキリスト教国に住まう人にとって、クリスマスカードおくることは一年で最大の行事を祝う大切な慣習のひとつです。それをとりやめにするというのは、けっして小さくはない決断だと思います。

「クリスマスカードを完全にやめることはできないから切手代のかからないデジタルカードにしたの。慈善団体への寄付金もついていて、その点も気に入ったし」

友人はこう話していました。クリスマスカードという伝統を守りつつ、クリスマスの慈愛の精神も忘れず、なおかつコストを抑えるという妥協点をデジタルカードに見出したようです。

そして、もう1点、友人は口にはしませんでしたが、ひょっとするとこれも関係しているかなと思ったことがあります。

カーボンフットプリントへの配慮です。カーボンフットプリントは、わたしたちが日々の生活の中で排出している温室効果ガスの量を表すものです。

友人の環境問題についての関心度は不明ですけれど、航空機から排出される二酸化炭素量については昨今取りざたされているとおりです。

わたしはどうする

さて、それから、また数カ月経ち、今。アドレス帳の彼女の名を見つめながらわたしは考えるのです。

「で、わたしは、どうする?」

去年はわたしがすでにクリスマスカードをおくったあとにデジタルカードが届いたので、どうすることもできなかったのですが、今年は違います。 

友人からはもう郵便のクリスマスカードは届かないのに、わたしからおくったものかどうか。はるばるおくられてくるカードを友人が負担に感じないかが気がかりです。

いっそわたしも友人に合わせてデジタルカードにしようか、とも考えました。カーボンフットプリントのことも頭の隅にあります。でもたった一枚カードをデジタル化したところで、いかほどの貢献につながることでしょう。

「いつかクリスマスカードや年賀状をおしまいにしなければいけない日が、わたしにも来るのだろうか」

あれこれ考えていると、こんな思いが頭をもたげました。

生きるという「歩み」は、誰しもそうであるように、変化しつづけ、いずれは止まります。まだ歩んでいる間か、あるいは歩みが止まったときかはわかりませんが、いつかその歩みの中で「便り」をしまう日も来ることでしょう。

毎年、秋の終わりにクリスマスカードをつくりおくることが当たり前になってしまって、「その日」のことをいつしか忘れてしまっていました。当たり前のものなどこの世にひとつもないのです。

あるいは、わたしの事情ではなく、世の変化や情勢のために便りができなくなる日が訪れるとしたら・・・。まさかとは思いますが、あり得ないとも言い切れません。

そんなふうに考えると、わたしの生活の中のごく「ふつう」な年中行事がにわかに「特別」なものへと姿を変えます。

今年も友人にはクリスマスカードを郵便で届けよう。それができるうちは、それが許されるうちは。

窓の外は小雨。山の木々にやさしく降りている薄鈍色の空を見上げて思います。

※見出し写真のカードのつくり方は次回アップします。









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