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第0章#11_熱狂の2日間「D.I.Yフェス!」 デイサービスを地域のみんなでつくる。
“無謀”とか“無茶”とか。そういうワードは不思議に人を駆り立てる魔力があります。元バレー部強靭メンタルを持つガスパッチョ隊長&ローリエ女史には大好物の部類!?ただ「楽しそうな場」に人はつい巻き込まれたくなるもの。今回のnoteは、2日間で延べ136人のボランティアを集め熱狂した「伝説のフェス」のおはなし。
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トヨタ・ガールズ!?
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100人の参加をよびかける渾身のフライヤー。
(デザイン:リトルクリエイティブセンター)
ガスパッチョ隊長
――今回は、「デイサービス スマイリング上郷店」のおはなしです。こちらの建物、もともと病院が母体のデイサービスだったんですよね。ある時、銀行経由で僕にコンサル依頼が来たんですが、話していくうちに「スマイリングさんで引き継いでくれませんか?」となっちゃいまして・・・。安易に引き受けました(笑)。
ローリエ女史
――私に相談がくる段階では、やると決めちゃってますからね(笑)。
隊長
――めっちゃ嫌な顔されたのを覚えていますけど(笑)。2019年初夏には、運営をスタートさせました。とはいえ、建物の内装はいかにも「病院っぽい」ものだったので、もっとスマイリングらしくしたいと思ってました。それに、一般から見たら、介護施設は閉鎖的でよくわからないのが本音ですよね。デザインスクールでいろんな刺激を受けた後だったし、もっと地域に開かれた場所にして、いろんな世代の人たちに愛着を持ってもらうにはどうしたらいいんだろう?と、思考をめぐらせていました。
ローリエ女史
――それで「デイサービスを地域のみんなに作ってもらおう」、という話になったんでしたね。デザインスクールの展覧会『おいおい老い』展で、関西ブロックのチームが「オシャレ福祉」(=介護・福祉の現場や職員がカッコよくオシャレになることで、業界のイメージアップを図り、楽しく快適に働くことを目指す)というアイデアで展示をしていたことを思い出して・・・彼らに相談してみるのもありだね~って。
POTさん
――当時の僕は、デザインスクールが終わった後も、ガスパッチョ隊長やローリエ女史に伴走していました。隊長は、建物の中に「地域交流室」をつくりたいとおっしゃいました。デイサービスが終わった夜帯や土日に、施設を開放していろんな人に使ってもらいたい、イベントやワークショップなどを通してこの場所を地域との入り口になる場所にしたい、と。ただ、予算的に大掛かりなリノベはできないので、キッチン、デイスペース、運動スペース、キッズスペース、エントランスに絞って、生まれ変わらせてほしい、というお話でした。そんなおふたりの思いを実現するため、デザインスクールメンバーで店舗デザインを得意とするサヴァさんが関わってくれました。大阪の方ですが、デザインスクールからのご縁をオモシロがってくださり、さっそく上郷店の視察に来てくださいました。
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右は安城市の木工作家モクレンさん
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サヴァさんから段取りの説明がありますよ。
今回は、POTさんやサヴァさんががっつり関わっているんですね。地域のみんなでリノベする、というのが面白さではありますが、相当な事前計画が必要そうです。どのように進めていったのでしょう?
隊長
――上郷店はすでにデイサービスとして稼働しているので、リノベに使える日程としては、どこかの土・日(2日間)に集中するしかありません。次の月曜日には、何事もなかったかのように営業する、という鬼のようなスケジュールが前提条件でした。
POTさん
――2日でデイサービスの内装を仕上げるって、鬼ですよね(笑)。でも、そのことをポジティブにとらえ直し、「2日間限定のDIYフェス」というイベントにすることに。参加したくなるこのフライヤーデザインも、デザインスクールでご縁ができた岐阜市のデザイナーさんたちが仕上げてくれました。
隊長
――スマイリング創立以来、自分たちで何でも手作りでやってきたのですが、デザインスクールをきっかけに外部のプロフェッショナルの方々が我々の思いをさらに引き出してくれたり、見える化してくれたり、地域を巻き込むアドバイスをくださって、より大きな視点を持つことができたように感じています。
POTさん
――「D.I.Yフェス」は、地域交流室をつくりたいというガスパッチョ隊長たちの想いを受けて、地域の人たちや、職員の家族に参加してもらうことを大きな目標にしました。ですから、子どもも参加できるよう、危険な作業を省くことにしました。例えば、「木材を切る」という作業には、どうしても機械の工具が必要になります。そこで今回は、4つの工程「塗る・貼る・組み立てる・磨く」を作業のベースにしました。また、2日間で完成させることもマストです。そこで、事前にサヴァさんの方でテーブルや棚などの設計デザインをし、デジタルファブリケーションを使って加工を済ませてもらいました。現場には、プラモデルのキットみたいな木材が大量に届きます。これもワクワクする要因のひとつだったかもしれません。
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これを、塗ったり、貼ったり、組み立てたり、磨いたり。
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こんな姿を見たら、大切に使いたくなります。
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塗るのって、想像以上に時間がかかります。
あるママさんは、寝てしまった子どもを背負いながらも
楽しく参加してくれました
隊長
――いま、POTさんが「誰もが安全にできる」という視点で説明してくれたのですが、クオリティまで落としたわけじゃないんです。僕らは、最強の技術集団に支えられていることを特筆させてください!!というのも、ここは愛知県豊田市。TOYOTAで働く人、働いてきた人がたくさん暮らす町です。今はリタイアしているけど、昔はバリバリの技術者で「トヨタ技能五輪」にも出場経験のある70代前後の頼もしい男性たちを中心に、ものづくりが好きなおじちゃんがリーダーとなって現場でチームをまとめる、という考えを軸に据えました。うちのお父ちゃんもその一人!
