2022/12/16 令和5年度税制改正大綱 気になる話題
自民党・令和5年度税制改正大綱が発表されました。
いろいろな改正予定が盛り込まれましたが、特に気になった話題を掲載します。
※自民党版での予測に基づく見解のため、後日、変更となる可能性があります。予めご了承ください。
(1)前回触れたインボイス制度の負担軽減措置
正式に謳われました。ただし、条件として「事業者免税点制度(基準期間課税売上高1000万円以下の話)の適用を受けられないこととなる場合は・・・」と付されていますので、本来免税事業者だったはずの人が令和5年10月1日に登録した場合で、
イ)令和8年9月30日までの間で、基準期間の課税売上高が1000万円以下の(課税)期間は、税抜売上額の2%納税で良い。※軽減税率の話は割愛します
ロ)令和8年9月30日までの間で、基準期間の課税売上高が1000万円超の(課税)期間は、従来通り簡易課税か原則課税を選んで納税する。
・・・となります。
負担軽減措置の適用において、免税事業者の方は「課税売上高が1000万円を超えたかどうかを、(個人事業主の場合は)令和6年まで気にする必要がある。」ということになります。
該当する顧問先の方には、ご連絡させて頂きます。
(2)法人税の付加課税 令和9年度に向けて複数年かけて段階的に実施
ニュースで直前に話題になった件です。法人税額(おそらく地方特別法人税は除く)が、500万円を超える法人のみ、増税となります。
なお、所得税は、復興特別所得税の中で看板がつけ変わっただけなので、納税額への影響はほぼ無いと思われます。
(3)相続税の持ち戻し期間が7年に 令和6年1月1日~
亡くなる前3年以内に行われた暦年贈与(主として相続税対策として相続財産を減らすために行われるもの)は、相続財産に加算して相続税率で再計算するしくみ(いわゆる持ち戻し)がありましたが、これが「7年以内」と非常に長くなりました。(4年より前は100万円控除とするの調整はありますが・・・)
そうなると、被相続人の通帳チェックを10年間分、必ず見る必要が出てきます。
相続時精算課税についても「暦年贈与の基礎控除110万円と同じ毎年の贈与税計算を認めつつ、最後の相続時にまとめて相続財産として精算する」という考え方が採られました。いわゆる「暦年贈与と相続時精算課税の選択(多くの方は暦年贈与を選択)」の現状を、暦年贈与の優位性を減らし、相続時精算課税が使いやすい形に改正したということになります。逆に税理士目線では、相続時精算課税の適用有無の税務署照会を行う機会が増えそうです。
(細かい説明は、省略しています。知らない方にはわかりにくくてすみません。)
(4)電子帳簿保存法、届出関係、給与支払報告書などの事務手続きの簡素化
様々な緩和、簡素化の「計画」が発表されました。未来日付の改正予定が多々ありましたので、追いかける必要があります。給与支払報告書の取扱改正(税務署と市区町村の2ヶ所提出だったのが、市区町村だけになる?)は実務に影響しそうです。
(5)司法書士向け:登録免許税 住宅用家屋証明書の取得事務手続きの簡素化
大綱文面ママ44ページ
「住宅用家屋の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置等の適用を受ける場合に登記の申請書に添付することとされている住宅用家屋証書に係る市区町村の証明事務について、その証明の申請の際に住宅用家屋の審査に係る一定の書類の添付があった場合には、証明事務の一部の事務を省略することできることとする。」
・・・“住宅用家屋の審査に係る一定の書類”、”証明事務の一部の事務”の内容が明らかになって判明しますが、次の問題の解消を意図していると思われます。(司法書士より)
「住宅の売買時の所有権移転登記では、登録免許税を安くできる【住宅用家屋証明書】を登記に添付します。その書類の取得時に、役所に様々な添付書類を出すケースがあります。(住所が異なる場合、長期優良認定住宅、中古住宅の場合など。)その添付書類に不備があった場合は、住宅用家屋証明書がその場でもらえません。」
「売買決済の当日に、【住宅用家屋証明書】を取得する段取りの場合、取得できなかった場合は、登記申請時の登録免許税が非常に高くなってしまい、トラブルになることがあります。」
市区町村、不動産会社、司法書士、土地家屋調査士の実務が変わる改正予定でした。