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本当は先生とハイタッチしておきたいぐらいでした。

今日は月一回の児童精神科。

今日もぴぃは一緒に来てくれた。

病院の先生がいつものように聞く。

先生「ぴぃちゃん最近はどうですか??」

ぴぃ「最近はよくお散歩というか、行きたいとこ決めて歩いて行ってる。」

先生「えーそうなのー?」

ぴぃ「10,000歩は歩いてる。」

先生「暑いのに、すごいじゃん!!」

ぴぃ「昨日はご飯も作った。写真みる?」

先生「えーー!すごい!見たい見たい!」

ぴぃ「それと早寝早起きするようになった。」

先生「そうなんだ!起きてるんだ〜。」

ぴぃ「健康的に過ごせてる気がする。」

先生「いいね〜そうなんだね〜」

なんだか先生がすごく嬉しそうに聞いてくれてるようだ。

ぴぃもそれを感じてか、いつもよりちゃんと会話しようとしてる。


ぴぃと先生の会話がひと段落した頃、「お母さんは何かありますか?」と聞かれた。

ぴぃから伝えるかと思ったのに、言わないからどうしようかと思ったけど、これだけは言っておきたい、いや、聞いてほしいことがあった。

私「ぴぃ、修学旅行に行ったんです。あ・・・私もですけど。」

それまで、ぴぃとの会話を楽しみながらカタカタとキーボードを打ち込んでいた先生の手がピタッと止まり、目を大きく開いて私とぴぃを交互に見ている。

マスクで表情の全部まではわからなかったけど、すごく驚いているようだった。

先生「行ったんですか??行ったの?ぴぃちゃん。」

ぴぃ「うん、直前まで悩んだけど、行きたかったから。ママとは行き帰りぐらいで、ほとんどお友達と過ごしたよ。」

先生「そっかー!!行ったんだー!どうだったの?感想聞かせて?」

ぴぃ「すごく楽しかった。ホテルでお友達と過ごしたことが楽しかった。お泊まりとか初めてだったから。」

先生「楽しかったんだね、よかったね・・・・・」

先生はそこまで言って、何も言わずに私を見つめていた。

たぶんぴぃの前では言えないから、目で訴えかけてくれてたと思う。

『お母さん、よかったね・・・』って。

そんな優しい目だった。


月に一回の診察を約2年。

うち一年は私1人で通った。

先生は優しい時とそうでない時の差が激しくて、正直1人でくるのが怖かった。

でもそれは私の心の調子が写し出した虚像だったのかな、と思うくらい、

今日の先生の優しい目を見て、これまでの2年が報われた気がした。

先生は前回、ぴぃに向かって「無理せず」、私に向かって「欲張らず」と言っていた。

これは初めて先生が私に教えてくれた親としてできることだった。

私はずっと心の中で「欲張らず」と称えるように過ごした。

ぴぃが修学旅行に行って、楽しい思い出を作れたこと。

これはそんな自分へのご褒美として受け止めていいのかもしれない。

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