こんな本を読む①ー『THE GHOST WRITER』PHILIP ROTH

海外文学を原文で読める人はかっこいい。スターバックスで珈琲を脇に置きながら、MACをカタカタさせてる人よりもかっこいい(あいつら何やってるんだ?ツイッターか?)、と思う。しかし、どの本を読めばいいのだろう。どの本が、比較的長続きするだろう。そんなことを考えていたら、一年が経っていた。

案その1「日本人作家の英訳小説を読む」

矢張りここに落ち着くのが一番平和なのではないかと何度も思った。ハルキ・ムラカミなんか台湾に行ったとき、嫌というほど見かけた。恐らく英訳は沢山されているに違いない。あとはヤスナリ・カワバタとか、ユキオ・ミシマとか。いや、そもそも海外文学じゃないか……。それに逃げている感じがしてなんだか格好悪い。カフェでYASUNARI KAWABATAと表紙にでかでかと書かれた本を広げられるだろうか?どう考えても恥ずかしい。傍から見ると、「アイツ何がしたいんだ?」と思えてくるだろう。そうなったらもうブックカバーをするしかない。日本に居ながら日本人が日本人作家の英訳小説を堂々と読むことは出来ない。日陰者のすることである。

案その2「児童文学から初めてみる」

ハ、ハリーポッターとかだろうか?一応は考えてみた。だけど、屈辱的だ。そもそもレジに持っていけない。もしもハリーポッターを買うとしたら、いかにも文学好きですという本でサンドイッチしなければならない。例えば、ナボコフ。ナボコフ/ハリーポッター/ハリーポッターならば、なんとか大丈夫であろう。なんといっても2対1。もしかしたらこいつ、ハリーポッターがお目当てか?と店員に疑われかねないが、そこはどうにでもなると踏んでいる。しかし、ナボコフだって安くはない。故にこちらの案も断念することに。

案その3「好きな作家の未訳作品にチャレンジしてみる」

これは一見いい考えのように思われるが、かなり上級者向けである。中学時代、illness(病気)を「イルネス」という人名だと思って揚々と訳した我が英語力を侮ってはいけない。答え合わせができる本(既に訳文がでているもの)である必要がある。A.M.ホームズ、大層読みたかったのだけれど。

案その4「既に日本語訳が出ている、好きな作家の出来るだけ短い作品を選ぶ(おまけに本の値段も安い)」

これだ。これ以外考えられない。既に読んだことのある作品は避けるとして……問題は誰を選ぶかだ。聞くところによると、ブコウスキーは意外とスラングを使わない、比較的綺麗な英文を書くらしい。スラングというのは集団に身を置いているものが使うもので、孤独を選択した彼が好んで使うものではないのだとか。……だからと言って、ブコウスキーを選ぶわけではない。

結果的に、フィリップ・ロスの『ゴースト・ライター』を選んだ。全180頁!まずまずの長さだと思う。この小説を、これから約1年かけて、ちまちまと読んでいく。取り敢えずは、noteにそのことを宣言して、自分の首を絞めておくことにする。

text by K.M.