無料の防音相談の留意点
最近、また無料の防音相談の要望が増えてきました。これは、世の中の景気がよくない、専門業者そのものが信用されていないなど、色々な要因があると思います。
一生の買い物を無料の防音相談に委ねるというアクションは、かなりリスクがあります。
それは相談者にも、私自身にもあります。
現時点で、私は、これ以上、無料相談を増やして情報収集を頑張る必要性は殆どありません。
*8年前くらいまでは、国立駅南口の知人の喫茶店の予約席で無料相談をお受けすることもありましたが、現在は契約案件を中心とした打合せのみ仕事場(自宅マンション)でやっています。
年齢的にも体力の限界があるため、最近はデスクワークの作業時間さえも減らしています。
基本的に、木造住宅・音楽室の無料相談は、ほとんど趣味でやっています。
マンションの無料相談は、空いている時間があれば、問合せの文面を見て判断しています。こちらの返信に対するご返事を見てから考えます。
また、防音職人では、ブログを中心に木造住宅やマンション案件の情報を発信していますので、これらの投稿記事に関する問合せには、出来る限りメールで回答しています。無料相談サービスとして考えています。
マンションの無料相談
マンションの生活防音は、木造に比べてブラックボックスのような見えない部分が多く、防音工事の実現可能性を判断する事自体が難しく、現場担当の提携先の建築士が現場調査をしないと対策の方針すら見えません。
概算見積も、提案書を作成してから、建築士の現場調査結果をもとに検討することになりますので、かなり時間と経費がかかります。
これを無料相談で行うことは不可能です。
そんな専門業者は、少なくとも東京には居ません。
また、SNSや掲示板における情報は、素人が無責任に流しているものが大半であり、オリジナルの出典でさえ不明です。
特に、天井防音やGL工法の問題への対策に関する専門情報は、私の知る限り、ネット上には公表されていないように思います。
マンション案件は難易度が高いため、対策事例でさえ、ネット上で探すことが出来ないようです。有料相談であっても、的確に分析・対応できる専門業者を探すことが、非常に難しい。
有能な防音設計を専門とするエンジニアの大半が現役を引退してます。
木造住宅の無料相談
木造軸組在来工法の建物については、初回限定の無料相談は、時間さえあれば可能です。
提携先の建築士や職人の専門分野でも有るので、関連情報が豊富にあります。判断材料が多いため、経験的に木造軸組在来工法の物件であれば、リスク回避のアドバイスは可能です。
これに対して、ツーバイ工法の場合は、生活防音や音楽防音室の難易度が高くなるため、無料相談を期待されても、無理があります。
また、防音職人の設計仕様および工法では、賃貸共同住宅では費用的に実現が難しくなります。
なお、低周波騒音対策は、精密測定調査を必要とするため、無料相談では対応できません。それは騒音の主成分の周波数帯の情報がないと可否を判断できないからです。
*事例としては、騒音源として工場、エネファーム・エコキュートがあります。可聴域の騒音対策としては車の走行音の事例が多いです。
無料相談を防音職人に依頼する前に、他の専門業者に問合せて下さい。情報収集をすることによって、そのリスクや難しさが見えることがあります。
そして、ブログで投稿している事例などの記事をよく読んでください。
無料相談会を行っている建築業者の大半は、自社の設計仕様・製品を売り込むことを目的として、みなさんを待ち構えています。セカンドオピニオンではありません。
それは民間の専門業者とは、基本的にそういうものです。公的機関の無料相談とは異なります。甘い期待を抱かないほうが良いと思います。