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「不安産業」について
「不安産業」という言葉がある。
「これこれこうしなければ、こうなるぞー」というホラーストーリーを語って、相手を不安にさせて、モノやサービスを買わせることを指す。
そのホラーストーリーが真実であれば、それは全く真っ当な商売であり、いわゆる「予防」の仕事である。
しかし、そのホラーストーリーが偽りであれば、詐欺に等しい商売である。人の恐怖心につけこんだ卑怯な仕事である。
ただ、難しいのが、ホラーストーリーは未来のことなので、当たるも八卦当たらぬも八卦、完全な予測は難しい。結果、外れる場合もあろう。自然科学でも身体のことなどは複雑性が高く、予測が難しいが、社会科学の一つと言えるビジネスとなればさらに難しい。
となると、結局、そのホラーストーリーを語る本人が信じているかどうかが、「不安産業」の真っ当さを判定する基準となる・・・かと言えば、そう簡単でもなく、狂気の人の語るホラーストーリー(昔のノストラダムスの大予言現象とか)はどうなるのか、ということにもなる。
人材採用業界の仕事も、特にコロナや景気の影響もあり、いろいろ予測が難しい状況でもあり、「不安産業」化してしまいそうな感じがある。いろいろな人がいろいろなホラーストーリーを語り、いろいろなモノを売るだろう。
そんな中、嘘つき呼ばわりされないように、ちゃんと未来を予測しなければ、と思っています。
ただ、「不安産業」の難しいところは、コトが起こらなかった時に、「予測が外れた」のか「予防が効いた」のか、が分からないところ。
人事の仕事も「予防」が理想なので、本当に「できる人事」は何の目立った実績もない「空気」のような仕事をしているのだと思います。
長嶋茂雄のように、わざとワンテンポ遅らせてダイビングキャッチしてファインプレー、みたいな人がビジネスでも「すごい」と言われがちですが・・・嗚呼