qui me amat, amet et canem meum
「また機会があれば」という常套句を添えられて俺は店を後にした。約1年と2ヶ月働いたバイト先での最後の出勤だったが、俺の感情は感傷的になるわけでも心惜しさに苛まれるわけでも達成感を痛感するわけでもやっと辞められるという安心感で満たされるわけでもなく、いつもと変わらない越後製菓のきなこ餅菓子みたいにふわふわとしたものだった。店を出て家までの自転車を乗っている時も腰いてえ〜だとか、帰って明後日の授業の予習しなきゃだなぁとかそんなことを考えていてそこに感傷が突き入れる隙なんてのはなか