【16分で解説:車椅子の選定】PTOT国家試験 脊髄損傷領域 第49回 PM-問題16 #せきそん国試
今回は第49回PT国家試験の午後:問題16を解説します。
今回は車椅子の選定についての問題です。
まずは問題文から症例の障害像を考えていきましょう。文面から推測出来ることは頸髄完全損傷と思われます。なのでZancolli分類で評価してみましょう。
MMT:肘関節屈曲5(C5レベルを反映) 手関節伸展4(C6レベルを反映) 肘関節伸展2(C6-7レベルを反映) 手関節屈曲1(C6-8レベルを反映) 手内筋0(C8-T1レベルを反映)
このMMTの結果を見ますと、おそらくZancolli分類はC6BⅡと思われます。
ではZancolli分類のC6BⅡレベルの22歳男性の頸髄完全損傷者の車椅子はどのようなものが良いのでしょうか?
選択肢を見ながら考えていきましょう👇
1.背もたれの高さを肘台と同じ高さにする
一般的な普通型車椅子の背もたれの高さ(バックレスト高)は腋窩(脇の下)程度です。肘台の高さ(アームレスト高)と同じってことは背もたれがかなり低いのは下の図👇を見ていただけると分かるかと思います。C6BⅡでそれくらい低い背もたれですと座れません。実際には肩甲骨下角程度で合わせます。また肘台と同等の高さの背もたれでも適合するのは腰髄損傷者ですね。
2.駆動輪の車軸を標準よりも前方に移動する
一般的な普通型車椅子の車軸位置は車椅子の乗っている人の重心位置よりも後方に設定されています。なぜかと言うと、乗車中の安定性という観点から考えると、重心位置より車軸が前方へ行けば行くほど後方への転倒リスクが増します。反対に後方へ行けば行くほど安定性が増します。また車椅子の駆動効率と言う観点から考えると、前方へ行けば行くほど駆動効率は上がりますが、反対に後方へ行けば行くほど駆動効率は低下します。
3.14インチの駆動輪を使用する
駆動輪のサイズは以下を目安にしてください👇
大人用(写真上):22-25インチ 子供用(写真下):14インチ
と覚えておいてください。
OXパンフレット2020👇
4.トグル式ブレーキを使用する
ブレーキにはトグル式とレバー式があります。今はほとんどがトグル式ですが、稀に古い車椅子にはレバー式ブレーキが付いています。レバー式は強い力が必要であるため頸髄損傷者のブレーキには向きません。
5.足台をスイングアウト式にする
うーん、この選択肢が微妙なんですが…実はこれが正解何です。確かにスイングアウトがあった方が良い症例もいるとは思いますが、ほとんど付けてないですね。なのでこの選択肢が適切なのかは分かりません。
正解は 4.トグル式ブレーキを使用する 5.足台をスイングアウト式にする となります
この問題、文句なしに正解なのは4!
ボクは2と5がどちらかな?と迷いました。頸髄損傷者で車軸位置を「標準よりも前方」にしないとも言い切れないと思います。うーん、2が微妙な選択肢だと感じました。
YouTubeでの解説はこちら👇