十八の瞬間
「十八の瞬間」というドラマと出会った。このドラマは2019年の夏に韓国で放送され、現在は日本でも動画配信サービスなどで視聴できる。3ヵ月にわたって視聴してきたが、ようやく最終話まで見終わったので感想を共有したいと思う。
あらすじ
主な登場人物
ジュヌ(主人公)、スビン(クラスメイト)、サンフン(クラスメイト)、フィヨン(クラスメイト/学級委員長)、オジェ(クラスメイト)、ハンギョル(担任/英語教師)、ヨヌ(ジュヌの母親)、ムジャ(フィヨンの母親)、ユンギ(フィヨンの父親)、ソンヒ(スビンの母親)
僕が視聴してみて感じたこと
まず、このドラマには様々なテーマが存在していた。家庭問題、差別、偏見、貧困格差、LGBTQ+、SNS問題、ジェンダー問題、いじめ、暴力、未成年、家庭環境、恋愛、学校生活など社会的な問題が多く描かれその1つ1つの問題に対してどのように解決していくのかが物語を通して考えさせられるものだった。登場人物たちに感情移入しやすく、自分に置き換えて考えることもできる。実際に自分も経験してきたことだったりそれらの問題に悩まされたりしたことが多く挙げられているからこそ感慨深い作品だった。
印象に残ったシーン
物語の前半では権力による格差社会の問題が大きく描かれていた。特に2話と3話では、数学科のジェヨン先生の高級腕時計がなくなる事件が起きた際、転校してきたばかりのジュヌが犯人扱いされた。周りのクラスメイトはジュヌが前の学校で何か問題を起こしたことで転校してきたのだと思っていたので犯人扱いされやすくそれにより信じ込む生徒が多いのが印象的だった。いわゆる偏見がこの問題を生んだのだった。ジュヌを陥れようとしたのはクラストップの成績で親は会社の経営者という権力を握った家庭に育ったフィヨン。加えてフィヨンは学級委員長だったためにクラスメイトは彼に従い誰も逆らうことのできない空気があった。たとえ学級委員長であろうが転校生をいじめることなど容赦しない。これには見ていて不快だったし、ジュヌを救ってあげたくなった。
4話~6話も引き続きジュヌが悪者扱いされてしまう展開が続いていく。中にはオジェやサンフンのようにジュヌと食堂で昼食を取る生徒が出てきたり、またなんといってもスビンというジュヌにとって後に付き合うことになる存在ができたことが大きな転換点となる場面が魅力的だった。ただジュヌがかつて通っていた学校で親友だったジョンフが亡くなってしまった。これにはフィヨンが関わっていたのだが、フィヨンの両親は何事もなかったかのようにこの問題を権力で打ち消し物語が進んでいくことになる。
7話~11話では、親が子に行う暴力というものが大きくピックアップされていた。また人間関係や恋愛がテーマとなり助け合いが生まれてより友情や愛情が見られる場面が描かれていた。一方で、格差による問題もあり、ジュヌが高校生ながらアルバイトで生計を立てたりシングルマザーとしてジュヌの母親が一生懸命働く姿を見ても、学校で同じように学ぶ生徒とは異なった家庭環境におかれている状況が印象的だった。
12話~15話では、スビンとジュヌの恋愛が取り上げられながらクラスの雰囲気も少しずつ変化し始める展開が描かれた。フィヨンやフィヨンの両親が行ってきた成績改ざん、悪事の疑惑がSNSを通じて拡散され学校全体の問題となりようやく悪事が晴らされることになる場面が印象的だった。ただ貧困格差の問題や親の子どもへの過度な干渉からスビンとジュヌの関係も徐々に悪くなりなかなか思うように恋愛できない2人の心情が細かく描かれていたのは切なかった。
16話~最終話では、ジェンダー問題について取り上げられていた。ジュヌの親友であるオジェが同性愛者だったことがわかり盗み聞きしていた生徒がグループチャットに書き込んだことで拡散してしまい問題となった。これは近年増えていて実際にその場面に僕自身も遭遇したことがある。高校時代クラスLINEで嘘の情報が流されそれを信じ込んだ生徒によるいじめが起こった。僕は閲覧者という立場だったので何も知らない、関わっていないと思っていたが、ドラマを見ていると、被害者から見れば、同じクラスメイトである以上、自分以外は敵というか周りで観ているだけの傍観者も加害者になり得るものなんだなと考えさせられるものだった。
視聴して得られたもの
青春ドラマ、学園ドラマは割と見ていて楽しいというか友情や愛情などがテーマで、ハラハラ、ドキドキするような要素が多いような気がしていたが、今回視聴した「十八の瞬間」はより具体的な社会問題に着目されていたのでどちらかというとネガティブ要素が多かった。しかし、1人1人の生き方や多様な価値観を大切にしていくべきだと思えたし、それぞれの個性だったり育ってきた環境をふまえてみんなが支え合う、助け合える環境を作っていくべきだなと感じられた。