演劇の純表現 -石原朋香『見てをりぬ』を観て-
石原朋香の『見てをりぬ』は30分程度の演劇作品である。東京芸術大学取手キャンパスで開催中のWIP展での初演を鑑賞したところ、文章をしたためるべき衝動に駆られたので本稿を走り書きする。
文学の文学的表現にフォーカスしたジャンルを純文学と呼ぶならば、演劇の演劇的表現を活かしたジャンルは純演劇と呼ぶことが出来るだろうか。本作は演劇表現の美しさを持ち、しかしそれでいて難解でない構成を持つ。演劇の持つ諸要素を活用しながら自己批判的なのみでない作品として成立している。
本作は石原の祖父母