「お父さんはなんでも作れるよ」
夫が娘のために、初めて作ってくれたTシャツがある。
夫の着なくなったTシャツを、2歳の娘サイズに仕立てたアップサイクルの一点物だ。
その服を着ていた娘を見て、私の父(おじいちゃん)が
「お父さん すごいね〜。そのうちお家も作っちゃうんじゃない?」
と笑いながら話しかけた。
その時に娘が
「お父さんはなんでも作れるよ!」
と言ったのだ。
私の夫は、物を長く大事に使うことを大切にしている。
自分で作るということも好きで、様々なものを手作りし、好奇心からやってみるまでのスピードが早い。
私の父(おじいちゃん)はそれを知っていて、こんな会話になったのだ。
私の今まではというと、それとは真逆に近く、色々なものを簡単に捨てたり、買い直したりしてきた。
今思えば「また買えば手に入る」という感覚が強く、ひとつの物を大事に使うという経験が少なかったように思う。
夫からの影響も受け、今は長く大切に使い続けることの気持ちよさや喜びを感じるようになってきた。
夫がよく着ていたTシャツを、目の前の娘がジャストサイズで着ている。
それも本人が気に入っていて、お父さんが作ってくれたものだということもきちんと理解している。
お父さんのことを、なんでも作れる存在と思っていることが、とっても嬉しかった。
そんな親を見て育ち、自分自身に対しても「やってみたら、なんでも作れる」と思うことができたら、自分の持つ力を信じて生きていくことができるのではないかという気持ちになったから。
もちろん今後様々な失敗やできなかったという経験も積み重ねていくだろうし、親にもできないことがあるということを見たり知ったりするだろう。
だとしても、娘が「お父さんはなんでも作れるよ!」と小さいながらに感じて言い切ったその言葉を、私の中ではこれからも嬉しく、誇らしく、大切にしていきたい。
私も自分で作りだすことができるという経験や自信を少しずつ積み重ねて、自分の力を信じて生きていきたい。