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室井慎次 生き続ける者

「室井慎次 敗れざる者」公開から1ヶ月で早くも後編であり完結編となる「室井慎次 生き続ける者」が公開された。

今作は「踊る大捜査線」でお馴染みの室井慎次が、警察を辞め故郷秋田に帰り犯罪の裏側で苦しむ家族と共に暮らす様子が描かれている。
詳しい内容については前編の方で書いているので割愛するとして、今作は前作で残された多くの謎を解明、そして伏線を回収していくのだろうと期待に胸を膨らませていた。

【ややネタバレ含む】

ここからは、本編の内容に少し触れながら書くので、1ミリも情報を入れたくない方はここでブラウザを閉じてスタバの新作でも飲みに行ってほしい。

前作は全体的に静かな装いで、肝心の事件に関しては謎ばかりだったので、今回は事件解決に向けて話がどう展開していくのか気になっていたが、正直ここに関してはかなりあっさり目だった。
そう、この作品は一貫して「静」なのだ。
そして、ミステリーやサスペンス要素もほぼ無く、どこまでも深くヒューマンドラマである。

もちろん本家のような「踊る」展開も全くと言っていいほど無い。

自分はそれに関して否定的では全く無かったから、今作ももちろん楽しめたし、家族とは、愛とは何かということを改めて考えさせられるストーリーに何度も顔面崩壊させながら泣いた。

しかし展開的には正直無理があるところが多いようにも感じた。

リクの父親はなんでいっつも徒歩やねん

とか

あんなかしこそうな犬が、外出されたくらいで逃げへんやろ

とか、ツッコミだせば色々あるし、さっきも触れたがとにかく事件に関して雑すぎるというか、まぁ確かにほんとの事件なんてそんなどんでん返しばっかりあるわけじゃないけど、さすがにストレートすぎるだろと。

あのド陽キャ新米警官が黒幕では…とか勝手に予想していた自分が恥ずかしい。

まぁそんなわけで、とにかくこの映画は始まりから終わりまで潔いほどに「室井慎次」なのだ。
そう思って観れば素晴らしい作品だと思うし、1本芯が通っている。


さて、ここからはこの映画の最も賛否を分けているであろうクライマックスからエンディングについて書いていくので、ここからはこれから観ようと思っている方は是非読まずに自分の目でネタバレなしで観て欲しい。

いいね?
めーーちゃくちゃ大ネタバレになるからね?
自己責任でお願いしますね?
いくよ?


【エンディングについて】※超ネタバレあり


では、まずはクライマックスの展開から。
大吹雪の中行方不明になった犬を探しに行く室井さん。
探しに行こうとする杏を引き止め、玄関で振り返り「風呂を沸かしといてくれ」と言い残し出ていく姿がもう完全に死亡フラグで嫌な予感しかしなかった。

室井さん死なないで!!というか、その展開はサブいからやめて!!!と願っている自分がいた。

しかし願い届かず室井さんはそのまま帰らぬ人となってしまう。
いや、厳密にはそういう演出がなされていただけで、実は生きていた説も捨て切っていないようにも思えた。

なぜなら
・捜索隊が発見されていた時は「心肺停止!」としか言われてなかったからそのあと蘇生した可能性あり
・室井さんが死んでたとしたら、子供たち明るすぎ
・しんじょうが組織改革の草案をお供えするのマジいみふ

だからだ。


まぁ、いずれにせよ「可能性を残している」可能性はあるなとは思った。
しかし個人的にはやっぱり最後は生きていて、みんなで仲良く暮らしましたとさ!がよかったかな。

タイトルでもある「生き続ける者」を表すかのように、エンディングでは村人や、関わった人達が室井さんの生前の行動により人生を好転していく様が描かれており、死してなお皆の心に室井さんが生き続けているというのがこの物語のオチになっている。

そしてそして、なんといっても最後のおまけ映像である。
こんなこと言っても後出しジャンケンでしかないけど、ほんとに思ってたから言うけど、僕は信じてたよ!!!!
マジで!!!!!!
ワンチャンあるんじゃないかなって思ってたよ!!

…はい、というわけで。
エンドロールのあと、空撮で室井さんの家が映し出され、なんとここで聞き慣れたBGMが。
そう、踊る大捜査線でお馴染みのC.Xである。
タッタカター、ツタッタカタカターという軽快なドラムから始まるあれだ。

そしてお馴染みのアーミーコートを揺らしながらあの男がついに登場する。


そう、青島俊作である。
元都知事と同じ名前の青島である。
本物である。
織田裕二である。
きたーーーーーーー!!!である。

そして、一言セリフがあって、「踊るはまだ続くー」みたいなニュアンスの文字が出て映画終了。

これにはさすがにどよめく会場も全国にはあったのでは?と思う。
僕は心の中で足をばたつかせていた。

しかし、それなら何故、青島主役の映画にしなかったのか。
まさか室井さんが死ぬことを条件に出てきたのか?
など、まことしやかに囁かれている噂を勘ぐって無粋なことを考えてしまった自分もいるが、青島登場の件に関しては素直に嬉しいし、もし今後踊る大捜査線の続編があるのなら楽しみすぎる。
たしかにキャストに関しては大幅に変更していく必要はあるだろうが、とにかく青島がいれば何とかなるとは思っている。


ということで、そんなファンへのサプライズもありながら幕を閉じた今回の2作品。
踊るの新作とは呼び難いが、これはこれでひとつの作品として素晴らしいと思うし、室井さんの人柄、そして犯罪の裏で苦しむその家族の苦悩、そんなワケあり人生の中でも力を合わせて愛し合って暮らす家族のあたたかさ。
ジャパニーズヒューマンドラマとしてすごく楽しめた作品だった。

そして、改めて室井さんのことが大好きになれた。
踊る大捜査線の新作にも期待していようと思う。


P.S.公開から1ヶ月も経たずして、公式から青島登場のネタバレがあり、なんなら青島と室井が並んで写っているポストカードを入場者特典として配布って…そりゃないよ運営さん!
こちとら誰かに言いたくて必死で我慢してたのに!!ずるぅうううう

室井慎次 生き続ける者
【★★★☆☆】3.5

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