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脊髄損傷とエスカレーター

エスカレーターは、私たちの日常生活を支える便利な移動手段です。しかし、脊髄損傷を抱える方にとっては、思わぬリスクや課題をはらむ存在でもあります。今回は、脊髄損傷を抱える方がエスカレーターを安全に利用するための方法と注意点について考えてみます。
この記事を通して、普段の生活に取り入れられる実践的なヒントを得ていただければ幸いです。


1)一般的なエスカレーターの利用方法

エスカレーターは、公共施設やショッピングモール、駅などに設置されている移動手段で、多くの人が毎日利用しています。一般的な利用方法としては以下のようなルールが挙げられます。

  1. 歩かずに立ち止まる:エスカレーターでは原則として歩行を控え、手すりを持ちながら立ち止まることが推奨されます。また立つ場所の規定はありません。大阪では右側に立つことが慣例とされていますが、左に立っていても問題はありません。障害によっては右手が不自由なために右手で手すりを掴めない方もいらっしゃいます。その方は左側に立たれると思います。いろんな状況に置かれている方がいらっしゃることを頭の片隅に留めておいてください。

  2. 手すりを掴む:バランスを保つため、必ず手すりを掴むようにしましょう。

  3. 荷物の注意:大きな荷物やカートを持ち込む際には、安全のためにエレベーターを使用することが望まれます。もし滑って落ちてしまうと大変危険なことになります。

これらの基本的なルールは、すべての利用者の安全を守るために重要なものです。


2)車椅子ユーザーのエスカレーターの利用

日本国内ではエスカレーターでの車椅子利用は禁止されています。これは、安全性が確保できないためです。転倒や転落など、重大な事故のリスクがあるため、公共施設では車椅子利用者にはエレベーターの利用が推奨されています。

一方で、車椅子のままエスカレーターを利用せざるを得ない状況もあります。例えば、エレベーターが故障している場合です。こうした場合、車椅子でのエスカレーター利用をサポートするために訓練を受けたスタッフが必要となることがあります。ただし、こうした対応は施設ごとに異なるため、事前に確認が必要です。
車椅子で安全に使用できるエスカレーターの動画を載せておきます。このようなエスカレーターがあれば良いのですが専門スタッフが必要となるため事前連絡は必要と思われます。


3)不全損傷者がエスカレーターを利用するにはどうすれば良いのか?

歩行可能な脊髄不全損傷者の場合、エスカレーターの利用が可能なケースもあります。ただし、安全に利用するためには以下のポイントを押さえておく必要があります。

  1. リハビリで歩行能力を向上させる
    日常生活でエスカレーターを利用するには、当然のことながら立位バランスや下肢筋力を向上させるリハビリが欠かせません。例えば、階段の昇降練習や立位バランス練習が役立ちます。

  2. 補助具の利用
    杖を使用してエスカレーターに乗る際は、必ず手すりを掴む手を空けておくようにしましょう。中心性損傷の場合は手すりが掴みにくいかも知れませんので、事前にエスカレーターの手すり程度の幅広のものを掴めるか評価しておくと良いでしょう。

  3. 一人で乗らない
    一人での利用に不安がある場合はエスカレーターの利用は控えましょう。

  4. エスカレーターに乗る場合はどちらの足から乗せると良いの?     
    エスカレーターに乗る場合は自分で頼りにしている足を先に乗せましょう。エスカレーターなので当然乗せた足は勝手に前へ進んで行くわけです。その状況変化にすぐさま対応できる足を先に乗せないと危険なことになってしまいます。 



4)まとめ

エスカレーターは日常生活の中で便利な移動手段ですが、脊髄損傷者にとっては適切な利用方法を理解し、準備を整えることが必要不可欠です。本記事で紹介した情報を参考にしてみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。本記事が、エスカレーター利用における安全性や日常生活を豊かにするためのヒントとなれば幸いです。また、次回の記事もお楽しみにしてください。

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