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理想のスタジアム

7月20日、埼スタでの札幌戦。
久々に現地観戦できたこの試合。
試合開始前からあることが話題になってました。

「スタンディング文化」を創ろう


というメッセージのビラが指定席(おそらくロアー)に貼ってあったと。

※別に変に晒したい訳ではないので画像は載せません。浦和サポなら分かるだろうし。

このかなり熱いメッセージは(有志としか書いてないのでおそらくですが)浦和のゴール裏のさらに中心でやっている方達からのもの。
以前から同様の声かけは伝えられていましたが、今回は紙に、文字にして指定席のサポーター一人一人へ伝えた形みたいです。

で、その画像が「X」にいくつか出回り、ちょっとした議論に…というか言い合いになってました。
見てて不安になるようなやり取りもあったので、双方の気持ちがちょっとでも分かる手助けになればなぁ…なんて思いもあり書いてます。
あくまでも個人の感想ですけどね。

では


という感じで書いていきます。
お時間あればお付き合いください。


①なぜスタンディング?

最高の空間へ

つまりやりたいこと、指定を巻き込みたい狙い…と言うかこれは直接彼らの声を聞いた方は僕以上に十分理解していると思うんですが、まず前提にやっぱりサッカーのゴール裏って凄くて、その中でも浦和は特別だと僕は思っています。
でもゴール裏からのサポートって多分限界があって、流石にスタジアムを包み込むには至らない。

そこで指定席。しかもメインとバックはお互いが両ゴール裏よりも近く、屋根もあるこの両サイドが盛り上がった時の迫力はまぁ凄い。

北のゴール裏だけだと多くてもざっくり1万人くらいでしょうから、その倍以上の2〜3万人が一斉に手拍子…と考えるとその場に居たことがない人でも「なんか凄そう」というのは想像できそうです。

↑以前にも書きましたが中心からのマグマのような熱量が、座って見ている指定席にも拡散していく。僕はそれが凄く好きだし、必要なことだと思ってます。

ただし、指定席の熱量が自然に上がる試合ってのは流石に限られていて、チャンピオンシップやカップ戦決勝ぐらいのビッグマッチでないと中々「すげぇ」というレベルにはいきません。
(いや、もちろん普段でもかなり声も手拍子もしてるチームだと思いますが)。

ポテンシャルはある。ならば普段のリーグ戦でも、重要なタイミングに絞り発揮してもらおう。というのが入場時のスタンディングであり、それを「浦和の文化にしよう」と具体的にメッセージとして残したのが今回のビラなんだと思っています。(あくまでも予想) 


②指定民の不安

※この指定民という表現で気を悪くした方がいたら謝りますが、便宜上「指定席をシーチケ保有しスタジアムに通っている人」としてこう呼ばせて下さい。

今回の配られた(貼られた)ビラについて色々な意見があり、その中には「迷惑」という声や、そこまでじゃなくても「うーん」というポストはけっこうありました。

それに対してさらに「え?なんで反対?」という声も多く。なので普段指定席で観戦してる人たちの不安(不満?)を想像してみます(僕は指定民ではないので)。

スタンディングが当たり前になったと仮定して具体的に
「座って入場が見えない」
「子供は立っても見えない」
「車椅子含めた立てない人は?」
と実際にいくつかの不安な例や、当日の体験談がありました。もちろんやるならそこは解決しなくてはならないの間違いないですが、おそらく根本はそこでなく

・「文化」という表現
・ビラという手段

この2つが指定民の不安、もっと言えば反発を招いたのかなと。

「文化」という表現

「新しい文化を作りたい」
ということは今ある文化を壊す可能性もあります。
北のゴール裏には「応援するところ」という絶対的なゴール裏の文化があるように、指定席にも長年かけてできた指定席の文化があります。

また仮に「やりたい人だけ、できる人だけ」とは言っても、それが「文化」と呼べるレベルになるとそれは「やるのが当たり前」でありそのうち「なんでやらないの?」という雰囲気になってもおかしくありません。

ビラという手段

何がいけない?と思う方も多いとは思うのですが、これもけっこう大きかったと思います。

昔から浦和ではゴール裏から指定席に「それが6万人の声か?」と煽ったり、スタジアムに来た人全員に見えるよう「赤き老若男女鼻息荒げろ!!」という弾幕を出したり、埼スタへの道中何枚もメッセージを書いたチラシを貼ったりと「スタジアム全員の力で勝たせよう!!」という働きかけは多く見られてきました。

最近は実際に指定席へ行って「立って選手を迎えよう」という声かけもしているようです(今年の参戦数のせいか行く時間なのか僕は直接目にしたことがない)。

これらに共通しているのが「不特定多数へのメッセージ」という点で、特定の人へ伝える際も今までは「声かけ」に留まっていて、「1人1人」「直接紙で」というのはかなりインパクトあったんじゃないかな?と感じ、いつもより燃える人も、拒絶する人も出たのかな?と。


③客観的に見た懸念

ゴール裏としてやりたいこと
受け取った側が何を不安に思ったか
を想像で書きましたが、次はもう少し広く見てこのチャレンジの難しそうなポイントを考えてみます。

それぞれの楽しみ方

ゴール裏は一言で言えば「チームの勝利のため全力を尽くす所」であり、逆に言えば他の席はそこだけに拘らない色々な楽しみ方ができる場所とも言えます。

選手の写真を撮る人も、お酒片手にゆっくり観る人も、また特別浦和のサポーターではないけど単純にサッカーが好きでそこに座る人もいるかもしれない。

指定席というのはその時間、その席を自分のものにできる(借りる)と捉えて問題ないでしょう。
仮に「入場時のスタンディング」が文化になった時、「それぞれの楽しみ」をしている人に(些細かもしれないが)我慢を強いることにならないだろうか?という不安があります。

