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自分にあった複業を「見立てる」ために必要な”3つのM”とは #複業の教科書
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前回、第7回はコチラからどうぞ。
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ステップ1:「見立てる」
自分の強み・特徴を棚卸しする
WHYを明確にするマインドセットのステップ0を踏んだ上で、いよいよステップ1の「見立てる」へ。これは「自分はどんな複業ができそうか?」という〝WHAT〟を設計するステップです。
自分の行動特性や強みを棚卸しし、世の中のマーケットトレンドを知り、お金を稼ぐ方法を調べる。「3M分析」というフレームワークをもとに解説していきます。
1 Myself (自分自身の価値と原点を知る
① ライフラインチャート
まずは、自分自身を知ること。でも、いきなり「自分を知れ」と言われても、どうしたらいいか分かりませんよね。そこでおすすめの方法が二つあります。
一つ目は、ライフラインチャート(LLC)の活用です。
ライフラインチャートとは、これまで過ごしてきた人生の時間経過を横軸に、幸福↔不幸度を縦軸にとって、これまでの幸福度の変動を可視化したもの。このLLCの自分版を作ってみることを、複業を目指す人にはおすすめします。
方法はシンプル。これまでの人生を振り返って印象的だったターニングポイントを三つから五つ思い出して、「数学で0点事件」「大失恋で人生のドン底に」などと名づけてみてください。
そのターニングポイントを時間軸に合わせ、それぞれの時点での幸福度をプラスマイナスで相対値にして書き入れる。そして、その点をつないでいく。
これだけで、マイLLCは完成です。
ここに空白のワークシートも用意しますが、スマホでチャチャッと入力するだけでグラフが作成できるツールも公開されていますので、ぜひご活用ください。
LLCを作成することで見えてくるのは、今の自分に至るまでの〝ストーリー〟。
時間軸に沿ったストーリーの文脈の中で、「なぜ、今、この複業なのか」と自然とつなげられる〝WHAT〟が見つけやすくなるのです。複業といえども、人にモノやサービスを買ってもらうためには、「なぜ私がこれを売っているのか」という説得力のあるストーリーが不可欠になる。そのストーリーを仕立てるベースに、LLCは役立ってくれます。
② ストレングスファインダー
もう一つ、LLCと併せて試してほしいのが、「ストレングスファインダー」です。
米ギャラップ社が公開するストレングスファインダーは、強み探しのメソッド。独自に分類された34の資質の中から、優位性のあるTOP5(希望に応じてそれ以外も)を診断してもらえます。詳しくは書籍『さあ、才能(じ ぶ ん)に目覚めよう』(日本経済新聞出版社)をご覧ください。
有料ではありますが、僕は毎年診断し、自分の強みをチェックし続けます。
某大手外資系コンサルティング会社では、TOP5だけでなく下位5つの資質もフィードバックし、「苦手なことはやらない」人事配置に役立てているそうです。
「苦手なことはやらない」戦略は、複業においても応用できます。得意で好きなこと以外はやらなくていい、というのが複業のメリットでもあり、成功則だからです。
ストレングスファインダーによって、自分の強みとなる資質=コアコンピタンスを知ることは、自分に適した複業探しを大いに助けてくれます。
LLCとストレングスファインダーは、どちらか一つではなく、どちらも試すのが効果的です。これら二つを同時にやることで見えてくるのは、自分自身の〝行動のクセ〟。これはとても重要です。
例えば、過去の傾向から、「自分は気分屋で、状況によってやる気の浮き沈みがあるな」と気づいたら、継続的なコミットが必要になるクライアントワークには手を出さないほうがいいかもしれません。
いつでも自分次第で出力をコントロールできるメディア運営や、スポット的な単発受注を前提にプランを練ろう、と方針が見えてきます。
このように、「やるべきじゃない複業(not to do)」を見つけることは、複業の継続性のためにとても大事なことだと思っています。
LLCを自分だけで作るのが難しいという場合には、人の手を借りてもOK。
あまり近い関係性の人よりも、社内の他部署の先輩や、社外のメンターなど、〝斜め上〟の人にお願いすると、より客観的な意見をもらえるので効果的です。
ここまでが、「自分を知る」ためのステップでした。次に、マーケットトレンドに目を向けてみましょう。
2 Market & Trend(世の中のマーケットのトレンドを知る)
