沖縄島の成立と南北で異なる植生について解説!
こんにちは!沖縄南部観光局です。
前回は【沖縄戦跡国定公園】をご紹介しました。沖縄戦跡国定公園は沖縄本島の南端に位置しており、一方で、世界遺産に登録された【やんばる】があるのは沖縄本島の北部。
沖縄戦跡国定公園もやんばるも、「木々の緑」が広がっていますが、その植生が実は異なるのです。今回はその理由を解説します!
沖縄に恐竜はいたのか
「沖縄本島」と言われますが、県庁所在地・那覇もあるこの島は、正式には「沖縄島」といいます。日本では本州、北海道、九州、四国、そして北方領土の択捉島、国後島に次いで、7番目に大きな島となっています。
沖縄島の北部にある「名護パイナップルパーク」では、恐竜のレプリカが展示されています。また「DINO 恐竜 PARK」という施設もあります。
やんばるの森に広がる「ヒカゲヘゴ」は、映画『ジュラシックパーク』のような、今にも恐竜が出てきそうな雰囲気を作り出しています。
しかし実際は、沖縄島に恐竜がいたという歴史はありません。
沖縄島の成り立ち
ここからは【沖縄県立博物館・美術館】の記事を参考に、沖縄島の成り立ちをサクッと解説します。
恐竜は約2億5千万年前からの中生代に存在し、約6500万年前に絶滅したとされています。中生代の沖縄はまだ、海底の地層の一部でした。
やがて海が浅くなり、陸地が出現したのが、今から2000万年前から500万年前。この陸地が琉球列島の基盤となっています。その後、海面の変化や陸地の変動などを経て、9500年前には現在のようなサンゴ礁に囲まれた琉球列島となりました。
ただ、これまではその成り立ちについて、十分な調査が行われていなかったそうです。
沖縄島の成り立ちは南北で異なる
以下の論文を参考にしながら、南北で異なる、沖縄島の地質についてご紹介します。
琉球弧の地質と岩石:沖縄島を例として, 新城 竜一, 土木学会論文集 A2(応用力学), Vol. 70, No. 2 (応用力学論文集 Vol. 17), I_3-I_11, 2014.
北部の地質は形成年代が古く、主に付加体(海洋プレートに乗ってきた堆積物)から出来ており、南部はその場で堆積(砂やサンゴ)した地層から出来ています。
沖縄島を南北に縦断する国道58号線を走っていても、中部を境に景色が変わります。
こちらはその境目に近い、恩納村の南部。山を感じさせる景色です。
ちなみに、沖縄に「山」は存在しません。日本の山の名前は、「富士山」など「山」が付く場合と、「谷川岳」など「岳」と付く場合がありますが、厳密な違いはありません。
ただ、沖縄には「○×山」は存在せず、すべて「×○岳」となっています。
こちらは南部の景色。なだらかな丘はありますが、山を感じさせる景色ではありません。
植生が異なる件について
話が大きく遠回りしていますが、今回のテーマは「沖縄島北部と南部の植生の違い」についてです。植生が違うということは、植物が根を張る地面が違うということで、まずは地質を解説させていただきました。
http://www.ogb.go.jp/o/nousui/nns/c1/page3-3.htm より
こちらは具体的な【土壌の違い】です。中北部は赤くなっており、これは「国頭マージ」といいます。中部の緑色は「ジャーガル」、南部の黄色は「島尻マージ」です。
簡単に説明すると、有名な「赤土」は国頭マージです。ジャーガルはオリーブ(黄緑)褐色~灰色で、島尻マージは黄褐色~暗褐色の土となっています。
土が変われば植生が変わり、植生が変われば、そこで栽培される農作物も変わります。この辺りに着目するのも面白いかもしれません。
そして、地図をよく見ると、沖縄戦跡国定公園には島尻マージが集中していることが分かります。島尻マージは別名「隆起サンゴ礁石灰岩土壌」。
サンゴ礁の影響を受けた土であることが伺えます。この詳細については次回のお楽しみに!
最後までご覧いただきありがとうございました。