見出し画像

車椅子を押す

すっかり出不精になってしまった電動車椅子の母と、桜を見に行ってきました。満開の桜と、風が吹くたびにヒラヒラと舞う花弁。お天気もなんとか持ち堪えてくれました。

道中ちょっとした坂道などは母が1人で上手にスピード調整して行けるのですが、歩道が車道に向かって斜めになっているところなど、傾斜が強い箇所は私がハンドルに手を添えないと不安のようです。そして歩道を快速に走って来る自転車が来るたびに、怖い怖いとパニックになります。突然単車が、おそらく車庫に入れようとしたのでしょう、10メートル先ほど歩道に乗り入れてきたりしました。単車のおばちゃんは慣れたものでなんとも思っていないようです。しかし、母の方はとても怖い思いをしたようで、怖いっと悲鳴をあげ、そこでようやく向こうの方も、すまなそうに単車を降りました。

私1人なら眉を顰めて通り過ぎるところでしょう。しかし車椅子の目線からは単車が向かってくる様は、大きく、怖い思いをしたようです。車椅子を押してようやく、私もその目線の高さや気持ちに考え至ります。

帰り道、カフェで休憩をした後、車椅子を押しつつ出口のドアを開けようともたもたしていたら、外で遊んでいた小さな子供が2人、駆け寄ってドアを開けてくれました。子供は目線の高さが同じだから気持ちがわかるのかもしれない。車椅子の母は気づかないようでしたが、我々が見えなくなるまで、子供たちは何度もバイバイと手を振ってくれていました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?