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リアルな喜びをライフスタイルにとり入れる。

3年経って、この家は手をかけてきた愛着をぬきにしても、本当に住み心地が良い。ある方はうちの庭に立ち、「おーいと言ったらすぐにハーイと応えてくれる、自然が呼応するスピードが早いね」と表現した。人間と自然の間を育んできた身としてはとっても嬉しく益々と励みます。

この地に暮らすことが決まり、
宮司さんにお願いし、ご挨拶をした。
『共にここに住まわせて頂きます』

家の造りがしっかりしてるのも良い。例えば立派な「のき」が深いのは、夏は暑い太陽をさえぎって、愛媛の夜でもエアコンなしで暮らせる。山の風が通る窓も心地良い。ずいぶん低くなる冬の太陽も光が差しこむ。

この家を建てた大工さんは近隣の山の材を使ったそうだ。昔は孫のために木を植えて新しい家を建てた。「この集落もそうだった」とかつての家主に聞いた。

薬師寺の再建を棟梁として手がけ、代々法隆寺の宮大工棟梁であった西岡常一氏は、祖父より『土の命』を知ろと教わったと聞く。食べるための仕事を禁じて、土を耕した。『木を買わずに山を買え』『千年以上耐える木の見極め』が法隆寺棟梁の口伝の教えだとか。時間軸がとんでもなく長い。

2021年、土地と家も「ご縁」、そう心に何度も復唱しながら探しつづけた。
空き家だったこの家を見つけたとき、軒下に2人で座り、目の前に広がる風景を眺めながら、「よっし、ここにしよう」と直感的なゴーサインが出た。遠い未来の風景はまだ見えていなかったけれど、直感とご縁は感謝しきれない。

集落は自然がほがらかな明るさがあって、人も今でも付かず離れず見守ってくれる方々に恵まれている。親族ばかりが住まう集落にとって、私たちが初めての移住者にも関わらず。

家探し中、良いところだなぁ、と神社に立ち寄りご挨拶。
車を停めさせて頂き、近くを散策した。
そして今の家を見つけた。

2022年春、引っ越しが決まった。

1月、まずはここから始めよう。
お世話になっている四国の修験山を守る宮司さんにお願いした。私たちは神様に捧げる海のものと山のものを準備して、宮司さんが祝詞と舞いを捧げた後、

屋内をくまなく祓い清め、外に出ると真っ先に梅の木へ歩み寄って下さった。敷地内の木々や菜の花がゆれる大地へ、山々を見つめ、一緒にご挨拶をする。心の中でしっかりと「よろしくお願いします」と言葉にしてはじめて、本当に我が家なんだと感動した。

心身清まって新たに、改装開始!
この家は1975年生まれ(私と同い歳)の里山の平家。まずは構造を知って、どの柱をぬいて良いか、壁を壊して、一部屋を広くするかなどレイアウトを決める。

家と対話する。
がってんは、何軒か家を建てたことがある。
山を開墾してゼロから建てる、ログハウス、
ストローベイルハウス、氷の家なんてのも建てている。

4月の引っ越しに向けて、1月〜3月、寒いさ中の集中的な改装工事は、がってんの猛スピードな破壊力と集中力で、一時は家の中で火を焚きBBQできるスケルトン状態になり、高校生や若者が手伝いにきてくれて一緒にテントで寝ることもあり、目に見えて家が出来ていく、毎日が思い出に残る楽しい日々をガンガンと進めていった。

里山(里海でも)暮らしの中に根源的な喜びを与えられる。自分が生きて見られる風景ではなく、次の世代また次の世代が生きる未来に広がっている風景を育んでいこう、私たちの共通の祈りをライフスタイルでも表現していく。家さがしも、その後の家づくり、土地を生かした土づくりも、食べること、働くことも、農的田舎暮らしをしたいためとかじゃなく、希望の未来を、次につなげる今を生きる。(家づくりno.2へつづく)

手伝いにきた高校生と。
家づくり中の一休み。
沈黙も自然の音がつつんでくれる。

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