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元「トヨタ技能五輪」の匠たち(中央の5名)と打ち合わせをして、
作業分担やスケジュールを決めていきました。
ローリエ
――「トヨタ技能五輪」の精度でDIYする!!
POTさん
――0.01mmの精度で勝負してきた方たちですからね。ある少年が、トヨタ技能五輪のおじちゃんに弟子入りするといって、ずっといっしょに作業している姿は微笑ましかったです。そして、参加者の子どもたちに塗装やタイル貼りなどを指導してもらおうと思ったんですが、つい自分が先に動いてしまうところも微笑ましかったです(笑)。
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どんな学びがあったかな。
隊長
――当日の朝も、9時からスタートだったんですが、おじちゃんたち、8時ぐらいから現場に来て、勝手に始めてましたもんね(笑)。ただ、クオリティは半端ない。流石でした。
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おじちゃんリーダーの説明からスタート!
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あとは自分たちでどんどん進めていきます
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ちゃんとスペースに入るかな・・・?!
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記念に自分もすっぽり!!
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親子で作戦会議。
POTさん
――そういえば、事前打ち合わせで、サヴァさんがVRを持ってきて、技能五輪チームに空間の完成イメージを説明したんですけど、それがおじちゃんたちの技術者魂に火を付けてしまったようで(笑)。後日、自分が担当するエリアの仕切り部分のモデリングを作ってきてくれたんです。これには驚きました。さらに、当日現場に行ったら、材料が青く塗られている・・・!全体デザインからすると、ちょっと浮いているかな~と最初は思ったんですが、それ以上に、こんなに本気で向き合ってくれていることが嬉しくて。地域の人たちを巻き込みながらひとつのことをやる場合、デザインにはそれぐらいの包容力があった方がいいなと改めて気づかされました。
隊長
――愛着、ってひとつひとつの行動や思い出の先に生まれていくんでしょうね。
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既にトヨタの技術者時代の表情が戻ってきています。
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運動ルームとのレッドコードとの相性も◎!
外には、美味しそうな屋台も!? これもまた皆さんで?
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ユニフォームまで完璧です。
ローリエ
――フェスなんだから、飲食ブースもあるといいよね~となりまして(笑)。参加者全員ボランティアで来ていただくわけですからお昼ぐらいはふるまいたいし。で、ここに登場するのが、うちのベテラン職員カモミールちゃんと親戚一同様。通称、カモミール組です(笑)。噂には聞いていたんです。カモミールちゃんの親戚一同がお祭り大好きで、大判焼きやたこ焼き、焼きそば、ポップコーンなどガチの屋台機材を持ってると。それで、出動をお願いしたんです。
隊長
――友人のかき氷屋さんが来てくれて、かき氷とコーヒーもふるまってくれました。友人・知人がそれぞれに出来ることを持ち寄ってくれたのが、嬉しかったです。ローリエちゃんも、僕も、2日間を終えてヘロヘロになったよね。立っているのもしんどいぐらい。想像以上の人が集まり、熱気がすごかったし、気疲れもあったのかな。
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かき氷がうまっ!!
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DIYの絵の具によるものか?
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親子の思い出づくりにも。
ローリエ
――終わった後、さみしかったですよね。「D.I.Yフェス」ロス・・・。
POTさん
――介護事業者がリノベーションする場合、地元の施工業者さんに頼むことが多いんですが、今回みたいにアマチュアが集まって、愛着のある場をつくりあげていくチャレンジは素晴らしいと思います。サヴァさんが、まず、設計デザインをしてくれて、それに基づいて、元トヨタ技術五輪のおじちゃんチームが立ち上がる。そこに、子どもや地元の人たちが加わる。アマチュアとプロが混ざりながら、スマイリングさんらしい空間が生まれましたよね。僕も、デザインスクールからの流れで関わることができて嬉しかったです。
隊長
――2日間で延べ136人の方にDIYしてもらう、という大盛況な状態で終えることができました。みんなの思い出や、こだわり、いろんな思いを感じられる場所になったことを誇りに思います。高齢者も若者もこうやって混ざり合って、暮らしの場をつくることを、僕たちはスープタウンでもやっていきたいんだなあ、と改めて思い返しています。それにしても、「D.I.Yフェス」、いい写真がいっぱいだなあ。
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キッチンの入口もオーニングでかわいく。
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とってもかわいくなってる!!!☆
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エントランスも、プレカット技術を駆使すれば
ほら、この通り。
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だからこそ、かけがえのない時間が生まれるね。
巻き込まれたり、巻き込んだりしながら。ガスパッチョ隊長とローリエ女史の率いるスマイリング、という磁場のチカラが、時を経て、さらに強くなってきた気がします。
次回は、「障がい者のはたらく場をつくる」。久遠チョコレート&キッチンラボのおはなし。