死んでしまう系のぼくらに 最果タヒ

きみが死んだ時ほど、夜空は美しいのだろうし、ぼくは、それを少しだけ、期待している。
きみが好きです。
死ぬこともあるのだという、その事実がとても好きです。

愛はいらない、さみしくないよ。ただきみに、わたしのせいでまっくろな孤独とさみしさを与えたい。

赤い夜景、それは故郷では見られないもの。それを目に焼き付けること、それが、きみがもしかしたら東京に、引っ越してきた理由なのかもしれない。

時間の先にあるものが、無意味だとして、
ぼくは、それでもただきみをみつめて、生きていく。
ぼくの、人生に価値や意味があるのか。
きみがいれば、
ぼくなどいなくても変わらない、そのことが好きです。
きみが好きです。

それは、喧嘩よりもたちがわるい。永遠でないのに、臆病さが一瞬を永遠にしてしまっている。

不幸であれば許される気がした

きみが死んだときいたから きみに恋をしたんです
愛する人を失うショックで
いい絵を描きたい、詩を書きたい

かなしくはないけれどさみしい、という感情が、ひとの感情の中でいちばん透明に近い色をしているってことを、

みんなを愛する博愛なんて信じないけれど
だれかがだれかにおくった愛を おろかに信じてしまうのは
ぼくにも母がいたからだろうか

ずっと泣いていてほしい
失望してやっと、きみは美しくなる

生きているといろんなことがあるわよね、ときみの葬式で語られて、ほほえんでうなずく私を、私は内側から撃ち殺せるだろうか。いつか、きみは海に落ちて、消えてしまう。恋や、愛について、語っていたのが無意味だったと知る。私のなかにあった概念を、きみがすべて、つくりあげていた。孤独すら、きみがいない世界では、ありえなかった。

私という存在について、きみは、知っていましたよね。私は知らなかったんです。なにも。

異常だねって、雨の中できみが笑って、羨ましい気がしたとき私はそれになにも名前をつけたくなかった。

空洞になったような気分になるねって、季節の変わり目に君は絶対、いちどは言う。
だれもがきみのことを好きだよ。

だれかが死んでもだれかが最低でも、他のだれかがきみを愛してくれるよ。その確信が私をどんどん不幸にする。

きみを幸福にするのはけっきょく、私ではなく幸運と健康だ。

私がもっと、ばけものみたいにきみを愛せていたら。かわいい、大好き、愛している、だけの生物になれていたら、きみに、不幸になろうって言ってもらえる夢なんて、きっと見ない。

こない 未来に、約束されたさみしさが美しさというものです。

きみを愛する人はどこにもいない、そんな予感が透明な色を空に塗って、きみは今日も僕のすばらしい友達。
恋に、最後の希望をかけるような、くだらない少女にならないで。

だれかに愛され、そのひとを置きざりにして、
死んでみたい 夜、昼、朝、

愛されたいと叫ぶことで無意味になるたくさんの本当の欲求、

きみはもう失敗したんだよ。忘れたふりして、
憂鬱をうたいたがってるだけ。

美しい人がいると、ぼくが汚く見えるから、
きみにも汚れてほしいと思う感情が、恋だとききました

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題名は好きになれない