【小説】『消えたモノ』
「天谷先輩、これは何ですか?」
目の前の机にどさっとおかれた紙束を見ておれは訊いた。相手は二年の天谷みやこ先輩。うちの部活の部長だ。
「見ればわかるだろう。三条くん。文化祭の収支表企画説明図その他資料だよ。先日の文化祭で何をしたか記録するためのものだ」
「うちの部はもう全部提出したはずじゃ……」
「ああ、だがそれだけじゃ終わらないぞ。全クラス・部活の収支を計算して資料にまとめて会議に提出しないといけない」
何を当たり前のことを、と言わんばかりの表情だ。
「それは生徒会と文化