【特別受益 その4】
こんにちは
浜松の相続終活専門士 石川ひろしです。
今日のハナシは 特別受益と事実上の相続放棄との関係
です。
みなし相続財産から具体的相続分を計算した結果、特別受益を受けている相続人の具体的相続分が「ゼロ」になる場合があります。
この場合に、特別受益を受けている相続人が「被相続人〇〇の生前に特別受益を受けているので、〇〇の相続に関して相続分を受け取りません」と主張することがあります。これは【事実上の放棄】と呼ばれています。
特別受益を受けたことを理由に事実上の放棄を行う場合、本来の相続放棄とは異なり、家庭裁判所における手続きなどは不要です。事実上の放棄を行う方法として、遺産分割協議書の中で、特別受益を受けているために、自分の具体的相続分がゼロであると記載することが考えられます。
ただし、遺産分割協議書は、家庭裁判所の手続きこそ不要ですが、相続人全員の同意の下で作成しなければなりません。
もう一つ、【相続分不存在証明書】を作成して、事実上の放棄をする方法もあります。相続分不存在証明書は、事実上の放棄をする相続人が単独で作成することができますので、遺産分割協議書よりも簡単に事実上の放棄をすることができます。
ただし、事実上の放棄には問題点もあります。特別受益を受けた相続人の具体的相続分がゼロになることで、相続財産が特定の相続人に集中するケースがあります。このことを利用し、特定の相続人に相続財産を集中させる目的で、家庭裁判所の手続きなどを省略するため、相続分不存在証明書を作成することがあります。その際、実際は特別受益を受けていないのに、相続人が相続分不存在証明書の作成を強要される可能性があります。特別受益を受けていない人には、相続分不存在証明書の作成を依頼してはいけません。
※事実上の放棄と相続放棄の整理※
事実上の放棄
<方法>
1)遺産分割協議書における特別受益の記載
2)相続分不存在証明書(特別受益証明書)の作成
<メリット>
家庭裁判所を通した煩雑な手続きが不要
<熟慮期間の制限>
なし
相続放棄
<方法>
家庭裁判所に対する申述
<メリット>
債務の返済などの責任を免れることが可能
<熟慮期間の制限>
相続開始を知った時から3カ月以内
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
(社)相続終活専門協会正会員
相続終活専門士 石川ひろし
<相活士行動理念>
相活士として、争続・争族(あらそうぞく)を避けるため、
効果的な終活を推奨することを使命とします
具体的には
① 遺言を書くことを推奨します。
② 死亡保険金受取人を熟考することを推奨します。
③ 遺言執行人を指定することを推奨します。
中でも外部の法人にすることを推奨します。