赤ちゃんと過ごす「今」を切り取った、WITH BABY GIFT撮影の思い出
体験ギフトの企画・制作担当者の頭の中をつづる「商品開発ノート」。今回は、出産祝いや1歳の誕生日プレゼントにおすすめの「WITH BABY GIFT」についてお届けします。2020年に商品リニューアルを担当した根本、星野、金丸の3人で、当時のことを振り返りました。
育休明け最初のプロジェクト
根本:私は2020年の春に初めての産休・育休から復帰し、1歳になったばかりの息子と生活しながら、このプロジェクトを担当しました。以前記事にした「ドッグリゾートギフト」と同様に、当事者が担当するというスタイルでした!
星野:当事者の根本さんが作成した商品コンセプトがとても心に響きました。
根本:赤ちゃんとの生活は、毎日がかけがえのない時間だとわかっていても、寝不足や心配事が続く大変な日々でもありました。出産祝いは、そんな状況にいる相手に贈るもの。その前提に立って考えました。
金丸:何度か練り直してくれたと聞きましたが、制作が始まる段階のキックオフMTGでは、一度で全員が納得。涙目になる人もいましたね(笑)。
「FOR BABY」から「WITH BABY」に
根本:資料中にも「for baby(仮)」とありますが、リニューアル前は、「カタログ FOR BABY」というのが正式名称でした。「FOR BABY」は「赤ちゃんのために」。赤ちゃんが主役で、そこにママ・パパは入っていないイメージになりますが、ギフトを贈る人は、ママやパパの友人や家族・親戚です。ママやパパに、赤ちゃんとのかけがえのない時間を過ごしてほしいと願っていると思うので、「WITH BABY GIFT」に変更しました。
星野:その視点はデザインにも活きました。「ママ・パパも一緒に」というのが、他の出産祝い商品との違いになると思いました。例えば玩具に原色などはっきりした色合い物が多いのは、赤ちゃんにとって識別しやすいからだと思います。「WITH BABY GIFT」ではお父さん、お母さんへの贈り物という側面も重視して、あえてくすんだ色味のパッケージにしました。
とはいえ赤ちゃんに関係するものだと分かるようにしたいので、赤ちゃんらしい柔らかい雰囲気を表現できるイラストレーターやフォトグラファーを探しました。
根本:個人的にも、商品パッケージや写真の色合いが好きです。使う色は、どうやって決めたのですか?
星野:リニューアル前の商品パッケージでピンクとグリーンを使っていたので、それを引き継いで、くすんだ色味に調整してキーカラーにしました。写真の中でも、赤ちゃんが着ている服や小物の中に、キーカラーを入れ込んでいます。
赤ちゃん5人が集まった撮影の思い出
根本:撮影の日のことをよく覚えています。SOWのメンバーの子どもや甥っ子・姪っ子たち、0〜1歳児に集まってもらいましたね。
金丸:根本家も家族総出で来てくれました。
星野:赤ちゃんが数人集まる撮影はチャレンジでした。通常は香盤表(撮影内容や時間割をまとめた表)を作りますが、撮りたいカットのイメージだけ固めておいて、時間は決めずに臨みました。実際、○○くんの出番だよ、というときに本人が寝てしまったり(笑)。
根本:なつかしい!私たち親子も、息子が私の手を引いて歩くシーンを撮る予定だったのですが、全然引っ張ってくれませんでした(笑)。
金丸:その代わり、二人が向き合って手を繋いでいる写真が撮れて、この写真がとても良い!となって予定を変更したんですよね。
星野:場所と衣装を用意した上で、赤ちゃんたちに自由に動いてもらいながらの撮影でした。事前に決めていたのは、赤ちゃんの顔をあまりうつさないこと。ニコッと笑った顔を正面から撮るのではなく、手や足、横顔などを撮りたいと、カメラマンさんにも伝えていました。
