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究極の人材要件、上向きのリーダーシップ

世の中の様々な企業が、各社独自に求める人物像や人物要件を策定している。

僕もそういう仕事をしているので多少言うに憚られるところがあるのだが、いろいろ個別にそういう人物要件を検討しても、大概は同じような結論になる。

無論、細かい違いはあるし、それが大事な局面はあるのだが、本当に優秀な人と言うのは、ある程度はどこへ行っても優秀、言いかえればどの会社の求める人物要件は似てきておかしくないのかもしれない。

その共通する要件とは何か。

世に明らかにされていることだけ見ていると、やれ論理的思考力や、やれコミュニケーション力や、やれ地頭や、やれ主体性やということになる。

これらは確かに共通していると思うし、当社でも前職でも掲げていた。嘘ではない(ただし、これらの言葉は手垢がつきすぎて、当の人事の間でも多義的で曖昧になってしまっている。このことはいつかまた書きたい)。これらは「全社員に求める」という意味では確かにそうかもしれない。

しかし、全員には求めないが、そういう人がいたら引っ張り倒してでも採りたいという意味での「究極の共通要件」というのがあると、僕は思っている。

それが「上向きのリーダーシップ」である。

僕がまだ社会人数年目のある時、人事のボスに銀座の居酒屋へいつもの如く連れていって頂いた時にそのコンセプトを伺った。
※ここから記憶曖昧です。

最初は別の話をしていたように思うが、これまたいつもの如く仕事の話になり、求める人物要件の話になった。

したたかに酔ったボスは「お前、どんなやつを採りたいと思ってるんだ」と僕に問いただした。僕はふいをつかれたのと、まだ自分の考えに自信がなかったのとで、しどろもどろになり(まあそのあたりは今も一緒ですが)、先に述べた「地頭」とか「自律性」とか適当なことを言ってしまった。ボスは「お前は浅いな!」と言い、持論を述べはじめた。

「いいか、お前。世の中は誰が動かしている?」
「だ、誰でしょうか・・政治家?」
「いや、そういうことじゃなくて。あのな、世の中は『じじい』が動かしているんだ」
「じ、じじいですか・・・」
「そうだ、じじいだ。それがいいかどうかは別として、現実の日本では、政治家もそうだが、社長も部長もじじい。権限持ってるやつは大概じじいだ」
「はい。そ、そうっすね」
「だから、そのじじいを動かせるやつが欲しいんだよ!!」

(じじいリテラシーか・・・)

もちろん「じじい」というのは当時の酒の席での直截で極端な言い方であって、今の時代では、若い権力者もいれば、女性もいるので適切ではない(そもそも言葉自体が不適切ですが・・・)。

つまり、自分より目上の権力を持った人を、権力ではない影響力を用いて、動いていただくことができる力を持った人材が究極的に必要かつ捜し求めるべきなのである、とボスは言ったと僕は解した。

これが「上向きのリーダーシップ」である。

確かに。

その力を持つ人は若く権力が無くとも、結果として世の中を動かせる。

また、下向きの(ふつうの意味の)リーダーシップはまだ遍在しているが、上向きは希少な気もする。

以後、自分はこの要件をずっと念頭に置いて人探しをしてきたように思う。

上向きのリーダーシップを持ち、それにより何らかの成果を挙げている人はよく話を聞けば実際にまれにいる。

しかし・・・実はこの要件の中身は研究中かつ極秘事項…。

単に可愛いげがあればいいわけでもないし、物おじしなければいいというわけでもない。

そもそも僕自身が上向きのリーダーシップがそれほど高くない。

昔、リクルートにいた時、メンバーが経営企画に異動になったとき、その女子にリテラシーを授けようと、カラオケでテレサ・テンの「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」3部作を伝授したが、リクルートの役員は当然のごとくもっと若く普通にJーPOPとか歌っていたそうだ(元部下の報告によると)。

そんな的外れな自分には上向きのリーダーシップはまだまだ謎の領域である・・・

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