小さなピアノ防音室(木造)の音響・防音設計の留意点
木造の小さな部屋のピアノ防音室は、木造防音の事例の中でも条件が厳しく、難易度が高いです。具体的な実例もネット上には殆ど出てこないようです。(※画像のアップライトピアノ室は約4帖の木造の納戸をリフォームしたものです)
それは従来型の遮音材にシフトした構造や分厚い防音構造が使えないからです。大半の防音専門業者が諦めてから、依頼者(施主)が最後にたどり着くのが、私の防音職人のウェブサイトです。
防音と音響効果のバランスが重要
狭い部屋において、遮音にシフトすると音響が悪化して音楽室としては不向きな状況になります。
このため、自宅内部への音漏れを許容する計画が必要であり、適度な防音効果と音響のバランスが重要になります。石膏ボードや遮音パネルは使えませんので、薄型の防音構造と木製品を組み合わせることになります。
必要に応じて、費用節約を兼ねて、床をカーペット仕上げにすることも有効です。反響と費用を抑えることができます。音響の最適化はDIYで対処するのが小さな狭い部屋では効果的です。
防音室のドアは木製が原則
狭い部屋では特に地震などの災害時に脱出できるようにドアは木製品を選びます。地震で開かなくなった時に、蹴破ったり、こじ開けたりしやすくなります。スチールドアは無理に開くのが非常に難しいです。
また、木製ドアのほうが音響が良いので、狭い部屋には好都合です。同時に、ドア周りの壁は潰れないように面的な補強をすることが望まれます。
面的な剛性補強をすると、防音効果にもプラスになります。
薄型の防音仕様しか対処できない
狭い部屋は物理的に、薄い防音構造しか対処できません。例えば、防音壁を厚さ約180ミリ以上で構築すると、6帖の部屋は約4.5帖になってしまいます。これでは、グランドピアノの配置自由度は無くなります。
薄い防音仕様は、音響・遮音吸音効率を追求した内容になりますので、リフォームの場合は既存構造の評価が特に重要になります。
既存構造+新規の音響・防音構造の総合的な性能で決まります。必要に応じて、既存壁や天井の表層材を解体してから内部の補強を実施する場合もあります。
防音職人では約28年間の音響・防音設計実務(会社勤め時代を含む)や独学の研究によって、薄型のコンパクト防音を追求してきました。それが、約8年以上前から、やっと花開いてきたのです。
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