不登校娘は本来、目立ちたがり屋です。
「本当のぴぃは目立ちたがり屋だから・・・」
なんでもない会話の中で、ふとぴぃが言った。
なんとなく封印していた小学校3年生までのぴぃを、久しぶりに思い起こしてみる。
私の中で小学校3年生までのぴぃは、とにかくキラキラしていた。
1年生、2年生、3年生と担任の先生が変わったが、各担任にも「ぴぃさん、いつもキラキラしていますね。」と言われるくらいだった。
実行委員には必ず立候補して、クラス活動、班活動も意欲的なぴぃは、先生にとっても、いわゆる1人いると助かる子だった。
その期待と信頼が、ぴぃにとってはたまらなく嬉しかったようだ。
そこへきて、急に襲ってきた「死の恐怖」との戦い。
具体的に何がきっかけかはわからない、ただ、若干9歳だったぴぃにとって理解し得ない「死」という恐怖。
何ごともそうだけど、分からないから怖い、分からないから不安なのだ。
「ま、いっか」という領域に連れてってくれないのが、いわゆる強迫性障害という病気なんだと思う。
4年生の時は、その訳のわからない病気にだんだんと生活を支配され、学校生活を送れなくなってしまう。
なんとか症状が落ち着き、「5年生からはちゃんと学校へ行きたい」と意気込んで始まった5年生の春、クラス委員に立候補する。
さらには、生徒会の副会長にまで立候補し、候補者5名の中でプレゼンが一番よかったとのことで、その座まで手に入れた。
だが、委員会には一度も出席することなく、その座は空席のままとなる。
その年の夏から約1年間の完全不登校・・・
6年生になり、ひょんなきっかけで1年ぶりに登校した日、音楽祭の実行委員に立候補したと言って帰ってきた。
だがそれも、委員会に一度も出席することなく、音楽祭は終わった。
ぴぃが頑張ろうとすれば、他の誰かにしわ寄せがいく。
頑張りたいぴぃに、頑張るなとは言えず、私自身がモヤモヤしてしまうこともあった。
ぴぃが、やりたい、頑張りたいと思って、結局できなかったことをどう捉えているんだろうと、考えることもあったがそれも聞けなかった。
できないを数えることだけはしたくなかったから。
たくさんの月日を経て、ぴぃは成長し、多くの不安をコントロールするようになった。
またしても心新たに始めた中学1年生では、学力不足という大きな壁にぶち当たり、やりたがっている場合じゃないとたくさんのことを諦め、夏を待たずに力尽きる。
そして、自分と向き合い、もがきながら、学校以外の居場所を見つけたり、第三者の大人とも出会い、2年生までの間に再び五月雨登校まで回復する。
さて現在、中学2年生になったぴぃさん。
学力不足は相変わらずだけど、ゆっくりペースの五月雨登校は夏休みまで続いていた。
そしてつい先日、冒頭にあった言葉を言ったのだ。
ぴぃ「本当のぴぃは目立ちたがり屋だから、みんなの前に出て何かをするのが大好きなんだよね。
本当はね、今も、体育祭の応援団や、実行委員とかみんなの前に立ってやる係はたくさんやりたくなるの。
でも我慢してやらないようにしてる。
もう他の人に迷惑かけるわけにはいかないし。
ただ・・・他の形で目立とうと思って・・・
自分の得意なことで目立ってやろうと思ってるの。」
おぅ娘よ・・・(T ^ T)
中学2年生になってから、担任の先生のおかげで、ぴぃが得意としている絵を描くチャンスをたくさん与えてもらっている。
☆図書委員のポスター
クラス毎に描いて教室に貼るためのものであったが、図書委員の先生にとても気に入ってもらい、校内各所に貼り出してもらった。
☆校外学習のしおりの表紙絵
見事オーディションで選ばれ、立派に表紙を飾らせてもたった。
☆夏休みのしおりの表紙絵
一度表紙を飾ったということで、裏表紙に印刷してもらった。
☆体育祭のクラス毎ののぼりデザイン
クラス全員がデザイン案を出し合い、話し合いの末、ぴぃのアイデアを基に肉付けすることになった。
☆音楽祭用のポスター
夏休みの間、去年も担当した友達とペアで制作することになった。
夏休みに入ってからすぐに、のぼり制作をするために任意で1週間の登校日が設けられた。
滞在は2時間半程度だが、今のところぴぃはいつぶりかの毎日登校をしている。
自分のデザインが基となっている以上、人任せにできないという責任感を持っているように見えた。
だがそこに、プレッシャーやストレスは感じていないようだ。
クラス全員ではなく、数人のクラスメイトと、役割分担と助け合いでのぼりを制作しているらしい。
ぴぃ「はぁ、授業がない学校だと行くのが楽しみだよ。ぴぃが目立てるところはここしかないからね。目立ってくるわ。」
そう言って、誇らしげに登校しているのだ。
娘よ・・・
かっこよすぎるでしょ・・・
本来は目立ちたがり屋のぴぃ。
長い時間をかけて自分と向き合い、他の目立ち方の方法を見つけた。
今までは思っていることの半分もできないと落ち込み、嘆き、後ろ向きになっていくぴぃを何度も見た。
不登校の間に、得意分野の腕を磨き、自分なりにできる別の選択肢を見つけるというスキルも身につけた。
成長ってこうやってするもんなんだな。
娘よ・・・キラキラして見えるよ。
さぁ、どんどん目立ってくれ。