あえて正面からの写真にしなかったのは、ギフトを受け取ったお母さん、お父さんが見たときに、自分の子どもに重なる部分を見つけたり、今の自分たちの生活の一瞬を切り取ったような場面だな、と感じてもらいたいと考えたためです。全部の写真をそのように感じるのは難しいかもしれないけれど、「こういう仕草するな」とか、「手の感じが同じだな」とか、自分たちに引きつけて感じてもらえたらいいな、と。
写真と詩を一冊のコンセプトブックに
根本:撮影した写真は、コンセプトブックに掲載しました。コンセプトブックには、金丸さんによる詩も載せましたね。
金丸:SOWのギフトには、使い方を説明するガイドとともに、贈られた体験の魅力を伝える情報コンテンツを掲載しています。WITH BABY GIFTは産後間も無くて忙しいお母さん、お父さんに贈るものです。そのため、ギフトの使い方を端的に伝えることを最重視し、その他の情報コンテンツは余裕があれば読んでもらう(読まなくてもギフトを使える)ようにしました。使い方だけをすぐに読むこともできるように、説明書と情報コンテンツを一冊の部材にせず、二つに分けることをまず決めましたね。
星野:説明書は、赤ちゃんを抱っこしたままでもテーブル上に広げて見られる形状にしました。できるだけ文字を減らし、使い方と、選べる体験やグッズをおすすめの月齢別に並べた一覧表のシンプルな内容です。
金丸:情報コンテンツは、絵本や、カレンダーにするという案も検討しましたが、前述の商品コンセプトが社内で共感を得られていたので、コンセプトブックとしてまとめることにしました。
星野:私がコンセプトブックのラフを書いて、ここに詩を入れたい、と思い、金丸さんに依頼しました。
金丸:ちょうど私が個人的に詩のZINEを出した後だったんですよね。商品コンセプトに共感していたし、それだけでも書ける気がしたけれど、自分自身は子育ての経験がない状態だったので、今まさに小さな子を育てている社内のメンバーにインタビューをしました。
インタビューでは、「詩など読んでいる時間はあるのだろうか?」という私の疑問に、「確かに心休める時間はなかなか無いけれど、それでも誰かに「大丈夫だよ」と言ってほしかった」という話を聞けました。また、「感受性が高まっていて、音楽とか文章にいつもより感動することもある」と聞いたのも印象的です。孤独感がある、社会から隔離されている感覚があるとも聞き、そういう状況で読んでもらうかもしれないということを強く意識しました。それで5篇書いて、星野さんに選んでもらいました。
根本:「て・に・を・は」の一つひとつにまでこだわって書かれていたのが印象的でした。「覚えているよ」という言葉を繰り返し使っているのも特徴的ですよね。
金丸:記憶をテーマにしたのは、それが愛情の一つの形かもしれないと思ったから。覚えているということは、印象や愛着があるということ。特に赤ちゃんの時のことは、本人は覚えていなくても、親や周りの人は覚えていることがありますよね。大きくなって、自分が知らない思い出話を聞くのは、愛情を感じる一つのタイミングかなと思いました。
カーラ・カスキンの『どれがぼくかわかる?』という絵本が幼い頃から大好きで。ある子どもがいろんな動物に化けて群れに紛れるのですが、その子のお母さんは絶対にどれが息子が分かるんです。「あなたは〜〜〜だから」と。
子ども自身が認識していないことも、お母さんはきちんと見てくれているという点で、それにちょっと似ている愛情の表れかもしれないなと、後になって思いました。
根本:確かに似ているかも。『どれがぼくがわかる?』読んでみたくなりました!
星野:できあがった詩に合わせて、写真のイメージも固めていきました。撮影現場でお母さん、お父さんたちにも読んでもらいましたよね。
根本:共感の嵐でした。ギフトの付属品として作ったコンセプトブックですが、産後という特別な時期にギフトを受け取った方々に、少しでも肩の荷を下ろして、心が温かくなる時間を持ってもらえたら嬉しいなと思います。
出来上がったコンセプトブックの全ページは、WITH BABY GIFTの商品ページ(冊子の中身>全ページを見る)からもご覧いただけます。