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怪獣さん / 大橋ちよ【創作大賞感想】

創作大賞にエントリーされてる小説『怪獣さん(大橋ちよ著)』を読ませていただいたので、今日はその感想文です。

思考のステージを上げろ

本を選ぶ時、また、読み始める前は、タイトルや目次・あらすじなどから、どんな話だろうと一度考えてみます。

この度も、1話のサブタイトル『怪獣さんのお世話係』から、ペットのように飼い慣らされた小さく可愛らしい怪獣の世話をしてる人達のお話しを想像したのですが、あらすじの時点で違ってました。

巨大な怪獣
食用となる肉片を切り落とす

巨大で、しかも
肉を削ぎ落として食べるのか!

想像のはるか上を行ってたので、養鶏や畜産のように怪獣を飼育してる人達のお話、まで思考のステージを引き上げ、読み進めてると、

どんなに切り刻んでも死なない

死なないのか、この怪獣は!

実は、恋愛小説という前フリを頂いてたので、頂いてる命の尊さをテーマにしたお話かと考えたのですが、またまた想像の上をいかれましたw
完全に手のひらの上で転がされてるw

SFって極端な言い方をすればなので、嘘とわかった上でハマれるかどうかが、面白さのカギだと思います。
ぜひ、思考のステージをぐっと引き上げて読んでみて下さい。

愛は有限

ここでよく知られた歌詞をご紹介したい。

愛はきっと
奪うでも与えるものでもなくて
気がつけばそこにあるもの

ミスター・チルドレン / 名もなき詩 より抜粋

グッとくる歌詞だ。共感できる。ただし、
なんとなく毎日を過ごしてて気づけば横にあったわ!
ということではないと思います。
ポイントは気づける自分であるかどうか。

飼育係は、命を落とす危険をはらんだ仕事。
その時は、任期の間訪れないかもしれないし、明日かもしれない。
そういう心構えではいたものの、突然の想定を超えた事態に直面し、彼らは初めて自分の命にも仲間の命にも限りがあることを実感し、自分の気持に気づき素直になれた。

怪獣さんのように死なないなら好きなだけ先延ばしすればいいけど、人の時間は有限。
人生80年、長くてもせいぜい100年。
しかも、一日一日残り時間は減る一方。

出来ない理由を環境や立場のせいにしたり、傷つきたくないがために何も行動を起こさず、時間を食いつぶしてるくらいなら、残された時間で、自分は何をやりたいのか、どうなっていたいのか、愛する人とどのように過ごしたいのか、考えて行動してる方が、実になるんじゃない。

この作品からこんなメッセージを感じました。
私事ですが、昨年から作曲を本格始動したのも、このnoteも終活の一環というのもあって共感できる部分が多く、楽しく読ませて頂きました。
ありがとうございます。

P.S.怪獣さんは、時間を食いつぶしてきた人のメタファーとか、読みすぎかな?

ではまた、enjoy!

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