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どこで働けばいいの?平成生まれの就活生の実態


今の20代前半の平成生まれの若者、つまり俗にいう「悟り世代」の就活を見ていると、前の世代とはまた違った悩みを抱えてているように思う。

自分自身が今回書くような理由で就職活動に苦しんだ経験があるので、改めて言語化してみようと思う。


「悟り世代」がまずどういう世代なのかというと、

上の世代が過労死していたり、ゴリゴリの縦社会の職場のストレスで自殺していたりするのをニュースで見ている世代。

そして、「パワハラ」とか「セクハラ」という言葉ができた(行為としてはずっと存在してたのが言語化されただけだけど)あとに就職をする世代だ。

だから、そのような社会情勢のなかで、漠然と働くことに不安を持っていることや、関係性がいい(フラットな)職場を選ぼうとするのは当然なのだと思う。

しかし、残業の取り締まりが強化されたり、「ティール組織」などの新しい組織開発が注目されたりしているものの、伝統的な日本の会社のあり方はまだきっとそんなに変わってはいないので、

違和感を抱いたところで、そのような問題のない(=過労死させられなくてパワハラもない、フラットで社会貢献ができる)会社はごくわずかなのだと思う。

社会や就活に対する違和感を話したところで、「甘ったれたこと言うな」「社会に適応するのもスキルだ」みたいなことを言う大人も少なくない。

そして、そのような人を大切にしない働き方をしてきた上の世代を見ていると、資本主義そのものの構造が、環境をも破壊してきたし、人を使い物にしてきた原因なのではないか、と考えるようになるひともいるだろう。

そう考えた結果、社会貢献的な活動をしている会社やNPOに興味を持つ人も少なくない。

しかし、諸外国に比べて日本ではNPOへの国からのサポートが少ないため活動がしづらかったり、そもそもNPOという組織体があまり認知されていなかったりもするので、新卒でNPOで働くという選択肢は持ちづらいし、新卒採用をしているところも少ないだろう。

また、株式会社や一般社団法人のなかで地域創生なども含む社会貢献的な活動に重きを置いている会社も増えては来ていると思うが、儲かりづらい事業が多かったり、それゆえ人が雇えず社員数も少なかったりするため、

新卒採用をしていなかったり、採用をしていたとしても広告費をはらって大手の就活サイトは載せたりする余裕はないだろうから、そのような企業を探すのは難しい。

そういう理由から、なかなか自分に合う企業が見つからないと思って血迷った結果、就活(転職)エージェントに行くひともいると思う。

しかし、当たり前だけれどエージェントは人材を採用をしたくてたまらない会社の人材を見つけることが仕事なので、そのような若者にマッチしない仕事であろうと紹介してくるし、

ここまで書いたような社会情勢や社会貢献的な会社を探した結果見つからなくて悩んでいる若者に、そういう現状まで把握したうえで会社を紹介してくれる可能性は極めて低い。

そもそもバリバリ資本主義の会社しか知らないだろう。


さらに、女性だとここに「セクハラ」をされない会社(女性であるがゆえの不利益を被らない会社)という条件まで加わるので余計に就職先を探すのが困難になる。

社会貢献的な活動をしている会社・団体であっても、権力を振りかざす男性がいたり、男尊女卑的な発言が飛び交うことも決して珍しくない。

https://note.com/soymaru0102/n/n87fa85b75e2e

加えて、このような若者の多くは、社会の違和感に敏感=感受性が強いので、余計に会社の風土に敏感で、なかなか納得して就職しようと思えるところが少なかったり、就職しても辞めざるを得ない場合も多いだろう(辞めること・転職が悪いという意味ではなく)。


結果、じゃあどうしたら自分に合う(=過労死させられなくてパワハラもセクハラない、フラットで社会貢献ができる)会社はないのか?と悩む。

最近では、日本仕事百貨Driveキャリアグリーンズ求人など、手触り感のある仕事を紹介する求人サイトも増えてきてはいるが、転職層向けの求人が多い(新卒向けもないわけではない!)し、求人の絶対数が少ないので、そこでもあきらめざるを得ない学生も多いかもしれない。

となると、このような条件のもとで働くことを諦めるか、自分で仕事をつくるかしかない。しかし、自分で仕事をつくるのは簡単なことではないので、どうしたらよいのだろうと途方に暮れるのだ…


ここまで読んでいただいた通り、ある意味で悟ってしまった若者が安心して就職できる会社は極めて少なく、探すのも大変困難なのだ。

単に就職活動に苦戦しているのではなく、こういう理由で就活に苦戦している学生を最近よく見かける。


じゃあどうしたらいいの?という問いに、なんで若者がしんどい想いをしなきゃいけないの…?企業側が変わるしかないんじゃないの…?と心の中では思いつつも、わずかながら考えたことを書いてみる…。