実際に実現可能か

これはシンプルに「立てない人」「立っても見えない人」をどうするか?
に尽きるかなと。

気持ち的にみんなが「よしやろう!」となったとしても、身体の事情で立てない人や立っても見えない人(主に子供)は参加できないし、興行の一部(短いですが)を見せないということになってしまいます。

となると座席の組み方から変えるのか?
そうするとクラブが動かないといけない(張り紙の時点で把握はしているはずですが)。

ただ、逆に言えば実際にやるにあたっては障害が少ないチャレンジだと思います。

クラブの理想

ここが全く分からない(批判しているわけではなく)のですが、クラブとしてはどう思い、何が理想なんでしょうか?

スタジアム全体が(熱い応援という意味での)「サポーター」になるのが理想なんでしょうか?

ゴール裏に日本一(世界一)熱く勝利のために全力を尽くすサポーターが居て、指定席には直接声援は送らないが各々様々な楽しみ方をする人が居る。そんなスタジアムが理想なのか?

おそらくですが張り紙の件は内容含めクラブも把握しているはずなので、その辺ぜひ聞いてみたいです。


④個人的な想いとまとめ

ここまででも長々と書いてきましたが、今回の件凄い難しいんです。
何がそこまで難しくさせるのか?
そして今後どうするべきなのか?
という個人の考えとまとめを。

サポートの在り方

根幹というか前提としてスタジアムに来る「ファン、サポーター」は勝利を目指しています。
しかし、「勝ちたい」「勝たせたい」ではけっこうな違いがあります。

「勝たせたい」という意識が強いサポーターは、その場での選手の後押しを何より大事にします。
それがチャント、手拍子、跳ねになり、ビジュアルを含めた様々なサポートになります。

勝てば「頑張って良かった」
負けたら「何かが足りなかった」

そう考えるのが「勝たせたい」サポーターだと僕は思っています。

しかしそういう考えの人ばかりではありません。
グッズを買い、シーチケを買い、現地ではゆっくり観戦する。そういうサポートで「勝利」を願うサポーターもいます。
僕がいつも使う表現ですが

・全身を最新グッズで固め、ホームは自由席の何倍も高い席で毎試合観戦する人
・公式のグッズはあまり持ってないが、ホームアウェイ問わず毎試合ゴール裏で声を張り上げる人

どちらが大事なサポーターでしょうか?
どちらも大事です。欠かせない人たちです。

例は極端ですが、この意識の違いはけっこう大きく、「毎試合立って」と言われた時「そこまでする?」と思う人がいても不思議はないです。

ゴール裏からの働きかけ

なんかこう「できない理由」をつらつら書いてる…みたいになっていますがそういうわけでもなく、このゴール裏からの「やろうぜ」というメッセージはそれ自体がまさに浦和の文化と呼べるもので、ずっとずっと指定席に訴え続けてほしいと思います。

「スタンディングしようぜ!というビラを貼った」という点ではビジュアルの協力のお願いに近いものを感じました。
しかしその「お願い」の部分があまり伝わらなかったかなと。

試合当日、ビラの画像を見た時は「思い切ったことしたな」と正直思いましたが、時代が変わればやり方も変わる。行動した有志の方々が今回の件をどう捉えているか分かりませんが、この先どんな形を取るにせよ「やってやろうぜ」という趣旨のメッセージと、「協力して下さい」というお願いをぜひ続けて欲しい。必要なことだと思います。そして、その先にはまた新しい浦和サポーターがいるはずです。

まとめ

今回の件、個人的に1番残念だったのはメッセージを見た人の「これは反対!」という意見を嘲笑う人が一定数いたことです。

「強制ではない」
確かに「絶対立て」とは書いてないですが、周りが立ったら見えないし見たいなら立つしかないです。それに「文化」になったら「立つのが当たり前」になり、強制に近いと感じてもおかしくないです。

「ビジュアルとの違いは?」
ビッグマッチにやるビジュアルとは違います。仮に同じにするなら「あなたは今年1年間この赤いシートを毎試合掲げて下さい」と言われるようなもの。それこそやりたくないでしょう。あとビジュアルのお願いを紙で貼られたことはないはず。(多分)

等様々な意見がありました。
「なぜ反対?」と思うのは不思議じゃないですが、バカにする必要はありません。

今回ビラを貼って周ったこの「サポーター有志」の方々はすごいと思います。
新しいことをするって大事なことで、勇気のいること。しかも一席ずつテープで貼るのはおそらくビジュアルの準備(シートのセッティング)より大変だと思う。

一歩踏み込んだメッセージと手法ですが、基本的には「チームのために協力のお願い」。
Aさんがお願いをして
Bさんがそれを断って
Cさんが「なんでだよ!」
って言うのはちょっとおかしくないですか?

もしこの試みを応援していたとしても、逆効果になっちゃわないかな?と感じました。多分貼った人たちもそのいがみ合いは望んでないです。

個人的には「入場時のスタンディング」先日は実践したし、上手くいくといいなと思ってます。
僕もやはり「サポートには勝たせる力がある」と信じていますから。
でもその結果排除される人がいてはダメ。
無理なら無理でまた別の手段があるはず。


みんなの理想のスタジアム。
難しいですが共に進みましょう。

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