心不全のモヤモヤ④(2024年5月)
現場のモヤモヤに答えます
どんなに知識や技術の習得に励んでいても、日常臨床では「あれ、こんなときどうしたらいい……?」と立ち止まることがきっとあるはず。コモンな疾患・症状を取り上げ、気鋭の臨床医監修のもと、現場のお悩み解消に向けたヒントをご提供します。
今回のテーマ
5月のテーマは『心不全』です。高齢化に伴い増加している心不全について、皆さんが臨床現場で抱えるモヤモヤを水野先生監修のもとお答えします。第3回目は高齢者の浮腫に関して、官澤先生から実践的な内容をわかりやすく解説していただきました。今回は施設で慢性心不全を管理する際のポイントなど、まさに現場でモヤモヤする内容を矢吹先生に解説していただいています。
心不全その④:選択肢の限られる施設での心不全管理、増悪させないコツは?
89歳女性。高血圧症と心房細動の既往があり、3週間前に急性心不全で入院。薬剤調整を行って、自宅退院となった。退院後、もともと入所予定だった施設に入所。過去に2回、心不全での入院歴がある。入所時、自覚症状はなく、体重は42kg(退院時 41kg)。バイタルサインなどは以下の通り。
バイタルサイン:血圧122/67mmHg、脈拍数62回/分(不整)、SpO2 96%(室内気)
身体所見:外頸静脈拡張なし、呼吸音は正常肺胞音、心音では第2肋間胸骨右縁(2RSB)を最強点とする収縮期雑音聴取、両側下腿足背にわずかに浮腫を認める
既往歴:高血圧症、心房細動、慢性心不全(左室駆出率[LVEF]40%未満の心不全[heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF])
※脳梗塞および心筋梗塞の既往はない
服薬歴:エドキサバン(15mg)1回1錠・1日1回、エナラプリル(10mg)1回1錠・1日1回、カルベジロール(10mg)1回1錠・1日1回、フロセミド(20mg)1回1錠・1日1回、アトルバスタチン(10mg)1回1錠・1日1回
アレルギー歴:特記事項なし
嗜好品:飲酒、喫煙ともになし
社会生活背景:要介護3、ADLは施設内では安定、認知症はあるものの通常のコミュニケーションは可能
今回も下腿に浮腫を認め、心不全の既往のある患者です。さて、どのように対応するべきでしょうか?
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/moyamoya/202405/584281.html
もやもや募集中
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https://support.nikkeibp.co.jp/app/ask_1001/p/376/
【今後のラインナップ(予定)】
6月:急性上気道炎(編集幹事:髙橋宏瑞)
7月:関節リウマチ(編集幹事:陶山恭博)
8月:てんかん(編集幹事:音成秀一郎)
9月:婦人科疾患(編集幹事:柴田綾子)
10月:急性冠症候群(編集幹事:坂本壮)
11月:脳梗塞(編集幹事:山本大介)
12月:二次性高血圧(編集幹事:水野篤)
2025年1月:圧迫骨折(編集幹事:和足孝之)
2025年2月:不定愁訴(編集幹事:髙橋宏瑞)
2025年3月:心房細動(編集幹事:水野篤)
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