①「働く」を体験してみる

働いたことがないのに自分がどの会社にマッチするか選ぶなんてそう簡単なことではない。

お酒すら飲んだことがないのに、自分の好みの日本酒を一発で見つけるなんて不可能だ。苦いビールを飲んでみたり、いろんな種類お酒を飲んでみるなかでやっと自分は日本酒が好きなんだってわかるし、そこからまたいろんな銘柄を飲んでみて傾向がわかる。

(例がよかったかどうかは置いておいて)同じように、働いてみてやっと「この業界はこの業界ともつながってるんだぁ」とか、「広報とか営業とかマーケティングと言われるような業種は実際こんなことをやっているのかぁ~」とかわかるようになる。


そういう意味では「インターン」はよい仕組みなのだと思う。

「インターン」というと、うえで書いたような週間前生とはまったく逆の、既存のレールにまったく違和感を持っていない・枠組みに自分を合わせることに何の躊躇もない学生が、「入りたい企業に気に入ってもらうために行くもの」というイメージが強い(わたしはそうだった)。

しかし、長期インターン(半年以上)の場合、企業によっては学生の学びになることを考えてくれていたり、単に使われるだけじゃなく学生のやりたいことに沿って業務をお願いしてくれたりするし、

待遇があまりよくなかったとしても「働く」ことの疑似体験ができるという意味では、よい仕組みなのではないかと思える部分もある。


②就活以外のきっかけで会社やひとと出逢う

「求人をだしている会社でしか働けない」と思っている学生も多いように思う。

確かに可能性としてはそのほうが高いけれど、関係性のなかでひとを採用している企業ほど、求人を出して募集するのではなく、身の回りにいる信頼できる人やのなかから一緒に働きたいと思うひとを雇う場合も多い。

そうなると、その会社の主催するイベントに参加してみたり、②で書いたようにインターンをしてみたり、募集をしていなくても連絡をしてあってもらったり。

知り合いになったり、就職以外の関わり方を見つけてみたりすることで、(遠い未来であっても)まわりまわってその会社と一緒に仕事ができることは少なくないと思うし、

一見遠回りのように見えたとしても価値観の合う大人の知り合いができるのは嬉しいことなので、やってみる価値はあるのではないかなぁと思う。


③地方に目を向けてみる

悟ってしまった学生のなかには「会社の駒になりたくない=人間味のあるつながりのなかで働きたい」というひとも多いと思う。

大学進学を機に上京してしまうと余計に、「東京で働く」という選択を疑ったこともないひとも多いかもしれない。けれど、地域という社会に貢献しようとがんばっている企業も多いし、会社だけでなく地域のなかで人間味を実感できる場合も多い。

「社会」というよくわからない大きなものを考えてしまうと、どうしても自分がちっぽけに思えてしまうけれど、それをどこかの自治体のレベルで考えてみると、

小さいまちであればあるほど、自分の役割が大きくなるので、貢献感を感じやすいかもしれない。

もし地方で就職したり自分の仕事をつくる選択肢を考えたことがない人はSMOUTなどで地方の企業を見てみてもいいかもしれない。


④「フルタイム正社員」だけじゃない自分らしい働き方をつくる

日本では非正規雇用者の待遇が悪いせいでよいイメージがないけれど、新卒で正社員にならなきゃいけないなんて誰が決めたわけでもない。

自分のやりたいことだけで最初は稼ぐのが難しくても、まずはアルバイトをしながらでもいいし、

ライスワーク(お金を稼ぐ・暮らしていくための仕事)を中心に副業から初めて、徐々にライフワーク(自分のやりたいことを仕事にする)の割合を徐々に増やしていくこともできる。

ひとつの会社で働くのではなく、複数の仕事を組み合わせることで生計を立てる複業(パラレルワーク)だってあり得る。


わたしが関わっているさとのば大学では、小さく自分のやりたいことをかたちにしたり、自分では探すのが難しい地域や、その地域の会社などとのつながりをつくることができるので、興味のある人はぜひ見てみてほしい。



つらつらと、「じゃあどうしたらいいの?」と思っている就活生に向けて、わたしが気づいたライフハックを書いてみたものの、なんで就活生側ががんばらなきゃいけないんだろう、と思っているのも事実なので、

まぁいつものことですが、もっと生きやすい社会にならないかなぁと思うのです…。


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そい|内藤千裕
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