特別な男
当時33歳。徳島から浦和にやってきた時、僕はあまり彼を知らなかった。
ただ『リカルド監督のサッカーを熟知した人物』ということで納得できる獲得だった。
期限付き移籍での加入だったので徳島から『借りる』ようなイメージだったが、一見地味に見えるそのプレーの何気ない巧さに驚いた。
間合いや身体の使い方、対角のロングフィード。ボールを繋ぐ出口にも、攻撃の起点にもなった。
時には前線に飛び出す運動量もあって、「先発の岩尾が1番頑張ってるじゃん!」と他の選手に憤りを感じることもあった。
副キャプテンであったこともそうだけど、立ち振る舞いやインタビューでの受け答えを見ているととても知的で真面目。でもオフショットで破天荒にふざけたりしていた。
一言で言うとめちゃくちゃ魅力のある人。
「リカルドの片腕」というイメージだったけど、リカルド退任後に浦和に完全移籍。監督が変わっても重宝されたし、欠場したら「岩尾が居れば」復帰したら「やっぱり巧い…」とそう思わせる人だった。
34歳になる年に加入して複数年レギュラーとして活躍。
2000年以降、同じ条件で活躍した日本人選手は井原正巳くらいじゃなかろうか?次いで那須大亮の32歳か。(1年のみだけど西大伍も34歳だった。)
浦和の歴史上で見ても珍しい男は多分クラブにとっても特別な男で、このタイミングでの移籍は本人の言うとおりクラブの配慮で、言い換えれば『お返し』のようにも感じる。
「浦和でやれることは全てやった」男と
「いつまでも頼っていられない」クラブ
お互いに良い未来へ進むために、数年後この移籍が「正解だった」と言えるよう願う。
岩尾憲、ありがとう。
シーズン中の移籍はショックだし残念でしょうがない。でもやっぱり伝えたいのは感謝。
これからも長く長く活躍して下さい!!
あとがき
隠す意味もないから言うけど、これはゆうき氏の
こちらを読んで触発されたもの。
移籍ってのはどうしてもネガティブなイメージがつきもので、主力選手の国内移籍だとなかなか【ありがとう】という発信は見られない。
でもずっとチームを応援してしたサポーターからの【エール】のメッセージはとても良い。
以前犬飼が柏に行った時にだっく氏が書いた
これもとても良かった。
お二人に失礼かもしれないけど、どこかのメディアに所属したプロの記者、ライターではかけない記事ってあると思う。
普段こういうのを書かない人の文章も、もっともっと見たい。愛を伝えてほしい。クラブからの移籍発表のポストには愛のあるメッセージで溢れてたけど、それだけじゃ伝えきれない想い、ある人にはあるはず。
さて、2024年浦和の夏は慌ただしくなりそう。
とりあえず見守りろう。そしてサポートしよう。
ありがとうございました。