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102. 内科救急のオキテ

ミュージカル好き救急医の独白 vol.102
- The Monologue of a Musical-Loving Emergency Physician -

はじめに

今回も, 夏休み期間なので簡単に自著の紹介をさせていただきます.
『救急外来ただいま診断中』を出版したことによって, 執筆の機会が徐々に増えていきました. いまでは毎日原稿に追われながらも, 書くことで自身の知識を整理し, 弱点を知ることができるため, 今のところ断ることなく貴重な機会と考えコツコツ夜な夜な, いや早朝に書いています.
今日は2冊目の単著, 『内科救急のオキテ』をご紹介.

①救急外来ただいま診断中(中外医学社, 2015)
https://www.amazon.co.jp/dp/4498066820/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_LOPoFbDRVFKKK
②内科救急のオキテ(医学書院, 2017)
https://www.amazon.co.jp/dp/426003197X/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_uQPoFb14ED17Y
③あたりまえのことをあたりまえに救急外来診療の原則集(シーニュ, 2017)
https://www.amazon.co.jp/dp/4990950518/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_bQPoFbR6N5R3H
④...


今回のミュージカル

THE MUSICAL CONCERT at IMPERIAL THEATRE(2020.8.14〜25)
Program Aは昨日終了し, 明日からはProgram Bがスタートします. 観ることができるか…それだけが心配ですが, どうしても観たい, なぜなら今年観ることができなかったあの人のあのナンバーを聴くことができるのではと思うからです.
Program Bのキャストは, Program Aにも出演していた朝夏まなとさん, 加藤和樹さん, 瀬奈じゅんさん, 田代万里生さん, 花總まりさん, そしてBのみ登場の海宝直人さん, 笹本玲奈さん, 涼風真世さん, 中川晃教さん, 平原綾香さん, 福井晶一さん, 藤岡正明さん, そして山崎育三郎さん(MC)です.
楽しみなナンバーは多々ありますが, Program Aはとにかくトート(エリザベート)がたぁくさん出演していたのですが, Program Bでは, 東宝版エリザベートでトートを演じた経験がある人が…, いないのです. 演じる予定だった方はいますけどね. そうです, いっくん(山崎育三郎さん)ですね. Program Aで選曲された, エリザベートからのナンバー, 「私が踊るとき」を花總さんや涼風さんと, 「闇が広がる」を田代万里生さんと歌ってくれるのではと期待しています. あとは, アッキー(中川晃教さん)がいますからモーツァルトのナンバーをいっくんと一緒になんてのがあったら最高ですねぇ. くぅ〜観られるのか...

内科救急のオキテ

私の第2弾の本です. 主に内科当直をする際に身につけておくべき基本的事項を15の症例をベースにまとめています.
内科医の先生が内科の専門であろうと, 病院で当直する際には, 内科当直医として様々な主訴の患者さんの救急対応をすることが多いのが現状です. 消化器内科だから腹痛や吐血の患者さんのみを診ればよいかといえばそうではなく, 胸痛や頭痛の患者さんの初療も行う必要が多々あります.

帰してはいけない患者を見逃さないための5つのポイント
①よく出合う疾患は非典型的症状も理解しよう! ― Common is common !
②バイタルサインを正しく解釈しよう! ― 火のない所に煙は立たぬ
③検査の選択は適切に! ―「検査の 3 種の神器+1」を極めよう
④重症度を正しく評価しよう! ― 診るべきポイントを誤らない
⑤原因検索を怠るな! ― 臭いものに蓋をするべからず


One Day More

『内科救急のオキテ』の序文を最後に載せておきます. 序文に引用したミュージカルは, 私が最も劇場に足を運んでいるレ・ミゼラブルです.

「今日も一日を生き延びた 終わることなき罪よ 男たちはまた俺を追いかける 明日も〜♪」
2017年に日本初演30周年を迎えたミュージカル「レ・ミゼラブル;Les Miserables(原作:ヴィクトル・ユゴー, 音楽:クロード=ミッシェル・シェーンベルク)」の1幕の最後に流れる代表的なナンバー「One Day More」の冒頭の歌詞です. ジャン・バルジャンを皮切りに, ジャベール, マリウス, コゼット, エポニーヌ, アンジョルラスや学生たちが明日に思いを馳せる歌であり, 最もパワーがあり二幕に向けて会場のボルテージは最高潮となります.

当直明けの朝, 私は毎回このジャン・バルジャンの台詞, 「今日も一日を生き延びた」と似たような気持ちになります. 夜間に多数訪れる救急患者や院内の急変患者を同僚, 研修医と共に対応した後は, いつもこんな感じなのです. 経験を積むにつれて自信をもって対応できることは増えましたが, いまだに原因がわからず頭を悩ますことも少なくありません. また, なんとか救命できたものの挿管困難であった症例や, 予想とは異なる経過を辿った症例を経験し冷や汗をかくこともあるのです. そしてまた当直の日を迎え, びくびくしながら当直にのぞみます. この繰り返しです.

「救急」と聞くと, ドラマ「救命病棟24時」や「コードブルー」のような救命救急センター(3次救急)のイメージが強いかもしれませんが, 多くの救急患者は意識障害や腹痛などの2次ないし1次救急の患者であり, それらの原因の多くが内科疾患です. 頭部打撲など外傷を理由に受診した患者においても, 原因が内科疾患であることは珍しくありません. 将来何科に進もうとも多くの場合当直を避けることはできず, 原因として多い内科疾患の救急対応は誰もが身につけておく必要があります. 本書はそんな内科疾患の対応をいかにして行うべきかを私なりにまとめたものです. 「内科救急のオキテ」と偉そうなタイトルをつけてはいますが, 私もまだまだ救急外来対応を勉強中であり, あくまで現段階での自分なりのオキテです. みなさんなりのオキテを追記し自身の内科救急患者へのアプローチを確立していただければ幸いです.

レ・ミゼラブルは「戦う者の歌が聴こえるか? 鼓動があのドラムと響き合えば 新たに熱い生命(いのち)が始まる 明日が来た時 そうさ明日が!」(The People’s Song : Do You Hear The People Sing ? ”民衆の歌”)を出演者全員で歌い幕を閉じます. 本書を読み, 明日からの診療に対して少しでも自信を持って, 仲間と共に熱い気持ちで臨むことを願っています.

さいごに, 〜

♪闇が広がる 今こそ立ち上がるとき
 沈む世界を 救うのはお前だ
 闇が広がる
 皇帝ルドルフは立ち上がる♬
『闇が広がる』

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