最初から「絶対にこの複業をしたい」という分野が明確に決まっていれば、迷わずそれをトライしていいと思いますが、まだ決めかねているという人はぜひマーケットトレンドのチェックを。
「伸びる市場」の世界に身を置くことで、成功確率を高めていきます。
マーケットトレンドとは、平たくいうと「これから何が伸びるか」という予測です。
マーケットトレンドを知るにはいろいろな指標がありますが、僕が参考情報としておすすめしたいのは、米ガートナー社が毎年発表している「ハイプ・サイクル」のリリースです。
最新のテクノロジーを分野ごとに「黎明期」「『過度な期待』のピーク期」「幻滅期」「啓蒙活動期」「生産性の安定期」の5段階で評価し、市場の期待値を分かりやすく解説しています。
この資料を読みながら、自分なりに「押さえておきたい3つのマーケットトレンド」などと題して傾向を整理して書き出してみると、乗るべき〝勝ち馬〟が見えてきます。
ただし、これは儲け優先という意味ではありません。
お客さんが存在する、あるいはこれから増えていく分野でチャレンジするほうがずっと楽しくなるから、という理由ですすめています。
そして、3つ目の「M」はMonetization。お金の稼ぎ方にどんな方法があるかをチェックしましょう。
3 Monetization(お金の稼ぎ方を知る)
お金の稼ぎ方を知るには、〝どこで〟お金を稼げるのか? つまり、「マーケットプレイス」を探す視点を持つことです。
複業を考える人に稼げる場所を提供するマッチングプラットフォームは、ここ5年で爆発的に増えました。
大きなところではランサーズやクラウドワークス、よりカジュアルに利用しやすいストアカやココナラなど、今やその数は100以上。
シューマツワーカーが発表する「副業系サービス カオスマップ」を見ると、その興隆ぶりがよく分かります。
(引用:副業サービスカオスマップ 2018年版)
すると、ここで生じる迷いが「どこを選べばいいの?」だと思います。
複業を始めるマーケットプレイスの見極めポイントを挙げるとしたら、やはりユーザー数でしょう。
ただし、マッチングプラットフォームにおけるユーザー数とは、仕事を供給する側に立つ個人の数と、需要側の企業の数の2種類があります。ユーザー数が非公開の場合もありますが、可能なかぎりこの2つのユーザー数をどちらもチェックし、両者の〝リボン型〟のバランスを見ることを忘れずに。
供給過多のマーケットプレイスでは価格は下落してしまうので、どうせ選ぶなら需要がより多い場所を選んだほうがベターですよね。
一方で、「このようなプラットフォームを利用しなければ複業は成り立たないのか?」というと、決してそんなことはありません。極端な話、たった一人でも熱烈なお客さんが存在して、一対一の取引が成立すれば複業は始められます。
「南米に生息する蛇のまとめサイトを作ってみた」といったマニアック過ぎる商品であっても、誰か一人でもそれを求めてお金を払う人がいれば複業として成り立つ。
これが企業活動であれば、設備投資のコスト回収や何人もの社員を養うために、収益性や市場規模必須となってしまいます。
僕自身の例では、中国のHRカンファレンスに出席するにあたって「人事用語を中心に中国語のプライベートレッスンを受けたい」というニーズがあり、Twitterで募集をしたところ、すぐに交渉成立しました。
つまり、「複業において市場規模は無視していい」と思ってかまいません。たった一人でも、自分を求めてくれる人がいれば始めていい。そして実際にやってみると、一人だけでなく、「僕もそれ、欲しかった」という潜在客が5人、10人と現れてくるものです。
ただし、「こういうモノ(サービス)要りませんか?」と投げかける場所も、どこでもいいわけではありません。
ビジネスの世界では「アービトラージ(裁定取引)」と言いますが、自分にとって当たり前にできることが、枯渇している場所を探すのです。
自分を水だと考えてみてください。水がタダのように飲める場所で水を売っても誰も買ってくれませんよね。
「お金を払ってでも欲しい!」と水を強く求められる砂漠はどこにあるのか?と周りを見渡してみてください。
エクセルYouTuberとして活躍する長内孝平さんは、「得意のExcel技術を教える」という場所を、テキストベースではなく動画にして提供したことで、多くのファンをつかみました。
すでに飽和状態の場所ではなく、まだ誰も供給者が現れていない場所を選び取った点に、彼のビジネスセンスが光っています。
1 Myself (自分自身を知る)
2 Market & Trend (世の中のマーケットのトレンドを知る)
3 Monetization (お金の稼ぎ方を知る)
ステップ1で紹介した、この三つのMの分析で、「どんな複業を始めるか」というイメージがかなり明確になってくると思います。
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