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自分の夢でえぐられた傷
わたしは毎日たくさんの長い夢を見る。そしてあまりに鮮明に覚えているので夢日記を書くことにして、毎日スマホのメモ欄に残している。
夢の中では、竹内涼真と付き合ったり、菅田将暉が教祖の宗教にハメられてしまったり、いろいろなことが起きて、夢によって朝の気分がかなり左右される。
そんな中で、前に付き合っていた人が時折夢に出てくる。基本的には、本当にしんどくなって別れた相手(別れたあとはしこりがとれたように幸せと自由を取り戻したような感覚になった)ので、夢に出てくると嫌な気持ちになる。けれど、今日はもっと深い傷をえぐられたような気持ちで起きた。
彼とは1年付き合ったものの、ほとんどの時間がつらかった思い出ばかりで、楽しかったことが思い出せない。
デートでここに行きたいと提案すれば、「俺はそんなところには行きたくない」と怒られる。かといって他に一緒に過ごす方法を考えてくれるわけでもない。
プレゼントをあげようと思っても「要らない」と言われたり、体調が悪くて死にそうになっていても声もかけてくれない。
喜んでほしくて、得意な料理ををたくさんつくっても、「ありがとう」ではなく「こんなに作らなくていい」と言われる。かわいいと言われたこともほとんどないばかりか、太っていると馬鹿にされたこともあった。
せめてなにかしたとき、「ありがとう」と言ってほしいと伝えたときは、「ありがとうと言ってもらうためになにかしてるの?」と怒られた。
こんな風に得意な文章を書いて発信したり、仕事をがんばっている姿も、たぶん見てくれてはいなかった。
短気で自分の思い通りにいかないとすぐに怒り、感謝の気持ちやわたしへの興味なんてなかったのだ。
だけど、体だけは求められた。わたしはそれで愛されていると思っていた。いや、本当はずっと愛されていないことなんてわかっていたけれど、そんなこと信じたくなかったから、見ないようにしていたのだと思う。わたしではなく、わたしの体だけが必要だったのだと思う。
愛されていると思いたかったから、そのことは見ないようにして、逆にわたしはどんどん彼へなにかを要求をするようになった。手紙や写真でもいいからプレゼントがほしい、とか。
わたしが思う「普通」に照らせばそんなに大きな要求ではないと思うけれど、でもわたしのことなんて愛していない彼はにとっては大きな要求となり、そしてもちろんそんなものには応えてもらえるはずもなく、どんどん愛されていないことを実感していくようになった。
そうしているうちに周りのひとたちから、「大切にしてくれないひととは別れたほうがいい」と言われるようになった。わたしのご飯をおいしいと言って食べてくれるひとと一緒にいよう、と心に決めて、別れることにした。
そんな彼が今日夢に出てきた。そこでの彼はわたしに興味を持ってくれて、楽しくデートをしていた。
あぁ、わたしはそれをしてほしかったんだ。わたしのことを見てほしかった、大切に扱ってほしかった。「わたしは彼に愛されたかったんだ」と思った。
そして、あんなに嫌な気持ちで別れて彼への嫌悪感でいっぱいだったはずなのに、愛されたかったということはやっぱりわたしは彼のことが好きだったんだ。その見ないようにしていた傷に、自分の夢で気づいてしまったのだ。
もしも出逢うタイミングが違ったら、どこかでボタンを掛け違えていなかったら、わたしは愛されていたのかな、なんて思ってしまう。
もしかしたらこれから出逢う誰かに愛されることでこの傷も少しは埋められるかもしれないけれど、「彼に」愛されなかった傷はきっとずっと癒えない。「彼に」愛されることはもうないから。
これを未練というのか?でもそんな簡単な言葉では片づけられない傷に思える。そして、対処法も薬もない。この傷はいつになったら消えるのだろう。
back number とか、マカロニえんぴつみたいな、男の人が歌う「すごく彼女のことが好き or 好きだったんだろうな」って感じる曲も、わたしには聴けないのだ。わたしはそんな風に思ってもらえてなかったんだろうなって思ってしまうから。
みんな誰かと付き合って別れてを繰り返して、こんな傷と一緒に生きているんだとしたら、みんなすごいなぁ。
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